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手づくりの一枚 10

「つくってみた」

そう、まさに「つくってみた」なのである。
まだ若いが、麦味噌と米味噌である。

実は、今年に入って、朝ごはんはほぼ食べない派だった旦那が、仕事の都合で朝ごはんを食べることになった。そこで、旦那にアンケートを取ったら、「白いお米と味噌汁が食べたいです」と回答があったので、味噌汁を食べる生活に突入したのである。

もう一つ白状すると、私自身、味噌汁があまり得意ではない。味噌汁よりお吸い物の方が好きだ。が、人間はたいていのことに慣れていく。歳を重ねるにつれて、味噌汁を飲めるようになってきた。でも酒粕汁は、いまだに苦手である。飲めないというわけではないけれど。

今年に入ってから、

そう2月だった。近所のスーパーに、それぞれの麹と塩が入った袋が売られていた。お味噌屋さんが売っている味噌づくりキットである。袋には、麦麹もしくは米麹と塩が混ざった状態で入っており、あとは煮大豆を作って入れたらできあがり!というなんともお手軽セットである。

これなら、味噌作り初心者の私でも作れるんじゃね?そう思って、あらためて売り場の陳列棚を見た。あれ?2,3日前は、ここに合わせ味噌用の袋があったのに、今日は麦と米が別々に売られている。店員さんにも確認する。もうこれしかないですよ、との返事。

うーん・・・悩む、考える、唸る。アタイは合わせ味噌がほしいのさ。でも、もうないんだとさ。どうするさ。
棚の前でしばらく袋を見つめた後、麦と米、両方をかごに入れた。両方作って、味噌汁を作る時に合わせればいいじゃないか。それにしても、なんだかやけに重たいな。いったい何キロあるんだい、この袋は。

あのぅー・・・

さっきとは別の店員さんに、これが何キロあるのかを尋ねた。
「ん-・・・5キロですかね」
「5・・・キロ?えーっと、もうちょっと少ないのはないんですか?」
「そうですねぇ・・・これだけですね・・・」
「分かりました・・・ありがとうございます」
5キロか。どうりで重たかったはずだ。ということは、出来上がりは10キロか?えーい、もう5キロだろうが、何だろうが作ってやろうじゃあないか。

こうして、大雑把なO型お得意の「どうにでもなりやがれ」精神が、どどーんと前面に出て、麦麹と米麹をそれぞれ5キロずつと、煮大豆用の大豆と大豆を煮る大鍋がなかったので、ついでにホームセンターでそれも買って帰宅した。

袋の中に入っている1枚のレシピを読んだ。ふむふむ。まあ何はともあれ、煮大豆の準備からだな。
部屋中に大豆の匂いをぷんぷんさせながら、煮大豆を黙々と作っていく。作って、作って、作って・・・もうこれだけで力尽きたが、最後まで突き進んでいくしかない。レシピとにらめっこしながら、どうにかこうにか、最後の工程までたどりついた時には、もう夜9時になろうかとしていた。

撮った!

こうして2月に仕込んだ味噌たちは、レシピに書いてあるとおりだと、3ヶ月後に出来上がるらしい。ということで、レシピどおり、3ヶ月後、そっと開封してみた。おお〜、味噌の風味がいい感じ〜。でも、まだちゃんと馴染んでないような・・・。

そっと蓋を閉じて、また1ヶ月ほど寝かせてみた。来月はこの味噌で味噌汁が飲めるかな〜という期待を胸に1ヶ月を過ごした。

そして、梅雨に突入した6月後半、また蓋を開けてみた。もういいかーい?と味噌に声をかけながら、味噌汁用に麦味噌と米味噌を少しずつすくって味噌漉しに入れて、豆腐とネギと出汁が入った鍋の中にすりこんでいく。

出来上がった味噌汁は、いつもと同じ美味しそうな色をしていた。一口飲んだ旦那に感想を聞いてみる。
「どう?」
「ん?いいんじゃね?」
・・・聞く人を間違えた。飲めればなんでも「いいんじゃね?」でコメントが終わる人だった。
まあ、気を取り直して、味噌汁を一口飲んでみる。美味しい!まだ味噌が若いからか、味が軽くまろやかである。味噌があまり得意でない私には、これくらいがちょうどいいかもしれないなと思いながら、また一口飲んだ。

なんだか、ほうっと、するなぁ~



記事を書くための栄養源にします(^^;)