病気の一枚 46
2023年3月の私です。
2019年夏、右胸のしこりに激痛がはしり、検査の結果、乳がん、悪性腫瘍と診断されて、11月に右胸全摘とガンが転移していた右脇下のリンパ節切除手術を受けた。そして12月から抗がん剤治療が始まり、翌年2020年5月にやっと抗がん剤治療が終わり、7月にポート抜去手術後、ホルモン療法(タモキシフェン)が始まった。
2020年9月から仕事復帰。ただし、右腕はリンパ節切除の影響で軽いリンパ浮腫を起こしていたが、少し症状は軽くなってきた。それでも、腕を休ませながらの勤務。今は本格的に仕事復帰している。
2023年1月に再発。右肺の胸膜に転移判明。診断は『右肺の胸膜播種』。現時点でガンに対する自覚症状はない。仕事を続けながら、べージニオ&フェソロデックスを用いて再発治療中。
告知されて、3年5ヶ月。
手術して、3年4ヶ月。
最初の抗がん剤治療が終わって、2年10ヶ月。
再発治療が始まって、2ヶ月。
年に一度のイベントといえば。
それは『健康診断』。はい、やってきました、健康診断。
例年だと、職場に診断隊がやってきて、そこでおとなしく検査を受けるのだが、今年は通院している病院で受けることにした。その理由は二つ。
まず、胃透視でバリウムを飲まなければならない。検査が終わったら、下剤を飲まされる…ん?ちょっと待てよ?私の今の身体って、下剤いらずじゃなかったっけ??そう、分子標的薬「ベージニオ」の副作用で、毎日下痢と闘っているのだ。主治医の先生にも相談した。
「うん、胃カメラにしなさい」
ですよね~。
そして、乳がん術後の後遺症で、右腕のリンパ浮腫を発症しているので、職場で健康診断を受ける時は、血圧を測るあたりから、看護師さんに自分の身体の事情を延々と説明することになる。それが、1度だけならず、心電図や先生の問診、レントゲン、とどめは胃透視でずっと同じ説明を繰り返さなければならなかった。胃透視なんて、あのぐるぐる回るベッドの手すりをやっと持てるぐらいだし、右腕を下にすると痛い。看護師や技師さんに気を遣わせまくって、毎年大騒ぎだったのだ。
なので、今年は通院している病院で受けることにした。
カルテもあるから説明いらずだし、どうせ病院へ通院しなければならないのであれば、一緒に受けちゃえ!という勢いである。
撮った。
案の定、説明は最小限で済んだ。
そして、血液検査は、健康診断の後、外来でまた受けると話したら、看護師さんが気を利かせて、針を刺すのが一回で済むように、外来の担当者と話をしてくださって、いざ採血となった。が、
「はい、腕を見せてくださいねー。あら・・・うーん・・・」
「あ、今日は血管がない日ですか?」
「いや、血管はあるんですけどね、うーん・・・痛いかもしれないけど、手の甲で採ってもいいですか?一番確実なので・・・」
「え!?」
「いや、どちらでもいいんですけど、腕に針を刺してぐりぐりされるのは嫌ですよね・・・」
「そうっすね・・・採れるところでお願いします・・・」
その後、私の「いてぇぐぇぇううぅぉぉぉお・・・」という唸り声が部屋に鳴り響いたのは、言うまでもない。
この日、健康診断のラストは胃カメラだった。
十数年前に一度飲んだことがあったので、初めてではなかったものの、今回はきつかった。何がって、カメラを飲む前の麻酔である。
とてもリラックスできそうな椅子に座らされ、麻酔ゼリーを時間をかけて飲んだかと思うと、最後のとどめで、麻酔スプレーが口の中へ。これが本当にとどめとなり、手足をバタバタさせて苦しみながら、看護師さんに背中をさすってもらいながらの検査となった。
でも、結果はいたって良好だった。めっちゃきれいな胃で、もうこれは映えるんじゃね?と自画自賛するぐらい綺麗な一枚だった。
