「発つ君は美しい雛のように」【詩】
ぼくの窓辺から
きみは突然とびたった
その姿はほんとうに美しかったから
ぼくは泣かないことにした
空っぽになったぼくの部屋
きみの香水が微かに残る
まったくひどいね きみってひとは
行くのなら
しらせてくれてもよかったのにさ
それでもきみは
言葉にならないくらい美しいから
いつか町角ですれちがったら
ぼくはその香水の匂いにつられて
きみのあどけない歌を思いだすだろう
ぼくの涙が
きみのためにはならないくらい
きみはほんとうに美しかった
まるで巣立ちの雛鳥のように
きみは美しくとびたった
春の朝でもないのにさ
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