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集英社ゲームクリエイターズCAMPのメンター(開発サポート)制度が良すぎて驚天動地

頑張って言葉をよそ行きにして驚天動地って言ったんですけど正直に言うと「すごすぎてすごい」みたいな語彙ゼロの感想になります。

打ち合わせでは「アノ……コンナカンジ……フェヘヘ……」などと手探りで作った資料を出してへらへらしてると「進捗、かなりありましたね!」とかスパッと褒めてもらえる。多分今が人生のピークだね。

探せば海外にもこういう制度あるのかもしれないけど、もう日本最高、助かる、自分が日本語話者で本当よかった。

会う人会う人にメンター制度いいよ〜って触れ回ってるんですけど、ひとりひとり説明するのが大変なので記事にしました。もっとも私のメンターさんがたまたま当たりだったかもしれませんし、次年度は制度が変わるかもしれませんので、ご参考までに。

そもそもメンターってなんなのか、私も詳しくはないんですが多分一般的には「専属アドバイザー」みたいな感じかなと。私の感覚では「マンツーマンの開発インストラクター」です。

公式ツイッターより

メンター制度を利用することになった経緯

2022年3月、集英社ゲームクリエイターズCAMP主催のGAME BBQ vol.1優秀賞に選出いただきました。

優秀賞は賞金10万円+希望者はメンター制度を利用し、アドバイスを受けることができます。

個人開発者というと「ほかの人と協力したりアドバイスを受けることなく自分が好きなものを作りたい」、いわゆる無頼派を多く見かけますが、自分1人ですごいものが作れるという自覚は私にはなく、「可能なら協力者が欲しい」勢ですので、サポートをお願いすることに決めました。

賞金いただいたけど、これお金を払うのは私の方なのでは?

実際制度を利用して感じるのが……例えば、賞金額だけで言うと講談社さんと比べて少ないんですが、集英社さんの場合は実は眼鏡が本体」みたいに「賞金じゃなくてメンター制度利用(からの開発者支援タイトルに選ばれること)が本体」と言っても差し支えないのでは?

メンター制度の何がいいかというより、受けてみた感想は現状「受けない理由がない」です。正直10万円賞金いただいたけど、私がお金を払う側なのでは? と思えるくらいの内容。そして仮にこれを読まれたとて「じゃあ払ってくださいw」とか言う人たちではない。多分。

CAMPのメンターさんってどんな人たち?

ゲームクリエイターズCAMPで顔出しされているメンバーは以下に記載があります。ただみなさん全員がメンター構成員か、逆に書かれていない人がメンターされたりしているのかはちょっとわかりません。

CEDECの「ゲームクリエイターズCAMP」メンバーによる講演動画はこちら。これを観て私はGAME BBQ応募を決めました。

ところで私はかつて、ゲーム業界に在籍していたデバッガーたちに自作ゲームのテストプレイを頼んだところボロカスに言われて胃腸炎で寝込んだりしたことがあります。そんなこんなで「業界の人」を主語デカめに警戒していました。

しかしこの動画を拝見したとき、この人たちはたくさんの「ボロカスに言われた」を超えてきた人たちなのだろうと私には感じられて、会ったこともないのに信頼度が爆上がりしました。

インディー・個人だからって馬鹿にされない(涙)

アドバイスや協力を受けられるなら誰でもいいかというとそうでもなく、私の場合は特に「個人開発に理解を示してもらえるか」は重要です。

自分が個人開発を続けてて割と感じるのが「業界でゲーム作ってる人たちから下に見られているかもしれない疑惑」。予算や締め切りがない前提のアドバイス(頼んでない)をされたり、お仕事をゲーム会社に発注してもスケジュールを出せないと言われた(インディーに締め切りはないと思われていたっぽい)こともあります。

私は弱小個人事業主で、確かに社会的地位で言うと低めで、さらに知名度まで低いから……いや、だからってぞんざいに扱って良いやってなる〜?

ところがCAMPメンターさんたちにはそれがない、いや面接ですらそういうことはなかった。こちらを丁重に扱ってくれるし、私の知名度や地位に関係なく、作るものが面白いかどうかで見てくださる。

あと私が記憶してる限り「頑張ってください」「応援してます」みたいに言われたこと一回もないんですよ。「是非一緒に」「何かあったらいつでも聞いてください」とおっしゃる。他人事ではなく、同じ船に乗ってる感じがします。

メンターさんの助言により積年の悩みが一瞬で解決

メンター制度の利用を始める前、私は「とある仕様書が作れないこと」で悩んでいました。

その後メンター制度を利用し始め、打ち合わせで「こういう仕様書は書けるが、こういったものが書けない」と話すと、ごりごりの業界経験者でSEだったこともあるメンターさんは「その種類の仕様書は、プログラマ経験者でないと難しいものです。僕でも書けません」とおっしゃいました。「この人に書けないなら私に書けるはずはない」と分かります。そして「お前には書けねーよ」とはおっしゃらない。内容は同じでも言い方一つ間違うだけでプロジェクト破綻したりすると思うんで、言葉選びの安心感もすごい。

私はそれまで「仕様書が書けない自分がダメなのだ」と思い、わからんなりに作っては書き直し、教えてくださる人を募って聞いたりと3〜4ヶ月悩んでいました。それを数十秒の説明で解決されたのです。

