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映画日記『ミステリと言う勿れ』

定期的に映画館で映画を観る新習慣の第28弾。今回は、9月15日公開『ミステリと言う勿れ 』。フジテレビドラマの劇場版で、主演は菅田将暉さん。ドラマ版から引き続き、演出は松山博昭さん、脚本は相沢友子さん。

美術展のために広島に来た大学生・久能整(菅田さん)は、犬堂我路(永山瑛太さん)の知人だという女子高生・狩集汐路(原菜乃華さん)と出会い、ある相談を持ちかけられる。それは彼女の家系・狩集一族の遺産相続を巡るものだった(シネマトゥデイから引用)。

以下、ネタバレあります。

いきなり遺言状を公表する場に連れてこられた整。そこにいたのは、遺産を相続する権利を有する狩集幸長(石橋蓮司さん)の孫である、汐路、狩集理紀之助(町田啓太さん)、波々壁新音(萩原利久さん)、赤峰ゆら(柴咲コウさん)の4人(幸長の4人の子供は一緒に事故死)。

ここで遺産相続の立会人となるのが、顧問弁護士の車坂義家(段田安則さん)と、顧問税理士の真壁軍司(角野卓造さん)。『犬神家の一族』の如く、遺産争いせよと言わんばかりの遺言内容で、最終的に決めるのはこの二人。

二人が幸長の絶対的な信頼を得ているのはなぜか。すでに冒頭から物語の最終的な答えが示されていたシーンでした。と共に朝ドラ『カムカムエヴリバディ』の段田さん、『HERO』の角野さんなど、いい人を演じることも少なくない二人をキャスティングすることで、観客をミスリードする仕掛け。

前半は孫4人に預けられた4つの蔵を巡って、殺人も辞さない遺産相続争いが始まったかのような出来事が続きますが、それはある人物による〇〇〇〇。整はそれを見事見破り、問題は解決したかと思ったのですが…遺品整理のアルバムで、狩集一族の写真と「×」の文字を見て、整はある可能性に気が付きます。

後半は遺産相続による殺し合いに見せかけた、150年にわたる一族の闇と掟が描かれ、真相が明らかに。3人の鬼の話が出た時点で、観客にもおおよそ予想が付きましたし、いい人キャラを演じることが多い松下洸平さんが、義家の息子役なのでその時点で、ミステリー要素は薄らいだ印象。

本作の裏テーマは、恐らくは「トラウマを抱えた少女(汐路)の心の再生」。原菜乃華さんはたしかオーディションで選ばれたとは思うのですが、原さんが主人公・岩戸鈴芽を演じたアニメ映画『すずめの戸締まり』とテーマ重なりました。

映画では汐路と整の顔アップが多用されるのですが、整が表情薄目(でもしっかり表現)なのに対し、汐路は前半は芝居がかっており、後半は感情豊かに。終盤、整を見送るシーンでは、付き物が落ちたような素の汐路という演じ分けからも、「トラウマを抱えた少女(汐路)の心の再生」だなと。

整の理屈っぽい、しかし心を打つような名言も多数登場しますが、汐路にカウンセリングを勧めるシーンでの言葉が特に良かったです。人の心の弱さをまず認めること。そこから再生が始まるのだと。

最初の方はテレビ的演出だなとちょっと気になりましたが、中盤からは没入出来ました。ドラマレギュラーの呂光聖子(伊藤沙莉さん)と池本優人(尾上松也さん)、青砥成昭(筒井道隆さん)の3人は、エンドロール後に登場しますので、最後まで見届けましょう。


余談:『あまちゃん10周年スペシャルコンサート』は演奏部分はよかったのですが、トーク部分が機材の故障なのか、調整不足なのか、ほとんど聴こえない部分が少なくなく、そこは残念でした。

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