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本の一枚 8

本屋さんのイベントに参加してきました。

4月にいろんな偶然が重なって出会った本屋さん、その名は『本屋アルゼンチン』。もう少し行ったら佐賀県よ、という福岡県の端っこにある本屋さん。得意分野は「文化人類学」らしい、ということまで分かってきた。

初めての出会いは、開店しているのに模様替えをしていた。2度目は、店主さんと店内で黙々と本を読んでいたのだが、カナヘビ探しも行われていた。
そんな『本屋アルゼンチン』でイベントが開催されることを知ったのは4月も終盤に差し掛かった頃だった。

まだ『本屋アルゼンチン』の扉を開いたぐらいの本屋アルゼンチン初心者で、しかも文化人類学の「ぶ」の字もよく分かっていないけれども、でもふわっとのぞいてみたいなと。
そう思いながら、募集要項をずんずん読んでいくと、『参加をおすすめしたい方』という項目を見つけた。ふむふむ、ふむふむ、「インプロピゼーション」は正直よく分からないけど、他の条件には少しずつ当てはまっているぞ。考えたままじゃ分からん。参加してみよう!

「本屋で行うインプロビゼーション」

「インプロピゼーション」とは何か?事前に調べてみる。「即興。即興演奏」という文字が出てくる。
次に主催者である「ジェネレーター公民館」とは何ぞやと、調べてみる。「ジェネレーター」とは発電機の総称。いや、これじゃない。もっと学問的な言葉があるはず。そう思っていたら、この本にたどりついた。

どうやら活動の「場」を生成する人ということらしい。
じゃあ「ジェネレーター公民館」って何だろう???
本屋アルゼンチンのインターン生で場づくりユニットであるらしいのだが・・・うーん・・・ここから先は、私がいろいろ語るより、今回のイベント主催者のお一人である、サオリス・ユーフラテスさんのnote記事をぜひともご覧ください。

サオリスさんのこの記事からすると、私のここからの記事は、かなり薄っぺらいモノになってしまうが、『本屋アルゼンチン』の超初心者が初めてイベントに参加したら、どういうことになったのか、という感じで、ドキドキしながら書いているのを、ふむふむと読んでいただければ幸いである。
あ、かなーり長くなりましたので、お時間ある時にどうぞ(^^)

撮った・・・!

イベント当日は雨。それもしとしととずっと降り続いていた。
車を飛ばして山をいくつか越えて会場(本屋アルゼンチンの隣にある「合同会社こっから」のオフィス)にたどり着くと、何人かの参加者が電車から降りて歩いて向かっているところだった。

そして、建物の玄関からおそるおそる中を見てみると、十数人の参加者がすでに集まっている。その中に本屋アルゼンチンの店主さんもいて、どなたかと話しながらも、笑顔でこちらに気づいてくださった。よかった~。

ホッとしたのも束の間、まだドキドキが止まらない私は端の方に座ろうと部屋の奥にあった椅子に座った。ジェネレーター公民館の方がハーブティーを入れてくださる。そして準備があわただしく行われている。ワタシ、ダイジョウブ?ココニイテダイジョウブ?
そんな呪文を心の中で唱えている私の横で、棚の象をぱちりしている方がいた。そうだ。ぱちりしたら、落ち着くかもしれない。そう思って、私も象をぱちり。でも今度は「PLAYFUL」という単語に頭が向いてしまう。これもこの本屋で出会ってからよく出てくるキーワードだ。これについては、まだまだ謎の解明が必要なので、これについては、いつかまた。

まずは自己紹介から。

今回のイベントプログラムオーナーである、プロギタリストのこうすけさんの進行でイベントがスタート。
まず参加者全員が順番に自己紹介をしていく。老若男女、多種多様、この「場」にたどり着いた経緯も違うし、この「場」にこの日こうして集まったのは、何かしらの縁があるからかしら?皆さんの自己紹介を聴きながら、そんなことを考えていた。

続いて、3人のグループに分かれてグループワークが始まった。
ここでイベントに参加するにあたって宿題が出ていた。自己紹介を兼ねてお気に入りの1冊を持ってきてください、と。
3人で自己紹介がてら本を紹介する。1人の話に2人で耳を傾ける。ただでさえ、自分の知らない世界にいるのに、さらにその世界の奥へと進んでいくのが分かる。

ちなみに、私はこの本を持っていった。

おそらく絵本を持っていったのは、私だけだった。

『ペンギンさん』はもう随分前に図書館の児童書コーナーでふと見つけた絵本である。
主人公のベンの元に、ある日プレゼントの箱が届くのだが、その中に入っていたのはペンギンさん!でもこのペンギンさん、ベンが仲良くなって一緒におしゃべりしながら遊びたいのに、箱から出した時の表情のまま。無表情。そして言葉は何も発しない。ベンは、ペンギンさんから言葉を出そうと、あの手この手を使うのだが、果たして!?

