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【AWEU21】クッキーのない未来は半端ない! その理由

皆さん、こんにちは。今朝はお集まり頂きありがとうございます。私はNick Mollyです。インテグラル・アド・サイエンス(IAS)のヨーロッパ・マネージング・ディレクターを務めています。IASは、広告検証のグローバルリーダーです。私たちは適切な環境でのモバイル広告を保証します。広告主やパブリッシャーに、詐欺や安全でない環境から広告投資を保護するインサイトを提供、ブランドに適したコンテンツに絞り、ビジネス成果を促進します。今朝は、ネスレのメディア・エージェンシー・オペレーションのグローバルヘッドTina Buechlerにお越し頂きました。ネスレは、世界有数の栄養・健康・ウェルネス企業に成長。食品、菓子、水、コーヒー、ペット用品など、生活のあらゆるステージ、あらゆる瞬間に対応する製品やサービスを網羅しており、まさに生活の中心にあるブランドです。Tinaさん、今朝はお会いできて嬉しいです。ネスレでの役割について、自己紹介とオーディエンスへのメッセージをお願いします。

ネスレ)ありがとうございます。私の方からも歓迎します。会社と私の役割は紹介頂きましたが、私2年前、グローバル・マーケティング・チームに加わりました。その前はネスレ・ドイツでデジタル・トランスフォーメーションを担当していました。現在は、グローバルメディアパートナーシップと代理店業務の責任者として、広告業界の発展と変革を目指しており、エキサイティングな時間を過ごしています。今日のお話楽しみにしています。

ありがとう、Tina。今週のAdvertising Weekendでは、誰もがcookieについて多く耳にすることになるでしょう。cookieのない世界に、業界としてどう適応していくか。個人的には、cookieのない未来は、広告エコシステムに大きなチャンスをもたらすと考えます。既に多くの企業がcookieからの脱却を始めており、代替ソリューションを使って成功を収めています。
今日のセッションでは、Tinaがやっていること、ネスレがやっていることを発見、cookieのない未来の旅をナビゲートしたいと思います。
早速ですがTinaさん、幾つか質問があります。ここ数カ月、一部のメディアエージェンシーが、サードパーティcookieを年内、或いはそれ以前に移行する計画を発表したことが話題になりました。この、
次の段階のターゲティングへ向けて、業界はどんなスケジュールで動いていますか?

ネスレ)ネスレはcookieのない未来への移行を歓迎しています。これは私が最初に表明したかったこと。ネスレは、消費者に最高の体験を提供するために、データのプライバシーと透明性を重視しており、プライバシーに関するベストプラクティスを活用しています。ご存知の方も多いと思いますが、多くの代理店と協力しています。メディアコミュニケーションでは、現在、世界で4つのネットワークと連携しています。そして、代理店のパートナーと手を取り合って、「ポストcookie」と呼ばれる世界への準備を整えるためのロードマップをすでに作成し始めています。つまり、魅力的なブランド体験を提供、強力で関連性高いコンテンツを提供し、さらに、ブランドや製品によって消費者と長期的な関係を築く動機付けを行うことが、これまで以上に重要になっているのです。通常、私たちは自分たちがどの様に行動しているかについてあまり多く語りませんが ネスレでどの様に取り組み始めたかをご紹介したいと思います。
ネスレでは、機能や市場を超えたチームが集まりました。グローバル・メディア・カウンシルと呼ばれます。ネスレは180以上の国で活動しています。この協議会では、メディアコミュニケーションにおけるネスレのデジタルトランスフォーメーションを推進しています。このグループでは、cookieless時代に備えることが非常に重要であるため、将来に向けたテスト&ラーンのロードマップを作成し始めました。この様にして私たちはスタート、これからも会社としての活動を続けていきたいと思います。

