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顧客経験価値マーケティング

デジタルを基盤にしたITの進化によって、
マーケティングの目的が、
顧客の体験を演出することへと変化しています。

旧来のプロダクトアウトの発想を超えられない反省から、
顧客の視点を起点にダイナミックな体験の創造を考え、
その中に製品やサービスが組み込まれることを考える時代となりました。
そのようなカスタマーセントリック(顧客中心主義)という発想が生まれるようになりました。
デジタル環境の変化によって、
マーケティング戦略の立案方法は、
カスタマーセントリックへと大きく舵が切られました。

現代のマーケティング戦略立案において、
根幹を成す顧客経験価値マーケティングというコンセプトと、
その具体的な手法としてのカスタマージャーニーについてまとめます。

顧客経験価値重視への意向の理由
1.企業が考慮すべき情報メディアの変化(すべてのタッチポイントでの整合やマーケティング活動)
2.顧客の経験を重視する発想への変化(主語を顧客にして経験による価値を考える活動)

■マーケティング戦略とカスタマージャーニー
顧客経験価値をカスタマーセントリックなマーケティング施策で高めます。
そのため、1つの方法論として、カスタマージャーニーマップを利用します。
カスタマージャーニーマップでマーケティング戦略を管理することができます。
カスタマージャーニーマップとは、
顧客の日々の行動や五感に触れる物語を、
時系列に沿ってできるだけ具体的に想像し、
把握するという考え方
です。
まずは、
観察すべき顧客の行動を限定した上で、
タッチポイントを洗い出し、
どんな場面でどんな経験価値を顧客に感じてもらえそうかを可視化します。
その過程で作られるのがカスタマージャーニーマップです。

■カスタマージャーニーマップを作るためのステップ
1.ブランド戦略を確認し、企業が求める顧客との情緒的関係を定義する。
2.ブランド戦略と調査に基づき、ペルソナ(仮想顧客)を設定する。
3.ペルソナを利用してカスタマージャーニーマップを描く。
4.真実の瞬間(moment of truth)を洗い出す。
5.実行する真実の瞬間を決定し、具体的なアクションプランとKPIを計画する。
6.カスタマージャーニーマップの必要な見直しを行う。
7.3,に戻る。このとき、ブランド戦略を反映させる目的以外にはペルソナにこだわらず、
得られた結果をもとにアジャイルに内容を変えていくことが必須である。
8.4以下を繰り返す。

■カスタマージャーニーのステップについて
1,2,
自社にとって最も都合の良いペルソナを設定する。
良くも悪くも最も多くのタッチポイントを持ちそうで、かつ、
そこでビビッドな反応をしてくれそうな人格を明確に設定する。
ブランド戦略に則り、かつ、1つ1つの行動については実在しそうなペルソナにする。
ペルソナの設定に際して、顧客のリサーチは必須。

3.
ペルソナの行動を洗い出し、時系列に書きだし、グルーピングする。
その行動に伴って起きた感情と思考を書きだす。
その際にペルソナが利用するメディアとタッチポイントを書きだす。

4.
スタッフが顧客に直接対応する時間は短い。
この時間が実際の顧客満足度を決定的に左右するとして、真実の瞬間となることが多い。
購買等の前に、オンラインでブランドに接触する瞬間も真実の瞬間。
消費者が店頭に陳列されている商品を目にして購買の意思決定を下す瞬間、
購買後に実際に商品を使用する瞬間も真実の瞬間。
真実の瞬間の共通項は、
顧客の期待値を超えた経験を設計することができ、
顧客の期待値と異なる感情が生まれ、そこに大きなギャップが生じうる、もしくは、生じている状況のこと。
真実の瞬間をコントロールすることで、顧客経験価値を具体的にコントロールしていると言える。


■カスタマージャーニーの考え方
カスタマージャーニーの最終アウトプットは非常にシンプルになる。
当たり前のようなことが書かれている。
顧客と企業の関わりの中でも、
効果的なものを物語として視覚的に表現したもの。
常にチェックし、状況に応じて変えていくことで、
最適なマーケティング戦略を実施するためのよすがとする。
顧客体験において、社内の重要なアクションが見える。
どの部署とも連携できるマップを描く。
customer-centric(顧客中心)な思考ができる。
具体的なアクションをどこまで深く想定できるかが肝。
ペインポイントを見出して改善する
もしくは、ここぞというモーメントオブトゥルース(消費行動における重要な顧客接点)を理解する。
MOTは、1980年代スカンジナビア航空の15秒が発祥、P&GのFMOT、SMOT、GoogleのZMOTで知られる。
カスタマーエクスペリエンスとは、
一過性および累積的な効果によって顧客が得るパーセプション及び関連するフィーリングのこと。
カスタマエクスペリエンス管理とは、
顧客の期待を満たし、また、超えることで、
顧客満足度、顧客ロイヤリティを高めること
を目的とした顧客とのインタラクションの設計、対応のためのプラクティスのこと。
カスタマージャーニーはパワーポイントで描いて良い。
ペルソナをつくるのが大変であるが、ペルソナは作り変えていけば良い。
全体として、マーケティング戦略がロジカルで筋が通っていることが大切。