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国語力が伸びる?!MNTSQの会社生活で磨かれるテキスト対話術

 こんにちは。MNTSQ(モンテスキュー)というリーガルテックのスタートアップでアルゴリズムエンジニアをしている坂本です (自己紹介ブログはこちら)。今回は、社内のコミュニケーションについてご紹介します。

 入社以降の半年を振り返ると、未経験からのソフトウェアエンジニアリングのキャッチアップ以上に大変だったのが、速いサイクルで異職種コラボレーションを行うために必要な、SlackやGitHub issue向けの文書作成術を身につけることでした(今でも試行錯誤の日々です)。

 非同期で行われるテキスト対話向けの文書作成術の必要性と習得過程の一例について、エンジニア側の視点からご紹介します。(セールス寄りの立場だと同期の音声対話が増えるので、社内のコミュニケーション手段についてはまた違った景色になると思います。)

【プロダクト開発のサイクルが速いため、対話のサイクルも速い】

 個人的には、会社設立から3年目でプロダクトが複数のお客様に導入いただけるまでに育った秘訣の一つが、SlackとGitHub issueといったテキストベースのコミュニケーションではないかと想像しています。
 MNTSQでは、お客様からの声や事業方針が毎日、毎週、毎月、半年単位で共有されます。その内容を各メンバーが自律的に把握し、プロダクトにとって必要な機能を提案し、実装・改善を行います。自分のタスクは事業方針とマッチしているか、メンバーがお互いに随時確認しながら作業を進めており、アジャイルでSaaSプロダクトを作る現場ならではの、質問応答サイクルの速さが見られます。この速さを支えるのが、テキストチャットで濃い対話を行うための文書作成術のように見えるのです。

【リーガルテックのアジャイル開発を支える秘訣は、各メンバーの国語力にあり?!】

 MNTSQでは、「変化を迅速にキャッチしながら、それぞれが臨機応変に動いてゴールにたどり着く」というスタイルで開発しています。そのため、疑問点はどんどん質問して応答してもらい情報を集めないと、自分の仕事を前に進められません。

 このスタイルを反映するかのように、MNTSQのSlackには質問文と応答文が飛び交っています。試しにslackの本文を検索してみると、疑問文(質問文)と平叙文(応答文や、単発のお知らせ)の割合は1:2くらいと言えそうです。(桁の感覚を掴むため、断定の助動詞で終わる文末数をざっくりと検索すると、「です。(165,000文)」、「ます。(160,000文)」、「ません。((26,000文)」を合わせて、351,000文なのに対し、疑問の終助詞と読点をあわせた「か。」で検索すると、197,000文ヒットします(2021年11月中旬現在。厳密な文字列マッチではない仕組みのようで、やや似た文字列もヒットしています)。)

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図1. ある日のslackの一例

(掴みたいのは正確な数値ではなく平叙文と疑問文の割合なので、カウントがざっくり過ぎると自分でも思いますが、このまま話をすすめます。)

 粗い見積もりですが、MNTSQのSlackから3文取り出したら、1文は誰かからのお知らせ、もう1文が質問で、残りの1文が応答、という割合です。現在でも社員数30名、1年前までは10数名でこれだけの数ですから、量はかなり多いと言ってもよさそうです。(他社のSlackやteamsの文末表現を検索したことはないので比較はできませんが、私には十分に、未知のプロダクトの理想形を探りながら開発しているスタートアップの躍動感が伝わってきます。)

 処理量からくる切実な事情により、自分とは背景知識の異なる相手に必要な/処理しきれる量の情報を、相手が必要な/受け取れるタイミングで提供するスキルが求められます。

 具体的には、
1. 「相手にしてほしいことを端的に書く(遠慮は不要)」
2. 「応答してほしい締め切り日を書く」
3. 「相手の背景に合わせて出す情報を取捨選択する」
4. 「目に入る文字数を少なめに抑える」

という推敲の力を磨いて、コンパクトな見た目の文に、相手に動いてもらうための情報を収める必要が出てきます。チャットに関わらず文書作成はそれなりに難しいので、社内向けの文書作文術の講座が開かれており、主催者の取締役が小説を書いているところも、この会社の多様性の一端を表していて面白いと思います。

(とはいっても、プロジェクトの初期など、お互いの前提を探りながら対話しなければならないときや、文字に起こすコストに見合う記録としての価値がでない時は、あっさりと音声に切り替えて話します。毎日行われている、進捗共有&優先順位の確認のための15分の会も、音声です。)

 情報密度の濃い対話のための文書作成術を掴むのがなかなか難しく、今でも日々修行中です。しかし、慣れてくると、入社前に紺色の本を読んだ時に興味をもった事業立ち上げの速さの秘訣に近づけてきたかも?という感覚も湧くため、面白さもあります。

 このような自律的な働き方に魅力を感じていただけましたら、どうぞご応募ください。選考前に会社の様子を知りたい方向けに、カジュアル面談も随時行っております。

MTNSQの採用ページはこちら

【付録: 最近読んで面白かった本の紹介】

 最近読んだ本の中で、作文や対話について参考になった書籍をご紹介します。

「段取り上手のメール さくさく仕事が進む超速文章術」
https://www.amazon.co.jp/dp/4163912401/
テキストで非同期に対話する際に、情報をどのように提示していくとメールの往復回数を減らせるかについて、作文の例を紹介している。
巻末に、ビジネスチャットの文例も載っているのが目新しくて面白い。

「増補版 大人のための国語ゼミ」
https://www.amazon.co.jp/dp/4480816801/
自分以外の人が書いた文のロジックを読み取る力を鍛える本。
自分から発信する文書を構造化するのとは違う観点だが、MNTSQではテキストチャットやdocsの添削で議論を練り上げていく局面があるので、この視点に触れた文章作成術の本はありがたい。

「言い返さない日本人」
https://www.amazon.co.jp/dp/4794606680/
海外のビジネスパーソンとやり取りする際の心構えが載った本。MNTSQの文化に慣れると、ものすごく質問するようになるのだが、日系企業からMNTSQに転職後、その域に達する過程で抱える葛藤に寄り添ってくれる一冊。

「コーチングよりも大切なカウンセリングの技術」
https://www.amazon.co.jp/dp/4532324203/
上記3冊が、いわばディベート(相互に意見を出し合い、話の内容を詰める方法)に関する本なのに対し、最後の1冊は、傾聴(細かく湧いてくる疑問は一旦置いておいて、とにかく相手の言いたいことを言い切ってもらうためによく聴く)の本。こういう視点も、議論を建設的に進める上で、特にプロジェクトの立ち上げ時や行き詰まった時には役立つと個人的に思う。

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