了解です。 私たちが協力している他のブランドとよく似ていると思います。SafariとFirefoxはすでにサードパーティcookieをデフォルトブロックしてますし、Googleも段階的なアプローチを取っています。しかし、2022年初頭にcookieを廃止するという明確なシグナルを出しています。
そのため、私たちは今、一緒に仕事をしている全マーケターで目の当たりにしています。某社は既に積極的にテストを行い、代替ソリューションを導入しています。cookieのない生活の準備はできていますか? 今後6ヶ月~9ヶ月間でのcookie廃止を克服する方法として、例えばコンテクストターゲティングについては多くの議論や関心が寄せられていることは確かです。

ネスレ)具体的な説明を理解することも非常に重要です。例えば、ネスレでは、ロシアや中国でも事業を展開していますが、ここでは特定分野に目を向ける必要があります。

全ての地域で同じルールが適用されるわけではないことは明らかですよね? グローバルブランドや多地域展開しているブランドにとっては、間違いなく考慮すべき点です。
少し話は変わりますが、私たちは
最近「データ ~ コンテキストの力」という調査を行い、消費者81%が広告とページの内容の一致を望んでいることを明らかにしました。消費者がこの様なことに敏感であることに驚きましたか? また、番組購入の際、関連性確保の為、どの様なことをしている?

ネスレ)ニック、あなたの調査を私に見せてくれたとき、強い結果に驚いたと言いました。私は広告業界に何年もいて、クリエイティブ・エージェンシーやメディア・エージェンシーで働き、広告に関わる様々な役割を担っていました。これまでの理解では、人々は関連性の高いコンテンツを求め、ブランドからアプローチされたときには、カスタマイズされた高いレベルのパーソナライゼーションを求めているということでした。
つまり、コンテンツにマッチするという要素が加わった訳です。私は、昔の紙媒体の広告を思い出していました。このような環境下では、コンテンツと広告をしっかりマッチさせようとするものです。ですから、私は良いことだと思います。そして、この学習をどの様に進めていくか考えさせられます。
また、私たちにとって重要なことは、より多くのファーストパーティデータを如何に収集できるかということですが、これは更に検討の必要があります。あなたが他業界から来た場合、何年も前からやっているかもしれません。ネスレは、マスメディア・マスコミュニケーションのバックグラウンドを持つ企業。デジタルコミュニケーションも20年前からテーブル上にはありますが、ファーストパーティの消費者データの重要性は高まっています。ここでお伝えしたいのは、可能な限り集約された匿名データに基づいて、広告のターゲットを絞る革新的なソリューションを模索している業界イニシアチブを支援しているということです。先ほどコンテンツとページのマッチングを紹介しましたが、それは広告ですよね。共同でやってみましょう。
そして、あなた(ニック)はそれをどの様に見ているかということ。IASで、機会をどの様に活用するかという視点を持っていますよね。

古き良き時代の話が聞けて良かったです。
私たちが過去に試したことの多くは、現在も有効であり、将来的にも更に有効であると考えられます。IASの観点から、私たちが実施したデータプライバシーに関する調査によると、英国の消費者の半数は、デモグラや位置情報などの個人情報に基づくよりも、興味や購買に基づいてブランドがターゲットを設定することを望んでいることが分かっています。
また、様々な業種の広告をコンテンツの関連性と関連づけて測定したところ、コントロールグループでは、受容性、耐久性、記憶性が大幅に向上していることが分かりました。
つまり、消費者がコンテンツに関連した広告を好むのは、それほど驚くことではないと思うのです。2022年に向けて、私たちの未来の一部は、広告主に、コンテンツや特定のウェブページとの関連性に基づいて広告を掲載する能力を与える、コンテクストターゲティングソリューションにあるのではないかと考えます。
これまでの様なcookieによるターゲティング手法は無くなりつつあります。この様に、コンテクストは投資に適する分野であるという結論に至ったのは、私たちの調査と結果によるものです。

