「木犀の香り呼び込む窓に立つ幽霊のような君の微笑み」(短歌10首)
君らしい選曲で聴く洋楽の似合う海だね午後のドライブ
蒸し暑い朝に私は千年のアンモナイトの眠りから覚め
自転車ごと溶けてしまへよ秋晴れの空にさまよう雲の一部に
宿なしの旅はすがらに無頼なる我の頭上を台風がゆく
停電の夜に膨らむ妄想をコブラツイストしてくれよ君
古ぼけたアドレス帳の行きずりの@(アットマーク)に睨まれている
いい位置にあるねと君が指さしたビルの隙間の不機嫌な月
木犀の香り呼び込む窓に立つ幽霊のような君の微笑み
葬列に並ぶ頬赤き少年の膝っ小僧に夏の日の夢
百年の村が沈んだ人造のダムに弔え蛍火の群れ
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