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どん底に射した光明…今週の『虎に翼』

日本初の女性弁護士で、後に裁判官となった女性・猪爪寅子(伊藤沙莉さん)とその仲間たちが、困難な時代に道なき道を切り開き、迷える子供や追い詰められた女性たちを救っていくリーガルエンターテイメント、朝ドラ『虎に翼』の第9週「男は度胸、女は愛嬌?」。

「男は度胸、女は愛嬌」とは「男子にとってだいじなのは物に動じない度胸であり、女性にとってたいせつなのは魅力ある笑顔、つまり愛嬌である」の意味(imidasから引用)。

花江(森田望智さん)の両親が、東京大空襲で亡くなった月曜日。数か月後、花江の夫で寅子の兄・直道(上川周作さん)が戦死したとの知らせが届き。あと一月で終戦というタイミングでした。

父・直言(岡部たかしさん)も体調が悪いなど暗いムードの猪爪家に、岡山で寄宿生活をしていた寅子の弟・直明(三山凌輝さん)が帰ってきて、久しぶりに皆笑顔。当然大学を目指すものと思われましたが、一家のために働くと宣言。

寅子の夫・優三(仲野太賀さん)が戻らない中、マッチ製造や内職で猪爪家がなんとか暮らしていた火曜日。隠れて本を読んでいる直明を見て、寅子は学ぶ喜びを与えたいと、以前勤めていた雲野(塚地武雅さん)の法律事務所を訪ねるも、現状を見て、また雇って欲しいとは言い出せず。

終戦から一年以上過ぎ、直言が胸を押さえ倒れ。弾みで倒れた写真に、紙が挟んであるのを発見した寅子。直言は「見るんじゃない!」と叫びますが、それはずっと前に届いていた優三の死亡告知書。戦病死でした。

優三の死を隠していたことを直言が説明せず、寅子も聞かないままだった水曜日。ついに花江が切れ、寅子に直言と向き合うよう進言。直言は、ショックを受けた寅子に今倒れられたら困ると思い、隠したと謝罪。

その後、本当は優三よりも、花岡(岩田剛典さん)推しだったなど、直言の懺悔大会。唖然とする家族たち。それでも寅子は、「ごめん」を連発する直言に「でも、お父さんだけだったよ。家族で女子部に行ってもいいって言ってくれたのは」と声をかけ。スッキリとした表情で寝落ちした直言でしたが、数日後に他界。

家族とはいえ、いや家族だからこそ「ぶっちゃけ」発言は危険性を伴いますが、これまでの家族シーンの積み重ね、キャストと脚本家の信頼関係、そして岡部さんの持ち味が発揮されて、成立した回だったなと。

優三と収容所で一緒だったという小笠原(細川岳さん)という復員兵が訪ねてきた木曜日。寅子が優三に渡した手作りのお守りを持参し、容体が悪化した時に持たせてくれたという、優三らしいエピソード。細川さんは『舞いあがれ!』では、なにわバードマンの玉本先輩役(アフロ)でした。

どん底状態の寅子に、母・はる(石田ゆり子さん)がお金を持たせ、自分だけのために贅沢をして来いと送り出し。焼鳥屋台で注文するものの、食べずに帰ろうとする寅子に、女将が新聞に焼鳥をくるんで持たせてくれて「しっかりするんだよ」と。

河原に座り、亡き優三に向き合い、泣きながら焼鳥を食べ始めた寅子。新聞紙から飛び込んできたのは日本国憲法の文字と第14条。初回シーンへつながりました。4分間という圧巻の長回しシーンを、伊藤さんは様々なグラデーションの表情で演じ切りました。

寅子が家族会議を開いた金曜日。新憲法を読み上げた上で、「時代は変わったの」と、自分は法律の世界に再び飛び込み「人生をやり切りたい」と宣言。勉強好きな直明には、自分が稼ぐので進学を勧めました。

新憲法公布後の翌1947年(昭和22年)3月。寅子は高等試験(司法試験)の合格証書を携え、司法省人事課を訪れると、そこには桂場(松山ケンイチさん)がいて(「竹もと」の「ふかし芋」のカットから続く細かい演出)。

寅子は「裁判官として採用してください」と直訴&ここでOP映像。難色を示す桂場ですが…。次週からいよいよ新章スタートですよ、といったプレ回でした。

次週予告を見る限り、何らかの職には就けたようなので、経済的には安定した上で、日本国憲法という「翼」を手に入れた寅子は、新たな問題に立ち向かっていくのでしょう。


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