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50代、私は自分に挑戦することを選んだ

昨年の年度末、私は30年勤めた銀行を離れ、フリーのコンサルタントとして新たな人生を歩むことにした。その決断は、思いのほかすんなりと下せたものでした。

銀行員としてのキャリアは、客観的に見れば申し分のないものでした。順調な昇進、社会的地位、そして何より、安定した生活。しかし、50歳を過ぎたころから、心のどこかに違和感を覚え始めていました。

「このまま定年まで同じことの繰り返しでいいのだろうか」
「自分の可能性をもっと試したい」

そんな思いが、日に日に強くなっていきました。

決断の引き金となったのは、ある取引先との会話でした。その会社の課題について、私見を述べる機会があったのですが、相手の目が輝きだすのを見て、はっとしたのです。「ああ、こういうことがしたかったんだ」と。

その瞬間、長年くすぶっていた思いが一気に形になりました。社会貢献や大義名分ではない。純粋に、自分の力を試したい。新しい環境で、自分の真価を問いたい。そんな欲求が、胸の内でうずきはじめたのです。

妻には決断後に伝えました。「独立してコンサルタントとして仕事をすることに決めた」と。彼女は少し驚いた様子でしたが、長年連れ添ってきた私の性格をよく知っています。思った以上にあっさりと、そして静かに受け入れてくれました。

独立後の1年は、想像以上に刺激的でした。銀行という大きな看板を失い、全てを一から始める緊張感。クライアントを獲得する難しさ。そして何より、30年以上慣れ親しんだ組織の枠を離れ、全てを自分で決断する責任の重さ。

しかし、その全てが新鮮で、挑戦しがいのあるものでした。

最初のクライアントは、かつての取引先の中小企業でした。彼らの経営課題に深く入り込み、共に解決策を見出していく過程は、銀行員時代には味わえなかった充実感に満ちていました。そしてそれが大きな成果に繋がった時、この選択は間違っていなかったと確信しました。

もちろん、全てが順調だったわけではありません。時には厳しい現実にも直面しました。しかし、そんな困難さえも、自分を成長させてくれる貴重な経験だと感じられたのです。

振り返れば、この1年は人生で最も充実した時間でした。新しいことを学ぶ喜び、自分の判断が直接結果に結びつく面白さ、そして何より、自分の可能性を探る興奮。

50代での大きな転換は、周囲から見れば無謀に映ったかもしれません。しかし、「まだ自分は成長できる」「新しいことにチャレンジできる」という実感を得られたことは、何物にも代えがたい経験でした。

人生100年時代と言われる今、50代はまだまだ折り返し地点に過ぎません。ここから始まる後半戦を、自分の意志で切り開いていく。その醍醐味を、身をもって体験できたのです。

「自分で選んでよかった」。そう心から思える選択ができたことは、私の人生最大の財産です。この選択が、これからの人生をより豊かなものにしてくれると確信しています。

そして、同じように人生の岐路に立つ誰かがいたら、こう伝えたいと思います。
「恐れずに、自分の直感を信じてみよう」と。

なぜなら、人生を真に豊かにするのは、他でもない、自分自身の選択と決断によっておこなうべきですから。

#自分で選んでよかったこと

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