ブルーアーカイブのイベントで突如語られた宇沢レイサという女の掘り下げと杏山カズサの過去に感情が破壊されている【リライト版】
※本記事は、筆者が過去はてなブログに投稿した記事をベースに加筆・修正したものです。本人が書いてるから無断転載とかパクリとかじゃないよ!
おばんどす。
放課後スイーツ物語〜甘い秘密と銃撃戦〜が復刻されましたね。待ちに待ったレイサも実装!!!!!!ブルアカのなかでもダントツで好きなイベントだったのでいつ復刻されるのかワクワクしていました。
何が楽しいって、去年のおれがあまりの悲痛さにディストーションかかったホシノみたいな顔になっていたのを新人の先生たちがいままさに体感していて、宇沢レイサに悲鳴を上げまくっているのを外側から眺められることですね。
楽しい~~~~!!他人が情緒を八つ裂きにされるのを見るの、楽しい~~~~~ッ!!!!おれが去年書いたオリジナル版記事へのアクセス数が増えているのを見ながら「アーッ!!あなたの苦痛!!ミカ実装で始めたであろう新人先生たちが例のシーンで苦しんでいる!!!アーイイ……遥かに良い~~~~ッ!!!」とアゴニィ=サンみたくニヤニヤしています。オ、オブジェ!!
さて、以下の本文ではイベントが実装された当時におれがレイサの境遇に悶え苦しみながら書いた記事をベースに、今思っていることなども加筆しながら語っていきたいと思います。
あとまあ語る以上は当然なんですが、イベントのネタバレ、および宇沢レイサのモモトーク内容を含んでいますので、読むのを避けていただくかイベントをクリアしきってから読むことを推奨します。
何なん?
いやほんと何なん?急に刺してくるやん。なんかカズサの中二病にまつわるお話をワイワイやっとると思ったら、レイサをいきなり平成ライダーの誕生秘話みたいな悲壮な決意で戦いに望まさすやん。ブルアカおまえ話してる途中に温度感急に変わるよな。コワ~ッ…。
宇沢レイサちゃん、作中のはじめこそいわゆる「痛い」女の子だと思わせる言動が多いんですが、公園でのシーンあたりから寂しがりだしかなり聡い子であることがわかってきて、先生はとても刺さりました。
もちろん、かつて中学生だった大人たちのひとりであり、いまでも三十路を前にして(※)中学十五年生やってて同級生が子供を抱いてる世代のおれからすると「う、うわぁ~~~!おれにもこういう時期あったなぁ~~~」という意味でも刺さるんですが、それとは別に頭では自分の良くないところがわかってるけどコミュニケーションがうまく取れなかった思春期みたいなところがぶっ刺さってしまい、独身のころの福満しげゆきみたいな表情で眺めています。
(※筆者注 オリジナル版の執筆当時は29歳でしたが加筆している現在30歳になりました。ウギギギ……!三十路になったダメージ…すっげえデケェ……!)
