ドラマ日記『悪女』&『ナンバMG5』&『未来への10カウント』(初回)
超窓際部署に配属された麻理鈴(今田美桜さん)が、謎多き先輩社員の峰岸(江口のりこさん)の助言を武器に、職場の問題を解決しながら、会社の最下層からのステップアップを目指していく『悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~』の初回。海に飛び込む『あまちゃん』演出も。
麻理鈴は、ポジティブだけどポンコツな新社会人。IT企業に就職し「備品管理課」に配属されるが、そこは、お荷物社員が集められた“姥捨て山”。麻理鈴は、謎の先輩社員・峰岸から何もしなくていいと言われるが、メゲずにつきまとう。根負けした峰岸は“出世のヒント”を麻理鈴に伝授。
原作漫画が始まったのが1988年。石田ひかりさん主演で初ドラマ化されたのが1992年。男女雇用機会均等法が施行された1986年。女性が総合職として働き始めたバブル時代が背景と考えれば、暑苦しいぐらいにポジティブシンキングな主人公のキャラはわからなくもなく。敢えて狙ってきたのでしょう。
そうした時代錯誤感もありつつ、例の感染症の影響下での入社組で、現場経験がない大井美加(志田未来さん)の物語を、初回に持ってきた辺りは考えたなと。一度は断られた営業先で、海に飛び込む麻理鈴。現実にはあり得ないですが、海に飛び込む演出はやはり爽快感があります。
麻理鈴単独だとちょっと見ていられないところを、峰岸役の江口さんが絶妙にフォローしていてドラマとして成立している感じ。スカイダイビングで一目惚れしたT・O(向井理さん)が本格登場するともっと面白くなるかな。にしても、次回は人事課へ異動って(笑)。人事課付けの間違いでは。
筋金入りのヤンキー一家の次男・剛(間宮祥太朗さん)が、「ヤンキーを辞めたい」「普通の高校生になりたい」と、家族に内緒で健全な高校に入学する「高校逆デビュー」物語『ナンバMG5』の初回。『悪女』との水曜10時ドラマ対決は、視聴率8.5vs6.6%で敗れました。
超有名ヤンキー中学校・萬田中のアタマを張るまでになった剛は、県内屈指のヤンキー校・市松高校への入学を期待されていた。初登校の日、特攻服に身を包んで家を出た剛でしたが、その途中で公園のトイレに入り、学生服に着替えると、市松高校ではなく健全な白百合高校の門をくぐる。
「ヤンキー」と「学園ドラマ」というカテゴリーだけで、恐らく避けられたと思われますが、よく出来たドラマ。間宮さんをはじめ、宇梶剛志さん、鈴木紗理奈さん、満島真之介さんら家族のキャラもわかりやすく、よく揃えたなあ(笑)。あと、飼い犬の松が名演。これだけでも見る価値あり。
ストーリー的には『水戸黄門』風な予定調和ではありますが、『エリートヤンキー三郎』のようなスカッとする感じは嫌いではなく。まだまだいける森川葵さんの女子高生姿も可愛いし、剛と直樹(神尾楓珠さん)のバディー感もいい。水10ドラマなら、こちらを推します。
生きる希望を失った、元高校ボクシング4冠の桐沢祥吾(木村拓哉さん)が、高校ボクシング部のコーチに就任したことで、徐々に熱を取り戻す、青春スポーツ・エンターテイメント『未来への10カウント』の初回。視聴率11.8%と、キムラクドラマとしてはやや物足りない感。
生きる希望を失ってしまった祥吾は、親友(安田顕さん)と恩師(柄本明さん)からの依頼で、ボクシング部の“臨時コーチ”として母校に舞い戻ることに。ボクシングに関する知識が全くない顧問・折原葵(満島ひかりさん)と共に向かうと、そこには廃部寸前のボクシング部が…。
設定だけで、最終回までのおおまかな流れは予想できるとはいえ、随所にフックが効いていて、面白い。例えば、恩師が祥吾に依頼する時のテーブル上での土下座。完全に『半沢直樹』をパロってますが、柄本さんが絶妙に上手くて、完全に掴まれました。
木村さんのボクシングシーンもなかなか様になっていて、説得力あり。久々に地上波ドラマに登場の満島さんも、『ごめんね青春!』とはまた違った教師キャラではあるものの、やはり惹きつけるものがありますね。現時点では、春ドラマで一番よくできた作品だと思います。
余談:17日放送の『安住紳一郎の日曜天国』は泣かせる回でした(安住氏も涙ぐむ)。「捨てられないもの」がテーマのこの日。番組終盤に、リスナーから最後のメール。
両親の遺品を整理していたら、箱に収められた通信簿や野球部時代のユニホームを発見。一緒に母親からの手紙が入っていて、「よく頑張りました。あなたは私の宝物です」と書かれていたと。出来が悪く、レギュラーも取れなかったけれど、亡くなった母の愛を感じ、捨てれれないというお話でした。
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