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ネスレ)テレビ業界のある研究では、感情的な要素も重要であると説明されています。コンテンツの設定と言ってもいいのですが、高い役割を果たしています。
将来的には、消費者のコンテンツに対する感情を理解、それを同じレベルに引き上げることができるようになるかもしれません。それがターゲティングとアクティベーションの未来だと言えるのではないでしょうか。

その通りです。もうひとつ考えていたのですが、メディア・バイイングの透明性ついては、以前から重要なトピックで、近年のイベントでは議題の大半を占めていました。今では消費者にとっても、プライバシーが問題になっていますよね。サードパーティークッキーからの移行に伴うキャンペーンの変更について、代理店はクライアントとどの様に協力すべきですか?

ネスレ)とても重要なテーマです。広告主側にとっての透明性には、様々な意味があります。例えば、バイイングやメディア・ウォーターフォールの透明性という意味。 しかし、これはあなたがここで尋ねたことではありません。どちらかというと消費者側の質問をしていましたね。
私たちは、他のプレイヤーや広告主に対し、代理店と緊密に連携、戦略やテストについて完全なパートナーシップとオープン性をもって取り組み、その影響を十分に理解し、将来の機会について検討することを推奨しています。
例えば、当社では「ネスレ・デジタル・レスポンシビリティ・プラン」を策定していますが、これは、当社の市場パートナーや代理店に対し、消費者に提供される情報の完全な透明性や、プライバシーに関するベストプラクティスをどの様に実現したいか説明するものです。私たちは、代理店と手を取り合って新しい基準を開発するだけでなく、アドテクやパブリッシャーに責任を持たせ、消費者データを扱う際に透明性のあるデータプラクティスを確保するよう努めます。

ここで興味深いのは、消費者が、データのコントロールを取り戻すような感じがするということです。
結果、バイブルの作成に投資せばならず、それは確かに大変なことに思えますが、消費者がその方向に向かっているのであれば、最終的にはそれが必要です。
現在、プライバシーには3つの大きな影響があると思います。消費者の声を反映したGDPRのような法規制、AppleのIDFAトラッキングの変更のようなデバイスレベルの変化。最後に、今日話題になっているブラウザレベルのcookieの廃止。しかし、これら3つの大きな出来事は、消費者がより精通、コントロールを取り戻すことが原動力となっています。皆さん、代理店、プラットフォーム、私たちのようなテクノロジーベンダーは、プライバシーを第一に考え、消費者主導のアジェンダに対応しなければならない様です。

ネスレ)その通りですね。

確かなことは、少し話を広げると、オンラインの世界は日々、混雑しています。コンテンツ制作は絶対的なブームになっています。
多くのブランドを抱えるネスレは、消費者に表示されるコンテンツに広告をマッチさせることを考えるような、コンテクスト・ターゲティング・ソリューションにどの様にアプローチしているのでしょうか?

ネスレ)我々の視点では、コンテクストのシグナルは、興味関心や購買意向の代理となり得ます。ですから、コンテクスト広告は、今後数ヶ月~数年で拡大、強固なものになっていくと考えます。
ただ、コンテクスト広告は当社にとって唯一の選択肢ではないと考えています。そのため、堅牢なアプローチを確立し、デジタル空間での広告をよりよく計画・実行・測定できるようにするため、幾つかのワークストリームを立ち上げました。
ひとつ・・・多くの代理店が、セマンティック(意味論の)ターゲティング、コグニティブターゲティング、人工知能を使った実験を既に始めています。私たちはチャンスだと思っています。この文脈では、サードパーティクッキーでは得られないような関連性を、AIが見つけてくれるかもしれません。そして、洞察的で強力な学習により、オーディエンスを作成、より関連性高い広告や意味あるつながりを持った広告配信を行うことができるようになると思います。
最後にお伝えしたいことは、私たちは、他の多くの企業と同様、ブランドセーフティガイドラインに照らし合わせ、新しいテクノロジーを注意深く監視するということです。先ほど申し上げた様に、プライバシーに関する基準や、当社のデジタルに対する責任も考慮しています。
私にとって、これは目の前にある先駆的な仕事であり、業界全体や多くのパートナーと協力していきたいと考えています。