確かにレイサちゃんは決闘でしかカズサとの関わり方がわからず、コミュニケーションにおいて相当な悪手を打ってきたので自業自得ではありますが……
それもやはり、ライバルと久しぶりに会えたことに舞い上がっていたことを自覚していて、「ああ、まずかったかも」とは薄々思っていたのでしょうね。たぶん頭の中では「あ、これヤバイかも…」と気づきながらついつい口が滑って止まらず、あとになってひとり反省会をするタイプなんじゃないかなと。
おれも絶賛中二病の中学生のときに仲良くなったオタク女子グループの子に絡みすぎて「君、痛いよ」と距離を取られ疎遠になった熱量多めウザオタクだったので、「一人になって落ち着いた時にやらかしたことがグーッとのしかかってくるよね…」としみじみしました。あったあった。(老人)
いわゆる、アッパーなコミュ障というやつですね。うまく自分の思考を言語化できなかったりいざ言ってみた言葉が誤解されることへの恐れによって人と会話できないダウナーなコミュ障とは違い、自分が言いたかった本来の言葉にくっついてドワァーーーッ!!とおまけがくっついてきちゃうタイプ。つい喋りすぎてしまうので、会話のキャッチボールで一方的にドカドカ投げ込んでしまい相手が喋る余地がない……。だから相手の言いたいことを言わせず、あんまりよく思われない。
ええ、わかりますよ先生は。レイサのこと怒ったりおかしいと思ったりしないよ……おれもそうだったから……。
このシーン、ほんとなんていうか「いいんだよレイサ、泣いたっていいんだ……」と思わずにはいられない。つらい、悲しい、寂しい。だったら泣いてもいいのに、レイサちゃんは全然泣かないよね。笑ってやせ我慢してしまうというか、すごく不器用でワガママを言えない子なのかもしれない。このあときっちり自分の行動に筋を通し、やったことに落とし前をつけに行くことを含めて、本当にただ"人との関わり方の最初のボタンを掛け違えがちな子"なだけで話してみると落ち着いて物わかりがいい優しい子なのだなと思わせます。
レイサの人間的魅力は、やはりその二面性にありますね。つい舞い上がってはしまうけれど、別に相手のことを不快にさせようとか辛い目に遭わせようってんじゃない。相手のことを思いやれるし、自分のやっていることを「あれはマズかったかな……大丈夫かな……」と振り返って自省のできる賢い子なんですよ。地頭がいいものの、脳みその制御盤が急にオーバーヒートして言うこと聞かなくなる感じで、一回落ち着いて冷えたころに遅れて本来の頭の良さが出てきちゃう。むしろ、天然のアホだったら今この瞬間のことしか考えられないので悩まないで済む。過去のことなんぞ忘れて鼻ほじりながらドンパッチソードとか魔剣大根ブレードとか振り回しておればいいのですが、気にしいのレイサは誠実であるがゆえにアホになりきれず苦しむわけです。先生はそんなレイサの辛い告白を、そっと隣で受け止めます。
ブルーアーカイブ、なんかそういうところあるよな……イオリに対してはポケサーとかバイトで皿笑ってるときの桐生ちゃんレベルで先生の言動が不審になるくせに、メインストーリーとかイベントだとめっちゃ急に子供の成長とそれを優しく見守る大人の構図を丁寧にやりだすとこがさ……
それだけに、ラストの締めは本当に良かった。ウッウッ………良゙がっ゙だ……良゙がっ゙だな゙ぁ゙レ゙イ゙ザ…
今回、コメディリリーフのナツが不在だったらブルアカがうっかりアークナイツ級の重さになるところだったぞ、いやマジで。ブルアカくんは透明感出すために急にレイヤー全体の彩度下げるとこあるからな……。
カズサの脱スケバンを深読みしてみる
レイサが宇沢絡みしてくるせいや、中二病を忘れたい……いわゆる高二病のせいもあるだろうけど、作中のカズサを見ているとそれにしても中二病に対するアレルギーが強すぎるな、と個人的に思っていて。それが原因でレイサのことを不用意に傷つけてしまうことになるんですが、そのへんもカズサの視点に立ってみると確かに納得できるところがあるかもしれないな、と。
まあまずカズサがスイーツ部を大切に思っていて、自分のキャスパリーグ時代がスケバンにバレることで仲間に迷惑がかかること・いまの生活が台無しになることを恐れている、というのが前提にあります。
