才能の淘汰の先にあるもの…『ハチミツとクローバー』
美大を舞台にした青春群像劇『ハチミツとクローバー』。フジテレビ「ノイタミナ」枠の第1回作品で、アニメからこの作品に入った人も多いかと。
実写化もされていて、映画版なんて蒼井優・加瀬亮・堺雅人・西田尚美・伊勢谷友介と、今振り返ると豪華でした(敬称略)。
「全員片想い」なラブストーリーとしてももちろん秀逸なんですが、才能の淘汰とその先にある人生の選択をシビアに描いています。
将来を嘱望されて美大に集まった学生たちも、やがて「上には上がいる」ことを知り、自らの才能の限界を突き付けられる。
天才は天才ゆえの苦悩を、凡人は凡人であるがための嫉妬と新たなる自分探しを。ある者は天才を支える道を選び、ある者は別の道を選び。
作中、メインキャストの森田に関わる人物で「根岸のおじさん」という人が出てきます。天才肌のエンジニアだった森田の父親の幼馴染で、彼を支えていたのですが、実は嫉妬していて…。こんなセリフをつぶやくんです。
どうしてこの世は「持つ者」と「持たざる者」に分かれるのか
誰がそれを分けたのか どこが分かれ道だったのか
そもそも分かれ道などあったのか?
生まれた時にはもうすべて決まっていたのではないか?
ならば ああ神さま オレのこの人生は 何の為にあったのですか
「なりたかったもの」にはなれなかった、ほとんどの大人たちの、絶望と希望を描いた物語。
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