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相互理解の前にやっておくべきこと

 日本人は平均的、周囲と変わらない、みんなと一緒であることを好む人種だなぁとつくづく感じます。

 『出る杭は打たれる』という諺があるように、才能がある人は妬まれ疎まれる。また出過ぎた行動をする人もまた憎まれます。

 なぜ、こんな文化になっているのか?それは私たち日本人が、集団で行動することにメリットがあったからです。
 日本という島国は、環太平洋造山帯の一部であり、昔から活火山が多く、より多くの火山噴火の被害を経験しています。またそれに伴い、地震の頻度も多く、自然災害に遭いやすい土地柄です。
 そのため、みんなで手を取り合って集団で行動する、助け合って生活する事で、日本人という人種が絶滅しないで済んだという一説があります。

 同じ方向を向いて、同じような行動を取り、足並みを揃えることが、日本人が生き抜いてこれた1つの理由なんですね。

 しかし、現代において身の周りは安全な事が多く、災害=大量死とはなりにくい時代となりました。そんな中で、大昔のような集団生活が良しとされた文化の狭間で、苦しんでいるのがいます。『発達障がい』と言われる方々です。

 生まれつき脳の機能の異常により、コミュニケーションが苦手であったり、いつも同じ行動や習慣をしなければ、気持ちが落ち着かなかったり、人とは違った感覚の感じ方があったりします。

なんで名前呼んでも聞いてくれないの?
ちょっと触っただけなのに、何で叩くの?
こんなに偏食が多くて生きていけるの?
いつも同じ遊びばかりだよね?
何で順番を待てないの?
視線が合わないのはなんで?

 大多数の平均的な人たちから見ると、分からないことだらけです。
平均的な人たちに囲まれて、平均的に生き、平均的に暮らしていると、平均と違う人をみると脅威でしかありません。

 人は脅威や恐怖を感じると、『闘争』もしくは『逃走』といった反応が起きます。文字通り、脅威に接すると闘うか、逃げるか、どちらかの反応が起きるわけです。
 平均的な人は不思議な行動に出る発達障がい児者達に、上のような闘争反応が起きるのでしょう。

 発達障がいは『生まれつきの脳の機能異常』が原因である事は、科学的に証明されています。私たちが色々な運動や知識、コミュニケーションを学習する脳が、機能を十分に果たしていないわけだから、平均的な私たちの気持ちを理解しろ、というのは難しい事は言うまでもないでしょう。

 初めに理解を深めるのは、大多数の平均的な人であって、初めから相互理解ではありません。少数派の人たちに歩み寄り、闘争反応をなくすことが、ファーストステップだと思います。
 その人のマイナスな部分(出来ないこと、苦手な事、嫌いな事など)にばかり目を向けるのではなく、プラスの部分(出来る事、得意な事、好きな事など)に目を向ける事で絶対に気づける事があります。

障害があって○○は苦手だけど、△△は私の方が苦手だなぁ!
○○の仕事は誰よりも早いんだ!正確なんだなぁ!
○○の感覚は誰よりも優れてるんだ!私にはできない!
△△の知識が深すぎる!詳しすぎてついていけない!

 支援者だからできる事ではないんです。支援者じゃなくても、寄り添う事で、できることがあるんです。
 県内にいる言語聴覚士のうち、発達支援に関わっているSTは全体の3〜4%で、人数にすると20〜30人程度です。支援を必要とする対象者は、私たちSTの何十倍もいらっしゃいます。私たち支援者がお一人お一人全員に向き合う事は、現実的に不可能です。

 私を含め大多数の平均的な人たちが、発達障がいについて『正しく知り』、先に寄り添う事できっと発達障がいが、発達障がいじゃなくなる日がやってくると確信しています。

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