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「悲しみの道程」【詩】

人生を愉快なものだと
軽々しく言うんじゃない
悲しみと苦痛にみちているのが
生きるということだ
人生はたやすくない

自分だけの歌を詠むことは
もっとずっとたやすくない
なのにまるで川を泳ぐ魚のように
人生をたやすく生きてみようという人がいる
永い生涯の時間をやすやすとのりこえてしまうことは
たとえそれができるとしても
とても恥ずかしいことじゃないのか

子供たちに夢を語らせるまえに
この辛く難解な人生の意味を
大人がまじめにかんがえろ

生きることは悲しいことだと
ぼくらは知るしかないのなら
この難解さにみずから飛びこんでみろ
そしてアハハと笑ってしまおうじゃないか
涙枯れはてるまで……

人生が愉快じゃないのなら
いっそ笑い飛ばしてしまおうじゃないか
哲学者はユーモアを忘れずに
教師はペーソスをだきしめて

くる日もくる日も暇さえあれば
生きることの意味をみつけだそうとする
ヒトのあり余る知恵と好奇心は
ぼくらへの最後のプレゼントを残した それは
人生を笑いとばす術

悲しみの終着駅には
今夜も高らかに
笑い声がこだまする

たやすくない人生は
どうやら美しいのかも
しれない

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