健康診断の結果は、まあ、薬を服用しているので、赤血球を中心に平均以下を記録しており、再検査の紙がしっかり入っていたが、主治医の先生と話して、薬を服用しているせいだから、問題ないということであれば、その旨を書いてもらってくださいと言われた。
べージニオとの闘い。
分子標的薬「べージニオ」の副作用は下痢。
最初は「下痢に振り回されし者」で、あまりの下痢のしんどさに休薬したりしていたが、途中の検査で、腫瘍マーカーの数値が下がっているのが確認できたので、「このままいきましょ」という先生の言葉を励みに飲んでいる。
下痢止めも常備しているが、止めるより出した方がいいという話なので、それを実践していたら、3月は1日10回下痢という記録を樹立。でもその日はさすがにお尻が痛くなって、下痢止めを飲んだが、先生にその話をしたら、
「適度に下痢止め飲みなさいよ」
と優しくたしなめられた。そう、適度をよく超える私である。
時間が経つにつれて、2週間の服用で、下痢止めは4錠ほど飲むようになった。できるだけ自然と下痢を止めたい。なので、下痢の後は、ポカリスエットなどで水分補給をして、お腹を温める。すると、しばらく下痢はピタッと止まる。でもまあ、すぐやってくるのだが・・・。
フェソロデックスとの闘い。
フェソロデックスとは何か?
ホルモン薬で、筋肉注射で、左右のお尻の横の「中臀筋」に一本ずつ打つのだ。これが今4週間に一回。
これがまあ、注射嫌いの私にとって、また苦痛なひと時になるのである。でも注射を受ける前の先生の問診で、先生は言う。
「あなたのガンに効くから!」
そう、飲み薬のベージニオも、このフェソロデックスも、とにかくよく効くから、と先生にずっと言われ続けて、笑顔で見送られて、注射を打つのである。
注射を打った後は、しばらく数十分ほど、ベッドで休ませてもらい、落ち着いたら、そっと立ち上がり、「お世話になりました・・・」とお礼を言って、そろりそろりと会計へ向かうのである。
打って4,5日ぐらい、打った箇所が痛く、そのうち、だんだん痒みが増してきて、お尻をぼりぼり掻き始めてしまう。そして、痒みが止まらなくなるので、先生に相談した。
「痒いなら、冷やしなさい。掻くとばい菌が入りそうで、そっちが心配よ」
そっか。
その日から、痒みがひどい時は小さなアイスノンで冷やすようにしている。
こちらもいったん結果が出た。
こうして、いろんなことがあったこの2ヶ月ちょっと。あらためて、血液検査が行われた。その結果、腫瘍マーカーの数値が半分に減ったのだ。
「先生、減ってる!」
「よしよし!このまま、この治療を続けましょうね!」
「はーい!・・・ってことは、注射・・・」
「そうなのよね・・・効いてるから、ね!」
そう言って、また笑顔で見送られるのであった。
薬の副作用もだが、下痢でいろんな栄養が足りなくなるので、それを食事で補おうと心がけている。私の場合、特にタンパク質とカリウム。旦那がいろいろ調べてくれて、いろんなものを試しているが、今は毎日納豆(レンコンパウダーと生姜入り)を摂取している。
でも、これだけ食べても、どんなに食べても、悲しいかな、数時間後には下痢として出て行ってしまう。最近は夜中でも下痢で起こされるから、困ったものである。朝なんて、ひどい時は30分ほどトイレに引きこもっている時もある。
「下痢に叩き起こされし者」だろうが何だろうが、やるしかない。
追伸:病気の一枚は連載モノです。よかったら45もご覧ください。
いちおう今までの分は私の病気マガジンにまとめています。
1から読むと、かなり長くなりますが、興味がある方はどうぞ(^^;)
えっと、13までは病気治療に専念しており、14あたりから徐々に社会復帰して、毎月の定時連絡になり、44から再発治療が始まります。