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【エッセイ】ビールとの別れ話

お酒を辞めようと決めてから約2週間が経過した9月17日(日)の夜、なんとなくビールを飲んだ。このビールは、9月も中旬に入ったのにまだまだ暑く、夕方に散歩に出掛けて近所の出店が立ち並ぶお祭りを見物して帰宅した後、シャワーで汗を流した後の1杯だった。禁酒にも見事に失敗したので、9月に入ってお酒について考えたことを文章にしてみようと思う。

久しぶりに飲んだビールは美味しいことは美味しいんだが、「本当にアルコールである必要があるのか」と冷静になる自分もいる。ここ数年間、金曜日になると次の日が休みだという理由で何も考えないでお酒を飲み、土曜日も全く同じ理由で飲むような日々だった。というわけで、この2週間だけでもアルコールを絶ったのは自分の中でかなり大きな出来事だった。
これだけほぼ毎週飲んでいたお酒を辞めようと決意したのは、9月1日に職場の人たちと飲み行き、そこで記憶が曖昧になるまで飲んだ翌朝のことだった。その日は前日に飲んだ量の割に酷い二日酔いならず、空腹だったから温かい麺を食べたいと思い、コンビニに行くことにした。玄関で昨日と同じサンダルを履くと、鼻緒の部分が切れていた。その瞬間にあまり覚えていなかた昨夜の出来事の一部が蘇り、酔っ払って躓いた時に鼻緒が切れたのを思い出した。今年の夏に買ったばかりのサンダルだった。

断酒宣言の原因となった日に訪れたビアガーデン

飲み過ぎた翌日に襲ってくる後悔とか罪悪感とかが一緒になった負の感情は、アルコールという成分が原因だなんて話をどこかで聞いたことがあるが、もうただ自分が情けなくて仕方なかった。これまでにも、お酒で人に言えないような失敗はしてきたが、ボロボロではないけど履けなくなったサンダルを目の前にして、自分はこの先あと何回お酒を飲んでは同じような後悔を繰り返すのだろうかとぼんやりと考えていた。そして二日酔いのたびに何度も口にしてきた、「あぁ、もう飲みすぎないようにしよう」という言葉の無意味さを本当に理解し、たどり着いた答えが「自分にはもう酒を断つしか道が残されていない」ということだった。

やることは簡単。ただ酒を飲まないことだ。幸いなことに、自宅にお酒を常備していなかったので、捨てる必要はなかった。ただ問題はどうすれば酒を飲みたくならないかだった。

そこで断酒によるメリットを調べることにした。「断酒 効果」「禁酒 メリット」など似たようなキーワードをせっせとGoogleに掘り込んでいく。出てきた記事をサラッと眺めながら読むと、お酒を辞めようとする自分の背中を押してくれるような言葉が並んでいて、少し気分がよくなる。中でも特に気になったのが肝機能の改善だった。これまでの自分の生活は肝臓を相当いじめてきたんだと思いながら、また「肝機能 改善 メリット」などとGoogleで検索。肝臓が良くなるとで体には良いことが起こることを知り、近い将来、これらのメリットを享受した自分をイメージし、お酒を絶った姿を少しずつ固め、断酒一日目を終えたのだった。

お気に入りのノンアルビール

その後も友達と会って外食する機会もなく、想像していたより禁酒に苦労はせず約2週間が経過しいた。そしてなんとなく飲んだビールを皮切りに、その後もお決まりの金曜日だからという理由でビールを1本飲んだりしながら、ゆるゆるとビールを嗜む生活に戻ってしまった。なんならこのエッセイも飲んで帰って来てから少し書いていた日もあった。こうして、ぬりと禁酒生活を終え、いつもの通りの生活に戻っていくことになった。

2023年の9月は、自分と酒を切り離すのはそう簡単ではなかったということを学んだ1ヶ月だった。こうやって文字にすると自分が依存症の可能性を秘めていそうな気もする。ただ自分の中では、「酒=悪」(お酒のテレビCMがやたら多いのも気になったり)みたいな感情が少しだけ芽生え、飲酒量に気を遣うようになったのは良かったはずだ。12月くらいにお酒の量が減って変わったことみたいなテーマでまた記事を書けるように、節酒に励もうと思う。

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