でも、もうひとつそこに要因が絡んでいるのではないか。
カズサ、今はともかくとしてスケバン時代は結構暴力を楽しんでる様子なんですよね。イヤイヤやってるとかじゃなくて、自発的にケンカをやりに行ってる。
スケバンたちにもいろいろ悲しい事情があり、やられ役をしてたりおうちがレイドで徹底破壊され沈没したりするせいで忘れがちなのですが、ブルアカ世界のスケバンも現実の不良と同じく、カツアゲやいちゃもん、店の人に吹っ掛けてタダで商品を巻き上げようとする、スイーツ職人を監禁して脅すなどかなり悪どい連中ではあります。カズサがそこまでやっていたかはわかりませんが、地域に名を轟かせるほどであればまあ相当に素行が悪いだろうし、弱い立場にある人から金品を巻き上げたりいじめて困らせてきたことは十分ありえますね。
カズサが自分の過去を嫌がっているのは、そういうところも含めてなんじゃないかなと思ったりもします。「あのときの自分、マンガのマネして喋ってたりしてイタかった~~!!」とかそういうオタ話で済ませられるレベルのものではなく、暴力を振るい、わりとシャレにならんところまでやらかしていたことを後悔しているのかもしれません。
キャスパリーグ、マビノギオンなんて名付けて自分に酔って小さい世界だけを眺め調子に乗っていて、相手の気持ちに思い至らず悪さをすることを楽しむようなところもあり……。それをあとから礼儀や道理を身に着けて振り返ってみたとき、自分がどれほど取り返しのつかない暴力と加害性で汚れているかまざまざと自覚するというか……。スイーツを楽しむ人を見て雷に打たれ、生き方がガラッと変わり自分の視野が広がったために「なんて狭い世界で生きていたんだ」「自分は平気で笑ってひどいことをやれるような人間だったんだ」「ちょっと考えればわかることなのに、どうしてやられる側の人の気持ちに思い至らなかったんだ」とカズサは気が付いてしまった。
レイサに対してつらく当たるのは、そういう自分のもうどうにもできない過去の罪があること、笑って他人を傷つけるような最悪の人間だったことを天真爛漫なアイリたちと比較して悔いているのに、さも"ワルの伝説"のように吹聴され、変に持ち上げようとしてくるところに苛立っていた部分もあるのかな……なんて思ったりします。レイサがいると、自分がスイーツ部と並べるほどキレイな人間じゃないと強く認識させられてしまうからなんじゃないか、と。
ナツの名立ち回り
このイベントの功労者といえば、間違いなくナツですね。先生も確かに生徒を見守っていましたが、バツグンのフォローを見せていました。
ナツもあれはあれで存外あなどれない人というか、人のことよ~く見てるんですよね。最終的にどうなるかまではあんまり考えてないところが若干ヌケてるのですが、たとえばカズサとレイサちゃんの間で自分たちの関係がなんなのかわからなくなっているところに「悪友」とぴったりな距離感の言葉を見つけてあげることで付き合いやすくしたり、最後にレイサちゃんを招いて"レイサちゃんが居てもいい場所"を作ってあげたりと、ものすご~く人と人の関係のケアをやっているんですよ。
あらためてそういうふうにナツの行動に注目してみると、中盤でスイーツ部の面々が「スイーツ団」になろうとしたのは、これもあながちナツのおふざけではなかったんじゃないか……という風にもとれますね。
重たい過去にズケズケ土足で入り込まれたかたちになったので、確かにカズサからすれば「私の過去のこと、からかってんの!?バカにしてんの!?」と怒りたくなる行いだったわけですが、彼女らとしては意図があってやってるわけです。
劇中でカズサは自分がスケバンであったことを言いたがらず、なおかつそのせいでレイサにも辛く当たってしまうのですが、それは先述したとおり「自分がスイーツ部の純粋な面々と違う、恥ずかしい汚れた過去がある」といったコンプレックスがあるからだと察せられます。
それに対して、スイーツ部の仲間たちは「カズサと同じ姿になる」ということを選んだ。カズサがたとえスケバンとして洒落にならない、誰かを傷つけるような悪さをしていたとしても、今カズサがここにいるのなら構わない。あなたのことをわかりたい。あなたが自分を汚れていると思うんだったら、私たちだって汚れてやるから気にしなくていいさ。そういう"赦し"をともなったメッセージではないかなとも思えます。
