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引退の美学…今週の『ブギウギ』

銭湯「はな湯」の看板娘から“ブギの女王”と呼ばれる戦後の大スターになっていく花田鈴子→福来スズ子(澤井梨丘さん→趣里さん)が、暗い戦争の時代や、燃えるような恋と別れなどを乗り越え、人々に勇気と希望を与えていく朝ドラ『ブギウギ』最終週「世紀のうた 心のうた」。

『オールスター男女歌合戦』でのスズ子のパフォーマンスが絶賛され、新聞に「完全復活」の文字が躍った月曜日。スズ子はそんな評判とは真逆に、水城アユミ(吉柳咲良さん)の存在に引っ張られて何とか出来たことであり、自らが確実に衰えていると実感。

燃え尽きた感=やり切った感と捉えたスズ子は、歌手を引退するつもりであると羽鳥善一(草彅剛さん)に伝えると、言葉は抑えながらも猛反対。絶縁するとまで口にするほど、スズ子(と自分の作品)への執着。

スズ子が、茨田りつ子(菊地凛子さん)にも歌手引退を伝えた火曜日。りつ子は、スズ子と羽鳥の特別な関係を指摘すると共に、同時代を歌手として生き抜いてきた「同志」として、スズ子の決断を尊重。

引退会見をすることにしたスズ子は、羽鳥に報告しようとするも不在。その頃、羽鳥はりつ子にスズ子の件で相談するも、「2人とも存分に苦しめばいい」と。同じ頃、スズ子は羽鳥の妻・麻里(市川実和子さん)から二人の特別な関係を指摘され、「2人とも存分に苦しめばいい」と。

スズ子が引退会見を開いた水曜日。例の芸能記者・鮫島(みのすけさん)は当初は相変わらずの嫌な質問で攻めてきますが、最後は「一曲聴かせてほしいな」とリクエストしたり、拍手したりと、実はファンだったという裏設定。

その後、アユミが訪ねて来て「引退してほしくありません」と懇願しますが、スズ子はアユミの存在があったからこそ『オールスター男女歌合戦』で最高のパフォーマンスができたことを伝え、「バトン渡したで」と彼女に歌手を託しました。

スズ子と羽鳥が、互いに連絡することを躊躇していた木曜日。スズ子はりつ子に、羽鳥は麻里に叱咤され、スズ子は羽鳥宅に向かおうと家を出ようとしますが、そこに羽鳥が訪ねて来て。

羽鳥のターンから始まった二人の対話。本音を語り合い、涙する二人は和解。さよならコンサートを開くことに。スズ子が対話の中で、羽鳥と自分を譬えた「人形遣いと人形」。なるほど、ドラマのOPが人形なのはそのためか、と思いましたが、偶然のようです。

さよならコンサートが開かれた金曜日。楽屋や客席には、「梅丸少女歌劇団」の面々や、おミネ(田中麗奈さん)など懐かしい面々。さらに指揮者には、羽鳥のモデルとなった服部良一さんの孫であり、『ブギウギ』の音楽担当である服部隆之さんを迎える趣向。

スズ子は「東京ブギウギ」を歌い終えると、舞台に間接キスして別れを告げました。正直、このドラマにおける「義理と人情」というロジックがよくわからなかったなあ。


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