最近の変化は、私たちの業界の適応力と革新性を示していると思います。ここ5~10年、私たちは実証してきたと思いますが、サードパーティcookieからの移行によって、再び証明できるのではないでしょうか。
広告業界には適応力があり、革新的です。今回の変革は、これまで同様有用なデータの発見に役立つと思います。個人的にはコンテクスト・ターゲティングは、ID戦略よりもコスト効率が高く、拡張性があり、ファーストパーティ・データを強化する能力があると思います。
更に、私たちがIASでやろうとしていることは、ブランドの適合性に関するGARM(責任あるメディアに向けた世界同盟Global Alliance for Responsible Media)フレームワークの開発と導入に積極的な役割を果たしていることです。これは、広告主、代理店、メディア、プラットフォームを結びつけ、透明性を向上させると共に、世界的な安全性と適合性基準を確立する素晴らしい取り組みだと思います。
これまでは、プラットフォーム、デバイス、市場ごとに細分化されていたため、非常に必要なことです。これらを標準化することで、業界の抱えていた課題を克服できると思います。これにより、消費者はより安全なオンライン体験を得られ、データを利用する広告主にとっても、高い信頼性と透明性を得ることができます。
まとめると、2022年に向けて期待すべきことが沢山あると思います。しかし、それは、私たちに如何に適応力があり、革新的であるかを改めて示すことにかかっていると思います。

ネスレ)私たちは、広告業界をより良い場所にする責任があると思います。
GARMがスタート時、私はグローバルな役割を担うようになったばかりでした。そして私たちは、より責任あるメディアへの取り組みを行うため、設立メンバーになることを決めました。そして、私たちが得た成果と、業界がどの様に協力し合っているか知ることができました。グローバルチームには、アメリカにはANAで、イギリスにはBARBで、ドイツにはWMで働いていた居たスタッフがいます。
会社として、地球が沈んでいくのを見ているだけではいけない。WFA(世界広告主連盟:World Federation of Advertisers)では、戦略やロードマップに深く入り込み、より良い業界にすることを目指しています。多くの企業同様、私たちも、業界の持続可能性を高めるため、グリーンメディアプランに取り組んだり、より多様で包括的、ジェンダーバランスのとれたチームや活動、実行に取り組んでいます。
これらは全て、業界をより革新的に、信頼できるものにするためであり、より良い未来を築くためのものです。

最後に、未来やイノベーションの必要性、そして年末までにcookieが減少することを考えると、恐れるより希望を持つ方が多いという事実について、この点を付け加えておくといいかもしれません。
ありがとう、Tina。お話できて本当に良かったです。短い時間で多くのことを話しました。そこで、最後に簡単にまとめておくのがよいと思いますが、いかがでしょうか。
サードパーティーcookieからの移行に関しては、正しいタイムラインや間違ったタイムラインは無いということが分かったと思います。良い知らせは、既に代替手段があるということです。移行に時間がかかる人もいるかもしれませんが、専門家のサポートもあります。
次に、広告業界全てに言えることですが、コラボレーションが必要です。ブランド、代理店、パブリッシャー、アドテクなど、関係者が協力して、なぜcookieからの移行が全ての人にとって良いことなのかを理解、良いこととして捉えることができるようにすることが必要です。私たちは、ブランドが消費者と繋がるお手伝いをしています。
三つ目に、プライバシーファーストの世界では、コンテクスト技術やターゲティングを提供できる技術が沢山あるということです。代替ソリューションがある。
ご覧頂いた皆さん、ありがとうございました。
本日は幾つかの調査データを紹介しましたがIntegralAds.comから全てダウンロード可能です。それでは残りの時間をお楽しみください。お元気で。

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