トリニティがキリスト教をテーマにしていること、四人の名前に植物が含まれることを考えると、過去を悔い改めて受け入れるカズサという今回のテーマはなかなか興味深いところがありますね……。とくに、アダムとイブが食べたせいで善悪を識ることになった知恵の実は、一説には"杏"ではないかともいわれています。
結果的にカズサはレイサちゃんの窮地に駆けつけることで考え直し、先生に語った通り「自分はスケバンだった。その過去は消せないから、考え方を変えて受け止められるようにする」という受容に至るわけですし、ナツにほじくり返されスケバンだったことをネタに笑ってもらうことで恥ずかしいなりに過去と向き合っていけるようになりました。先述しましたが、やっぱりナツは人のことをよく見ているんじゃないかな、と思うところです。
実は器の大きい人、ナツ
ちなみに、ナツはこういう人なんです。
普段の素行がヌケてたり、ぼんやりと抽象的なことを言っているせいで天然な人物に見えるのですが、絆ストーリーを読むとスイーツになぞらえて彼女の考えを教えてくれます。
クッキーが不揃いでいろいろな形があることを「良い」と言っている通り、カズサのことも、レイサのことも、おそらく「そういうかたちの子がいたってべつにいいんじゃない?」と思っているのではないでしょうか。
イベントを振り返ってみると、ここもシビれるシーンですね……。
先生の話を聞く前からかなりの精度でカズサの悩みを言い当てている。なんかフワフワっとした迂遠でいつもの芝居がかった言い回しと思わせつつ、「きのうレイサと出くわしてからカズサの様子がおかしい」という一件だけで、なんか隠したい過去があるんだな……ともう芯を食ったアタリを付けてるわけです。
そのうえ、「それを踏まえて何故先生が自分たちの様子を見に来たか」までズバリ当ててるし、「自分と同じか違うかなんかにこだわってたらスイーツ部なんかやってないよ」とホームラン級の答えを返してくる。いや〜〜……かなわん。相当な切れ者ですよ。
これだけ普段からいろいろ考えている洞察力の強い子が、何の目的もなく的はずれな事を言ったり笑われることをしているとはちょっと思いづらい。ナツは、おそらくムードメーカーとして計算しながら抜けてる性格を演じているのではないかという一面があります。
イベントではカズサをキャスパリーグとしておちょくってボコボコにされる一幕がありますが、これもわざと道化役を買って出ているように見えますね。
そういった点から、おれはたびたび「ナツはけっこう凄い奴だぞ」と主張しているのですが、特に本イベントでは地味ながらナツの配慮が垣間見えてきていいんですよね。見た目アホそう(失礼)ですが、ナツちゃんは注意深く周りを観察していて同世代の子よりかなり色々なことを深堀りして考えている生徒なんです。
たとえば、孤独で寄る辺のない子と自分の過去を後悔している子が関わり方に悩み、ぶつかり合うのを見て、自分は何をしてあげられるだろうか……とかね。彼女の思想を知ってから今回のイベントの行動を見直してみるとなかなか味わいがありますね。
ブルーアーカイブ、子供から大人になって視野が広がっていく、思春期の心の機微を本当によく捉えたゲームですよ。これから紡がれていくストーリーにも大きく期待しています。
……と、言ってもおれは既に去年このイベントに直撃して免疫がついている身……。ま、これ以上このイベントに情緒を破壊される事ァないっすね……もうレイサについてガチ泣きしたり感動することもなし。このゲームでこのおれが精神的動揺で「エモすぎて狂う」なんてことは決してない!と思っていただこうッ!!
さ〜て!後輩先生たちがイベント初見で上げる悲鳴を楽しみながら、モモトークでものんびり読んじゃおっかなァ〜〜〜!!!ウフフ!!!!!!!
エモすぎて狂う〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!!
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