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茶道で学べる日本文化10のコト

外国人の方と話すと、日本のことを聞かれることがありますが、そんな時、「意外に日本(文化)のことを知らない」と気がつく日本人も少なくないでしょう。

そんな人におすすめなのが茶道。「茶道は総合芸術」といわれるように、日本文化の様々な要素が組み込まれているため、自然にそれらの素養が身に付くかも!?10個ほど挙げてみました。

【着物】

もはや成人式でもなければ、着る機会が少ない着物ですが、茶道をやっていると茶会などで着る機会が多いです。着物は「着慣れる」の一番。長くやっている方はやはり「様」になります。

また、自分が着なくても見る機会が多いのも茶道の世界。見るだけでも勉強。着物の良し悪しや、着こなし方の巧拙もだんだんわかってきて、着物を選ぶセンスも磨かれてくるでしょう。

【抹茶茶碗】

お茶を飲む容器として、茶道の中心にある焼き物。最も身近であると同時に、奥深い世界。練習用の安物の数茶碗から、茶会用の高価な茶碗、美術館に収められているような国宝級までさまざま。

格付けとしては「一楽、二萩、三唐津」などといわれますが、志野、織部、瀬戸など無数にあります。茶会では抹茶を呑んだ後に、茶碗などの道具を「拝見」しますので、ある程度の知識が求められます。

【書道】

茶室の床の間には掛け軸をかけますが、禅宗の僧侶が禅語を書いた「墨蹟」という書が多いようです。「日日是好日」「和敬清寂」など、茶会を主宰する「亭主」の心構えや趣向などを表しています。

美術館などでも「墨蹟」は多く展示されていますが、それまで素通りしていたそれらも、茶道を始めると興味深く鑑賞できるようになります。

【華道】

茶室では花入れに花を飾りますが、アート的な華道のそれとは異なり、「花は野にあるように生け」と自然な飾り方が尊ばれます。

とはいえ、季節感であるとか花の処理技術など、華道に通じるものもあり。また対照的な華道を学ぶことで、茶道における茶花の在り様というものがはっきりしてくる、というメリットもあります。

【和菓子】

茶道を始めるきっかけに和菓子を挙げる人もいるぐらいに魅力的な食べ物。見た目にも美しく、季節感を感じられるのも素晴らしい。

それまでデパ地下に店を構える何やら高そうな和菓子店(鶴屋吉信、末富など)も、茶道を始めると馴染みになり、季節季節でどんなお菓子が出て来るかも見るだけでも楽しいものです。

【日本料理】

「茶道で料理?」という方もおられるでしょうが、正式な茶会(茶事といいます)では、懐石料理→濃茶→薄茶という流れになります。懐石料理は一汁三菜を基本とした質素な料理が基本ですが、お酒も出ます。

なかなか茶事を経験することはないでしょうが、フルコースの茶事を知ることで、茶道への理解が深まる気がします。

【日本建築・庭園】

練習用の茶室は略式が多いでしょうが、茶会などを催す時には、独特の日本建築による茶室を使用する場合も少なくありません。中には歴史ある茶室を使用した茶会もあり、伝統的な日本建築に興味を持つと、さらに楽しめます。

上記の日本建築による茶室は、露地(茶庭)と称される庭園の中に建てられていて、これまた茶人たちのこだわり抜いた庭園で、趣深いものがあります。

【季節感】

日本人は古来より季節の変わりに対して敏感であったといわれますが、現代社会においてはなかなか感じれないものになっています。そんな中、茶道では花や菓子、路地など、随所に季節感を感じさせるものがあり、鋭敏な感覚が養われます。

【見立て】

日本の芸術のさまざまな分野で使われる「見立て」ですが、茶道おいては「本来茶道具でなかった品々を、新たな美意識によって、道具として見立てる」ことをさします。

伝統文化としてある種の保守性すら感じられる茶道ですが、利休のそれは「美の革命」であり前衛的、アバンギャルドですらあったのでしょう。「見立て」の精神を受け継げば、茶道の世界は無限に広がっていくようにも思えます。

【禅】

床の間に墨蹟を掛けることでもわかるように、茶道は禅宗の影響を強く受けています。例えば、よく掛かる「喫茶去」という言葉は、「趙州喫茶去」という禅の公案(悟りのための修行僧への課題)に由来します。

茶禅一味(茶も禅も同じ)という言葉もありますが、墨蹟に描かれた禅語の意味を調べるだけでも、禅への理解が深まるでしょう。

以上、ざっくりと「茶道で学べる日本文化10のコト」でした。


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