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新時代に旋風を巻き起こした“グリーンボーイズ“の軌跡

令和という新時代を迎えた2019年、エンタメ業界では新時代の幕開けにふさわしい多くの作品やスターが生まれた。
わたしも多くの作品を楽しませていただいたが、改めてこの1年で話題になった作品やニュースを振り返る中で過去に観たある1本の映画を思い出した。「キセキーあの日のソビトー」である。

ボーカルグループ・GReeeeNの結成と「キセキ」という楽曲が誕生するまでの実話を元に作られたこの作品は、松坂桃李と菅田将暉をW主演に起用し2017年1月に公開された。主演のふたりは出演作品を欠かさず観ていた好きな役者で、GReeeeNの音楽も好きでよく聴いていたので公開直後に観に行ったが、GReeeeNの音楽の世界観そのままにまっすぐで熱い青春ストーリーに共感し、その後何度も繰り返し観るほど好きな作品になった。

この中で「グリーンボーイズ」を演じたのが菅田将暉、横浜流星、成田凌、杉野遥亮の4人。当時は主演の菅田将暉が実績・知名度共にずば抜けた存在だったが、その後地道に力をつけ出演作品を増やしていった3人が2019年は大きく活躍の場を広げた。そう思うと、「キセキーあの日のソビトー」のキャスティングは先見の明があったんだな…と深く実感する。それぞれの活躍を振り返ってみたい。

菅田将暉(HIDE)

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「キセキ」公開当時は23歳、現在26歳とまだ若手と言える世代ながら、毎年話題作に出演し実績を積み続けているが、2019年も素晴らしい活躍ぶりだった。年明け早々ドラマ「3年A組ー今から皆さんは、人質ですー」でSNS社会に一石を投じる教師役を熱演。東京ドラマアウォ―ド2019で連ドラ部門のグランプリと主演男優賞を受賞する。また映画「アルキメデスの大戦」では海軍で新型戦艦機の造船に関わる天才数学者を、「タロウのバカ」では自暴自棄な高校生というタイプの全く異なる役を演じてみせた。
そしてデビュー10周年の集大成として挑んだのが舞台「カリギュラ」
役者泣かせの難解な台詞をモノにして、菅田将暉による暴君・カリギュラを見事に作り上げていた。ビジュアル・インパクトは強烈だったが、それに負けない華やかさと舞台上での存在感はさすがだった。
また役者業だけでなく、ミュージシャンとしても活躍。米津玄師が楽曲提供し先輩・松坂桃李主演ドラマの主題歌としてリリースされた「まちがいさがし」は大ヒットを記録した。

横浜流星(navi)

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2019年、最も大きく飛躍したのがnaviを演じた横浜流星だろう。
1月に出演した「初めて恋をした日に読む話」で演じた”無敵ピンク”の由利匡平役で魅力を開花させ知名度を一気に広げると、その後「あなたの番です(反撃編)」「4分間のマリーゴールド」と立て続けにメインキャストで連ドラに出演。AI研究に没頭する大学院生、4人兄弟の末っ子で料理男子な高校生と異なるタイプのキャラクターをそれぞれ魅力的に演じた。
また4本の映画が公開され、うち3本は主演作。「愛唄ー約束のナクヒトー」は「キセキーあの日のソビトー」に続くGReeeeNの映画プロジェクト第2弾で、今回は主演の野宮透役に抜擢された。そして「チア男子!」では男子チアリーディングに挑む大学生役を、「いなくなれ、群青」では悲観主義ながら大切な人を守ろうとする高校生役をそれぞれ好演。振り幅の広い演技力を見せた。
その他MVやCMにも多数出演し、年末にかけては受賞ラッシュ。「東京ドラマアウォード助演男優賞」「GQ MEN OF THE YEAR 2019」「日経トレンディ2019年今年の顔」「Yahoo!検索大賞 2019」…など、あらゆる賞を総なめし、まさに2019年の顔となった。
個人的にはnavi役を見て横浜流星という役者を知りファンになったので(黒髪メガネ男子なビジュアルと声質がわたしの好みど真ん中だった)、今年の彼の躍進は非常にうれしい。来年もドラマ・映画・舞台と大きな作品が控えているので、更なる活躍を期待したい。

成田凌(92)

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「キセキ」公開当時は直前まで出演していたドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」の梅原役のイメージが強く残っていたのを覚えているが、その後は数多くの映画に出演し、今や立派な”映画俳優”の道を歩んでいる。2019年は「チワワちゃん」「翔んで埼玉」「愛がなんだ」「さよならくちびる」「人間失格 太宰治と3人の女たち」「天気の子」「カツベン!」と7本もの作品に出演。「カツベン!」では初の主演を務めるまでになった。中でもロングヒットとなった「翔んで埼玉」や、口コミからヒットに繋がった「愛がなんだ」は大きな話題を集め、「TAMA映画賞 最優秀新進男優賞」「報知映画賞 助演男優賞」「ヨコハマ映画祭 助演男優賞」「日刊スポーツ映画大賞 石原裕次郎新人賞」と多くの映画賞を受賞している。
いつからかわたしの中で「クズい男を演じさせたらNo.1」というイメージが定着していたが(最大級に褒めてる)、「カツベン!」で演じた活動弁士という夢に向かって突き進む青年役は新たな魅力満載だった。来年もすでに4本の映画出演が発表されているので、どんな役を演じるのか楽しみだ。

杉野遥亮(SOH)

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「キセキ」が役者として演技をした初めての作品だったという杉野遥亮。彼はその後ドラマや映画で地道に経験を積み、2019年大きな飛躍を見せた。
ドラマ「ミストレス〜女たちの秘密〜」では年上女性(しかも父の愛人)と恋に落ちる大学生、「スカム」では振り込め詐欺に手を染める会社員、「俺の話は長い」では主人公が行きつけのお店のバーテンダー…と多種多様な役を演じ、初主演を務めた「スカム」はギャラクシー賞を受賞。
また映画出演は3本。「L❤︎DK ひとつ屋根の下『スキ』がふたつ」では学校一のイケメン秀才男子、「居眠り磐音」では主人公の幼馴染で悲劇のきっかけを生んでしまう武士を好演。そして「羊とオオカミの恋と殺人」では初主演を務めた。
モデルから役者への道を着実に歩みつつある彼の更なる成長が期待される。

そしてもうひとり、忘れてはいけない人がいる。

松坂桃李(JIN)

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4人の兄貴分・JINを演じた松坂桃李その人である。今年も彼は多くの作品で幅広い演技を見せてくれた。中でも映画「新聞記者」はある意味タブーへの挑戦とも言えたが、その作品でも攻める演技で存在感を示した。以前も書いたことがあるが彼の作品選びには一切迷いがなく、常に挑戦したいという意思が感じられる。キャリアの重ね方は若手の役者たちの指針になるだろう。

こうして振り返ってみると分かる通り、彼らの2019年はまさに「旋風を巻き起こした」という表現がぴったりな活躍ぶりだった。令和という新時代を引っ張っていく存在になるのは間違いない。彼らそれぞれの活躍を期待しつつ、いつかこの5人がまた集結してひとつの作品を作ってくれたら…そんなことを願わずにはいられない。

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