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産後の孤独感。必要なのは、誰かとの「おしゃべり」でした

産後は孤独だ。

わたしと赤ん坊だけ社会に取り残されているような孤立感。
出口のない真っ暗なトンネルの中にいるような、昼夜関係なく続く赤ちゃんのお世話。

わたしは今回、第二子ということもあり、ある程度の孤独感や赤ちゃんの子育ての辛さは覚悟しているつもりだった。

けれど、ある日突然、異変が現れはじめた。頭の中のひとりごとが止まらなくて眠れないのだ。

頭のなかの「おしゃべり」が止まらなくなった理由を探ると、女性がおしゃべりすることの重要性、そして「おしゃべり」が産後の孤立を軽減する意味でも大切だということがわかった。


頭のなかのおしゃべりが止まらない!

産後は孤独だ。

家の中に籠っぱなしの産後1ヶ月。ようやく外出しはじめても、スーパーや病院では必要最小限のやりとり。夫は仕事が忙しそうだし、最近は夫婦の会話より子育ての業務連絡が多い。

わたしは今回2人目の育児だったから、産後の孤独感も疎外感も分かってるつもりだった。産後うつを避けるために、毎日散歩して太陽の光を浴び、幸福ホルモンのセロトニンを分泌しようと努めていた。

異変は少しずつ現れた。

赤ちゃんが寝てる隙にわたしも寝たいのに、わたしの頭のなかが、なんだかうるさい。頭の中のひとりごとが止まらないのだ!

ほっと一息ついて身体を休めた頃に、いつもやってくる。何人ものじぶんが頭のなかに湧き出てきて、井戸端会議をはじめるのだ。やらなきゃいけない家事のこと、これからのキャリアのこと。とりとめのない日常のこと。いろんなじぶんが、頭の中でずーっとおしゃべりしている。眠れない!!

1日に2万語を話す女性

欧米などの英語圏では、女性が1日に発する単語数は平均20,000語、男性は1日平均7,000語という説がある。つまり、女性は男性の3倍もおしゃべりしていることになる。

さらに、女性は1日に6000語以下しか話せないと、脳がストレスを感じやすくなるらしい。

この説が本当なら、産後の女性は、おしゃべりの量が足りていない可能性が高い。たくさんおしゃべりをして、ストレス解消が必要なのだ。

ちゃんと、会話していますか?

さらに、会話の量だけでなく、質も大切だ。
案外、ちゃんとした会話は想像よりも、ずっと少ない。

そのことに気づいたのは、助産師さんとの会話だった。

この助産師さんは、産後ケアで通っていた助産院で、わたしが「頭の中のおしゃべりが止まらなくて…。寝たくても眠れないんです」と話したとき、「女性は1日2万語話す」説を教えてくれた方だ。

「夫婦での会話してる?」と聞かれたわたしは、家族との時間は毎日取れてるつもりだったから、会話は毎日してますよ、と答えた。

けれど、この助産師さんと話すうちに、不思議と言葉が溢れ出てきた。複雑に絡まっていた心がほどけるように、じぶんでも自覚していなかった本音が、自分の口からこぼれ出てきた。

……こういった、「ちゃんとした会話」は、最近していなかったな。

ちゃんと話を聞くって、こういうことなのか。本当はもっと、夫に話を聞いて欲しかったのか、と気づいた。

「今、わたしはあなたの話を聞いていますよ」

長い時間一緒に過ごしてる家族は、ついつい適当な態度で相手の話を聞いてしまう。テレビや携帯を見ながら、家事をしながら。他のことを考えながら。

わが家もしかり。夫は携帯をみながら話を聞くことが多いが、仕事なのか娯楽なのかわからなかったから、咎めることもなかった。けれど、わたしは無意識に気を遣っていたし、話をちゃんと聞いて欲しいと思っていた。

それから夫にもっとちゃんとした会話をしたいことを伝えた。わたし自身、夫やこどもの話を聞く態度を反省し、直すことにした。「あなたの話をちゃんと聞いていますよ」という態度で向き合うように意識した。

こどもが話しかけてきたら、手を止め、体を相手の方に向け、目を見て、聞いた。すると、こどもが「おっ」っと、少し嬉しい表情を浮かばせ、身を乗り出したのを見逃さなかった。こどもは大人以上に、相手がちゃんと話を聞いてくれているのか鋭い。毎回はできなくても、なるべく意識しようと思った。

ママとのおしゃべりは産後ケアのひとつ

産後の孤独感、孤立感の対策のために、お母さんの「おしゃべり」はとても重要だ。

実は「おしゃべり」を通して心のケアをすることは、産後ケアの大切な役割のようだ。

産後ケアを行う助産師さんや家事代行のヘルパーさん達は、それをよく知っている。実際、わたしが産後サポートでお世話になった助産師さんやヘルパーさん達は、「赤ちゃんのケアと同じか、それ以上に、お母さんとのおしゃべりを大切にしている」といっていた。サポートする側としての経験則だけでなく、みずからの産後の経験も含めて、そう感じるという。

わたしはこれまで産後ケアに対して、赤ちゃんの成長やお母さんの疲労回復のため、という認識があった。けれど、赤ちゃんのためだけでなく、お母さんのためにも産後サポートを利用してもいいのだと気づいた。


今日も誰かと、「おしゃべり」しに行こう。

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