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「心臓のかたち」【詩】

僕の心臓は
故郷(ふるさと)の町のかたちをしている
血液の川が流れ
孤独の三日月が揺れる
僕の心臓は
たとえば錆びついた無人駅で
だれかの帰りを待つ喜びと悲しみ

血の川に浮かぶ三日月は
今夜も歌うだろうか
あの水田をわたる風と
あの木枯らしの詩(うた)を

台風で壊れた鉄橋の残骸が
僕の苦しみだ
行き場のないやるせなさが
古い駅でだれかを待っている
川の水面をあの燃えるような夕焼けが
赤く染めてゆく……

僕の心臓は
故郷の町のかたちをしているから
僕は
苦しくもあり
やさしくもなれる

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