『大型版やさしい古典 これなら読める 徒然草(吉田兼好(著) 長尾剛(文) 若菜等+Ki(絵))』を読んで

 この本を読むきっかけは齋藤孝先生の『読書する人だけがたどり着ける場所」にお勧めされていたからになります。図書館で借りようと思って検索機で調べたら文庫本とこの本があり、両方借りてみました。そうしたら、これなら読める!と書いてあるだけあって、字は大きく、読みやすく、分かりやすく伝わる本でした。この本は徒然草について順番もバラバラに抜粋しているものですが、本を読み慣れない私としては十分読んだ感が持てました。
 まず初めに百九段を載せています。これは「木登り名人の話」と題しており、若い職人が木の頂上近くから降りる時は注意しないが、地面に近づいた時に気を付けるよう注意する名人の振る舞いについて書いた話です。この話は遠い記憶で聞き覚えのある話でしたが、徒然草の話とは知りませんでした。安全な時にこそ注意を忘れないという教えですが、なんとなく知っていましたが、出典が分かるとより覚えておきたい、と感じさせられました。
 今回読んで一番印象に残ったのは二百三十五段「心の乱れを生む原因」です。「心に主人がいれば、雑念など起こらず。」、この言葉が印象的で、読んで良かったと思った言葉でした。心の中の主人とは人生の信念のことで、それをいつでも心に宿してさえいれば何ごとに立ち向かう時でも強い思いに支えられて雑念の入る余地はない、という意味で、今後の私の人生の支えにもなるように感じました。いつも私の心は雑念だらけな感じがしますが、自分の信念、人とは意見が違っても自分が大切にしている思いがあれば雑念もなくなる、もしくはだんだん小さくすることが出来るような気がしましたし、そうしたいと思いました。
 徒然草のジャンルは随筆になると思いますが、今回読んで私は随筆が好きなように思いました。徒然草の内容から鎌倉時代の時代背景に興味が持てて、その時代の生活様式、兼好の思うことを感じて、引き付けられました。また、兼好の住む京都のお寺がいくつか出てくるので、京都に行きたくなりました。そして、本を読んでいると作者の声で語りかけられている感じがして、好きだなと思いました。現代の随筆、いわゆるエッセイ集も好きだなと思い、私にも好きなジャンルの本があることを発見した気がしました。今回の徒然草は内容も主だったものを抜粋されていましたので今度は内容量の多い単行本も読みたくなりました。学生の時に歴史の授業で題名と作者名だけ学んだ程度だと思っていましたが、内容も知ったものがあることを知ることが出来たことも大きな発見であり、兼好の思うことが現代の生き方にも参考になることを感じられ、千年以上の時を超えた兼好の思いを取り入れたいと感じさせられました。

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