日記:Perfect Vermin 完全なる害虫退治の日
ここ最近はSteamのサマーセールについて記事を書こうとライブラリを漁っているのですが、今日は「番外編」としておそらくセールの記事に書けないであろうゲームを紹介していきます。
ゲーム自体も短めですし、平日で書く時間もあんまりないので少し短めの記事です。
このゲームはちょっとグロテスクで悪趣味な表現があるのですが、まあ本記事中に画像を載せることはないのでそこはご安心ください。
完全なる害虫の退治
今回紹介するのは「Perfect Vermin」という風変わりなゲーム。
なんとこのゲーム、無料です。すこ〜しだけグロくて悪趣味な表現がへっちゃらなら是非自分でプレイしてみてください。
あとで詳述しますが、ものすごくよく練り込まれた傑作です。
作中ではおっさんがなんか英語でゴチャゴチャ話しかけてきますが、ルールは簡単。ちょっとしたプロップハントゲーム(※かくれんぼのようなもの)でして、本来そこにあったらおかしいものを規定数ハンマーでブッ壊してエレベーターに戻るだけ。ちょっと変化球なステージもありますが全編通して20分くらいで終わります。
……で、クリアしたところで……たぶん「英語でなんか大事そうなこと喋ってたな〜!」と感じるかと思いますので、有志の方が作ってくれた日本語訳ガイドを読むのをおすすめします。
ここまででだいたいトータル2時間以内でおれが「このゲーム紹介したいなぁ」と思った理由をたぶんご理解いただけると思います。超スピード!?!?
構成が美しすぎるゲーム(以下、微ネタバレ)
なんかガイド作ってくれた人が優秀なのでおれが言うことなんもなくない?(役割終了)
…というのは冗談として、ちゃんと書きますが……
いやぁ……すごくないですか?このゲーム。
むかしSteamの無料ゲーム漁ってたときにコレ見つけて恐る恐るプレイしたら、もうびっくりしましたよね。だってビジュアルがこれだけおぞましいのに、本質的にホラーゲームですらないんだから。プレイヤーの立ち位置や行動、ゲーム中に出てくる小道具などすべての要素がしっかりと意味を持ち、振り返ってみるとなんにもムダがない。
そもそもこのプロップハントというゲームルールすら、プレイヤーがなんなのかを隠喩する役割をもたされているわけですよ。「一見ほかのものと変わらないけどそこにあっちゃいけない物を壊す」……まさに抗ガン剤の仕事ですね。
そりゃ、そうですわ。
隠れている敵を攻撃するときに、おれたちプレイヤーはうっかり間違えて普通のオブジェクトを壊すでしょうよ。むしろおれなんか初プレイのとき何も知らないであたり一面のオブジェクトぶっ壊してましたからね。クソ迷惑すぎる……。
我々プレイヤーってのは要はさっきも言った抗ガン剤なので、破壊すべき対象だけでなく副作用として健康なところまでやっちゃうことがある。我々がついやってしまいがちな間違いすら利用してそのことを表しているわけで………う〜〜〜〜ん、ゲーム作りが上手い。
「エレベーターに乗って色んな所に移動して仕事する」という一連の手続きも血管に乗って各臓器に行くことを意味していますし、プレイ中に終始おっさんが急げ急げと急かしてくるのもちゃんと彼なりの切羽詰まった動機があった。
見た目もだんだんグロテスクになっていくけども、作品の舞台が舞台なんだからグロテスクになるのはしょうがない話であって、おれたちがプレイ中「オエーッ!!」「おっさんがどんどんキモくなっていくんだが!?!?!?(失礼)」と気持ち悪がったり恐れおののいていたことも後から考えると「いやまあそれはそうだよな……これは病んでいく人体の隠喩なんだから…」としっくりくる。
もっと言ってしまえば、このゲームで起きていることは現代の我々の身の回りで毎日のように起こっている事柄であって、それを描いて見せているこのゲームは「(社会派テーマではあっても)別にホラーというわけではなかったんだな…」とプレイ後にスッと恐怖心が氷解する稀有なゲームですよね。
最初はグロテスクホラーとして何をやっているかわからないように煙に巻いて興味を惹きつけながら、最後に結論から逆算して考えていくとスッキリ謎が解ける。本当になんというか、無駄がない。このゲームが無料で提供されていて、手に取りやすい(人々に知ってもらいやすい)ということすら意図があってそうしている。最初から最後まで全部計算されているんですよね。
メチャメチャグロテスクな見た目のくせに、このゲームは美しい。舌を巻くような周到さですよ。
そんなわけで、今回はちょっと変わり種のゲーム「Perfect Vermin」の紹介でした。
皆さんもできるかぎりタバコを控えて、養生してくださいね……