なぜこの絵本を持っていったのか?理由はこの絵本のラスト2ページにある。さらっとネタバレするが、ラスト2ページでペンギンさんは口を開いて表情豊かに、ベンと出会ってからの出来事を喋り出すのだが、そのページには、文章がないのだ。でもベンは嬉しそうに聴いている。この1ページに私の中で衝撃が走って、じゃあこの場面を他の人が見たらどんな顔をするだろうか?という好奇心が生まれて、ことあるごとに、この絵本を人に読み聞かせては、その表情を見ているのである。当然だが、これが同じ表情じゃないから、おもしろい。

とまあ、初対面の人と、1冊の本を通じて、自己紹介をして、言葉を交わして、お互いのことを知る時間がまずあった。

パターンランゲージカード

自己紹介が終わると、ここから本番ですよ!と言わんばかりの3人での時間が始まる。私たちの班は、自己紹介が終わった時点で、ふとまわりを見回していた。他の班は、それぞれで対話が盛り上がっている。
そう、このイベントの大きなテーマはおそらく「対話」である。

私たちは、あらかじめ配られていた「パターンランゲージカード」に手を付けることにした。3人のうち、2人はこのカードとも初対面。
えー、これなに?トランプじゃないしね。開けたら何かテーマがどーんと書いてあるんじゃない?ああ、テレビでやってたサイコロみたいな?そうそう!
と、想像をどんどん膨らませていったが、結果は違った。

裏には「対話のことばカード」と書かれていた

私の語彙力では説明するのが難しすぎるので、「一枚」の規則を破って写真をもう一枚載せるが、このカードを元に対話をしようという、対話のきっかけになるカードらしい。

最初にこのカードを見て、瞬時に頭の中が「?」で埋め尽くされた。
「これでどうやって対話すると?」
しばしの静寂のあと、同じ班に入っている主催者の方がカードを元に話し始めた。カードに書いてあることと、自分が今まで見聞きしたり、経験したりしたことを絡めて話している。

そっか。その話から、気になる単語や話を元に、今度は別の人が話し始める。話がどんどん進んで膨らんでいく。あ、対話できてるんじゃね?と思いたいところだが、このカードに正解はない。たぶんこういうことじゃね?とずっと思いながら、また次のカードをめくってまた話をしていった。

知図を描きましょう!

班でのグループワークが終わったあと、また初対面の単語が現れた。
「知図」
・・・え?なにそれ?
説明は聞いたものの、私の中のなにそれ感はいっこうに拭えない。

それでも時間は進む。真っ白な画用紙と色とりどりのペンが配られ、グループワークで感じたことを、なんでもいいからこの紙に描きましょうと言われる。いやいや、画力は微塵もないっすよ。いえいえ、なんでもいいのです。線でも、点でも、言葉でも、図形でも。いま感じていることをとにかくひたすらこの画用紙にアウトプットしようということらしい。
しばらく考えて、ペンを手に取る。画力マイナスだけど、描いてみるか。

それぞれの「知図」が出来上がったあとは、それを壁に貼り付けて、参加者全員が自分の「知図」について語っていく。みんなでそれを聴く。その中にも初めて知る単語や共感できそうな話など、いろいろ出てきたが、私以外の参加者さんは、おそらく学問的にとてもレベルが高いんだろうなあと感じてしまい、私の庶民すぎる話がめちゃくちゃ恥ずかしかった。

即興演奏

イベントの最後は、イベントプログラムオーナーである、プロギタリストのこうすけさんの即興演奏で締めくくられる。
このイベントで感じたことをギターで曲にするという。「知図」の音楽版といった感じかなと思いながら、こうすけさんが演奏準備をしているところを見ながら、どんな曲がこれから演奏されるのかじっと待っていた。

準備が終わるとこうすけさんは、ギターを丁寧に鳴らして、一音一音、音を出していく。しばらくいろんな音を出して、今度はその音を重ねていく。きっとこうすけさんの頭の中の「知図」が音で出てくる。その音色は、柔らかく、でもどこか寂しさも見え隠れするような、いやでも聴いていくうちに温かさに包まれていく。外の雨に合うテンポの曲になった。

ぼーっと聴いていると、そのままイベントが終わった。結論がないイベント、本屋アルゼンチンらしいイベントだなと思った。
え、ちょっと待って。知らない人どうしが集まって、自己紹介して、さらに何人かといろいろ話して、画用紙になんか描いて、最後ギターで癒されて、それで終わり??
と思った人がこの記事の向こうに大勢いる気がした。

気づきは後からやってきた。

イベントが解散になったあと、ゆるゆると時間を過ごした。
私はたまたまイベントに参加していたこちらの方を捕まえて、フォローのお礼を直接言った。

トキタクミさんである。
実は、このイベントの前に本屋アルゼンチンで開催された「ソフトな人類学 裏・糸島フィールドワーク」というイベントに参加されており、そのレポートを今回のイベントの直前で見つけて、お互いフォローしたのである。
フォローした時点では、お互いのことを全然知らなかったのだが、自己紹介の時に「あっ!」と気づいたのである。

noteというツールを通して、お互いのことを語り合う、それが対話になっていく。今回のイベント的に言うならばこういうことであろうか。
トキさんと最後に出会って、noteの話をしたら、いっきにこの日の緊張が解けた。トキさん、ごめんなさい。イベントの記憶が薄まらないうちにと思って、先に記事を書いてしまいました(^^;)
ちなみに、サオリスさんがnoterさんだったということ、イベント数日後に東京文フリに参加されるということを、イベントが終わってしばらくしてから知りました(^^;)

「本屋で行うインプロビゼーション」の主催者の皆さま、「本屋アルゼンチン」の店主さま、トキさんをはじめ、イベントに参加されていた皆さま、あの日あの場でお話できたこと、とても感謝しております。

今のところの私の気づきは、
対話するにしろ、行動するにしろ、「場」が大事なのかな?
ということです。まったくの見当違いかもしれないけど(笑)
『本屋アルゼンチン』の謎解きはまだまだ続く・・・。


追記
本屋アルゼンチンさんは、こちらから。


そして、本屋アルゼンチンさんとの出会いは、こちらから。


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