個人開発者が罹患しやすい「何でも自分でやらなければいけない病」に長らく侵され凝り固まっていた価値観を、丁寧にしかし確実にほどいてもらえて「実は今まで溺れかけていたような状態」だったと気づけました。陸に上がって目から鱗バー!!出ましたね。

見積もりや開発支援といったお金の面でも心強い

個人開発者で「お金のことは得意です!」という人に会ったことはなく、私もお金周りのことは苦手です。

例えば、見積もり。業界経験のない私には一般的な相場がわかりません。外注先についお安めの人を選んでしまい失敗したこともしばしばありました。しかしメンターさんは百戦錬磨、大変お詳しくて「◯◯の場合なら◯◯円くらい」「差分が必要なのでもう少し上乗せしましょう」と迅速で的確な見積もりをくださいます。

そして個人開発者の心を悩ませる代表的悩み事「ゲーム発売するまで開発期間はお金入ってこないよ問題」、この辺り自分も気になっていたのですが、仮に「企画が開発支援タイトルに選ばれた場合」は、応募者本人も支援してもらえるようです。将来的にはレベニューシェア契約などで調整は入れつつ、漫画家さんだと「原稿料+印税」で活動する、あのスタイルになるのだと思います。

お金のことで頼れる人がいると心配事が大幅減、開発に割ける時間が増え、想像以上に心強いのだと分かりました。

強いてメンター制度のデメリットを挙げる

1.今までのようなほぼぼっち手探り開発と違い、先の見通しが良いので、中途半端に自己判断でしょうもない進捗とかSNSに出したりせんほうがいいんやろうな……という予感があって動きにくい。

なお、先方からは活動に関する制約をされたことは今のところありません。そもそも賞金はもらったがメンター制度を利用しないといった選択も可能らしいので、縛りは少ない印象です。

2.先方の経歴とご所属がしっかりしていて、現在チームの中で一番の不審者が私。個人事業主で業界経験もさしたる肩書きもないためやや気後れはある。ただ、だからこそ力を尽くさなくてはと気合も入る。

3.支援タイトルに選ばれなかった場合、メンターを受けながら育てた企画を私一人で完成させることは金銭的にほぼ不可能なので、落ちたときのことを考えると憂鬱になる。

こんな人にメンター制度がおすすめ

思うに、大手さんとインディーではクソゲーができる理由もたぶん違っていて、大手の場合は「たくさんの人が見て気付いているが予算や締め切りで制約が多く、手が回らなくて直せない」のに対し、個人開発では「一定レベルまで達していないのに気づかない」だと自分は考えていて、これらを煮詰める前に手癖で作り出してしまい「後になってなんかうっすら面白くできていないことに気づくが、その時にはもう大分仕上がってて引き返せないケース」が私の場合は多い気がします。それを防ぐためにも開発途中で客観的な目線が欲しいところだけど、一般公開はボロカスに言われるなどリスクを伴いがちです。

いわゆる自分1人で全てをやりたい「無頼派」でいることをゲーム制作の目標にしている人にメンター制度は必要なさそうですが、そうでなく

-とにかく面白い、良いゲームを作ることを目標にしている人
-ゲームをちゃんと売りたい人
-自分の苦手な分野や目が行き届かないところを補うために誰かの助力が欲しい人
-頑張ってるんだけど時々辛くて、たまには誰かのせいにしたい人
-自分を過小評価しがち、自分や自作品の市場価値に自信がない人
-業界経験がなく、ゲーム制作ノウハウの蓄積があまりない人

にはメンター制度利用を目指してみるのがおすすめです。

そもそも仲間を募るのにはリスクや手間が伴うからなかなか手が出ない、やってみたが巧くいかなかった、ということもあるでしょう。自分もそうだったんで、気持ちわかります。

集英社さんのメンター制度はそんな頼り甲斐のある人を探すリスクがゼロに近いと言っても過言ではありません。メンターそのものだけではなく、支援タイトルに選ばれれば開発メンバーを探すことに関してもご助力いただけそうです(実際にどうかは分からないので、ここに関しては開発が進んだら追記します)。

なお、逆にメンター制度の利用をおすすめできない人は

-無頼派(開発にアドバイスは要らない、自分だけでやりたい)
-すでにメンバーが確定しており予算・人的サポートも必要ない勢
-売れるもの、良いものよりも好きなものを作るのが大切な人
-未完成の作品を人と共有するのに抵抗がある人
-進捗を共有すると満足してやる気を喪失してしまうタイプの人

……などでしょうか。

どうしたら集英社さんのメンター制度を利用できるのか?

メンター制度を受けるには、私が知る限り以下ふたつの方法があります。

1. GAME BBQなど集英社主催のコンテストで「メンター制度あり」と記載されているものに応募して受かる。

vol.2の「ブラッシュアップをサポート」これがvol.1のメンター制度に該当すると思われます

2. 何らかの方法(持ち込みやイベント、口コミなど?)でスカウトしてもらい「CAMP支援タイトル」に選ばれる。

ぶっちゃけ、ここまで素敵な制度だと独り占めしたいしあんまり人に教えたくないんですが、優秀な人がどんどん応募して集英社ゲームズさんとゲームクリエイターズCAMPのレベルが爆上がりすれば、後世に「ここ出身なんです」とレーベル所属でドヤ顔できそうという私欲が芽生えました。

我こそはという皆様、コンテスト入賞や賞金もさることながら「メンター制度の享受」を目指されること、不肖わたくしからおすすめさせていただきます。

皆様の開発ライフが、一層素敵なものになることを願って。

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