『銀河鉄道999 THE MUSICAL』感想
昨日『銀河鉄道999 THE MUSICAL』を観劇してきました。
日本青年館ホールに20年ぶり以上に行きました。
『銀河鉄道999 THE MUSICAL』は2019年に初演がされましたが、私は今回の舞台を初めて観劇いたしました。
ストーリーは『銀河鉄道999』第一作目の映画をベースとして、星野鉄郎が999に乗って様々な惑星に行き、そこで様々な人たちと出会いと別れをくり返しながら成長していく物語をミュージカルとして表現していました。
私は999の映画はすでに履修済みでしたので、どんな風に様々な惑星に行く場面を演出するのか、機械と人間をどんな風に見せるのか楽しみにしながら行っていきました。
今回はメーテル役が神田沙也加さんの予定でしたが、不幸がありまして、代役として元宝塚娘役トップの花總まりさんがメーテル役になりました。
アサルトリリィ以外の舞台は本当に久しぶりに見ました。
■以下ネタバレ感想注意
●演出面について
前回の2019年度版は999の巨大な実物が出てくるなどの演出があったようですが、今回はプロジェクションマッピングを中心とした演出など、前回とはまた演出や内容を大きく変えてきたようです。
舞台セット自体は大きく変わらないのですが、舞台セットの壁をうまく利用して、CGによる背景やアニメーションによって各惑星を描写していたので、かなりいろんな星々に回っているのが伝わってきました。
特に壁に一つだけ設置された「扉」があるのですが、これが非常に使い方がうまいなと思いました。
あるときはホテルの扉・あるときはトチローの実家の扉・あるときは999の扉など「扉」一つあるだけでずいぶん物語に説得力が出てきたように思います。
前回はもっと999を強調するようなセットが作られていたようですが、今回は各惑星の雰囲気を重視した演出になっていたように思います。
主にダンスもバックダンサーが踊るのですが、小道具や大道具をうまくダンスに取り入れることによって駅の改札を表現したり、あるいは鉄郎を邪魔する壁になったりと、ここら辺の演出はとても面白かったです。
●歌や劇伴について
元宝塚娘役トップの花總まりさんや歌手でもある中川晃教さんなど実力派の方々が歌い、音楽監督もアニメ映画版の主題歌も担当したゴダイゴのミッキー吉野さんが担当されていることもあって、999にぴったりだと思います。
全体的には派手な曲よりもかなり静かな情緒的な楽曲が多いので、999の持つ哀愁や切なさが表現されていたのではないでしょうか。
しいて言えば、もう少し迫力のある楽曲があるか、ボリュームがほしかったなと思います。
ですが、花總まりさんだけは静かに歌い上げても、声がよく通るので、そこはさすが宝塚娘役トップの実力は伊達ではないなと思いました。
●役者さんについて
メーテル役の花總まりさんはまさにメーテルにぴったりです。
大人びている姿も立ち振る舞いもまさにメーテルそのものです。
何度も言いますが、宝塚スターの華は今も健在です。
この人がメーテルだからこそ、このミュージカルが999だ思わせる強い説得力がありました。
本当に代役を引き受けてくれてよかったと思います。
ただ、それだけに逆に本来メーテルを演じるはずだった神田沙也加さんならどう演じただろうというのも気になって仕方ありませんでした。
舞台というのは役者さんによって大きく変わります。
再演でキャストやスタッフが変わると、同じストーリーでも全く変わって見えます。もちろん、そこに新しい魅力が出てきます。
だからこそ、花總まりさんのメーテルとは違った神田沙也加さんのメーテルも見てみたかったと思います。
●余談 カーテンコールについて
今回初演でスタンディングオーベーションによるカーテンコールがあったのですが、ちょっと戸惑いました。
アサルトリリィだと普段はカーテンコールは1回で、千穐楽だけが2回あって、日替わりで役者さんが感想を述べるのですが、999はまた全く違うカーテンコールだったので、ちょっと戸惑いました。
舞台によってカーテンコールのマナーが変わるのが面白いです。
■まとめ
今回舞台を通してあらためて999という作品を見返しましたが、あらためて見ると、本当によくできた物語だなと思います。
いろんな伏線が張り巡らされて、なおかつそれがちゃんと鉄郎という少年の成長や「限りある命の尊さ」という普遍的なテーマに結びついているし、さらにはエンタメとしても十分に面白くなっている。
さすが40年以上残る作品だと思いました。
古い作品だからと思わずに、ロミオとジュリエットのような古典、あるいは様々な新作の舞台の1つだと思って、興味がわきましたら、ぜひ一度ご覧になっていただきたいと思います。
最後までご覧いただきましてありがとうございました。
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