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6月貿易統計・出超額は3カ月連続で前年同月比赤字幅縮小か。6月全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同月比は、電気代が上昇した地域の動向を反映し5月から上昇。―日本の主要経済指標予測(2023年7月7日)―

6月貿易統計・通関収支差▲3,400億円程度を予測。輸出・前年同月比28カ月連続増加、輸入・前年同月比3カ月連続の減少か(7月20日発表)

6月29日に発表された5月分貿易統計確報によると、輸出金額は7兆2,920億円、前年同月比+0.6%で27か月連続の増加、輸入金額は8兆6,739億円、▲9.8%減で、2か月連続の減少となりました。輸出と輸入の差引額は▲1兆3,819億円と22か月連続赤字になったものの、赤字額は前年同月比▲41.6%の縮小でした。輸出では、自動車、科学光学機器、建設用・鉱山用機械が増加し、鉱物性燃料、半導体等製造装置、半導体電子部品が減少しました。一方、輸入では、原粗油、液化天然ガス、石炭が減少しました。
6月の貿易統計で、輸出額から輸入額を差し引いた通関収支差は▲3,400億円程度と23カ月連続の赤字になると予測します。但し、前年同月の▲1兆3,750億円から赤字幅が▲75.3%程度縮小すると予測しました。なお、6月上中旬の通関収支差は▲1,013億円で、前年同旬比▲90.2%の赤字幅縮小となっています。
6月の輸出額は8兆9,574億円程度、前年同月比は+4.0%程度と28カ月連続の増加になると予測します。6月上中旬で輸出額は前年比+4.0%でした。輸出が大きく増加した品目は自動車、建設用・鉱山用機械、船舶で、大きく減少した品目は鉱物性燃料、半導体等製造装置、鉄鋼でした。6月の輸入額は9兆2,974億円程度、前年同月比▲6.9%程度と3カ月連続の減少になると予測します。6月上中旬で輸入額は前年比▲11.1%と減少でした。輸入で大きく増加した品目は、無く。大きく減少した品目は石炭、原粗油、LNGでした。
6月上中旬の原粗油の単価、数量、輸入金額の前年同旬比をみると、単価は72,319円/klで前年同旬比▲22.7%程度の低下でした。数量は前年同旬比▲5.2%程度の減少、金額は前年同旬比▲26.8%程度の減少でした。6月月間の単価(入着原油価格)の前年同月比は、3カ月連続の下落になる可能性が大きいと思われます。輸入全体の金額の減少要因になるでしょう。

※2023年6月は筆者予測値

6月全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同月比+3.3%程度と5月+3.2%から伸び率を高めると予測。(7月21日発表)

5月の全国消費者物価指数・総合の前年同月比は+3.2%と、再生可能エネルギー発電促進賦課金の引き下げが下押し要因になり、4月の+3.5%から0.3ポイント鈍化したものの、食料や宿泊料など幅広い品目の値上がりが続き、21カ月連続の上昇になりました。生鮮食品を除く・総合の前年同月比は+3.2%と前月の3.4%から上昇率が縮小しました。生鮮食品とエネルギーを除く・総合の前年同月比は+4.3%と81年6月の+4.5%以来41年11カ月ぶりの高い上昇率になりました。
6月の全国消費者物価指数・総合の前年同月比は+3.2%程度と5月の+3.2%と同程度で、22カ月連続の上昇になると予測しました。6月は電気料金の値上げをした地域が多かった影響で、電気代が前年同月差寄与度のプラス要因になると予測します。政府の電気・ガス料金の負担軽減策(寄与度、2月▲1.01%、3月▲1.00%、4月▲1.00%、5月▲1.00%)や、全国旅行支援(寄与度、2月▲0.13%、3月▲0.13%、4月▲0.05%、5月▲0.05%)は引き続き物価安定要因として働くとみます。6月の全国消費者物価指数・総合の前月比は+0.2%程度と予測しました。
6月の全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同月比は+3.3%程度と5月の+3.2%と0.1ポイント程度上昇率が高まり、22カ月連続の上昇になると予測します。前月比は+0.3%程度とみました。6月の生鮮食品及びエネルギーを除く総合の前年同月比は+4.3%程度と5月の+4.3%と同程度の上昇率になり、15カ月連続の上昇になるとみました。+4.3%という伸び率は42年前の81年6月の+4.5%以来の高水準です。前月比は+0.2%程度と予測しました。
6月30日に既に発表されている6月東京都区部消費者物価指数(中旬速報値)と6月大阪市消費者物価指数(中旬速報値)のデータを利用して予測しました。
関連データである6月東京都区部消費者物価指数(中旬速報値)では、総合の前年同月比は+3.1%と5月の+3.2%から0.1ポイント上昇率が鈍化しました。1月は+4.4%と高かったのですが、2月からの政府の電気・ガス料金の負担軽減策の影響が出て、2月の+3.4%以降+3%台が続いています。6月は電気料金の値上げの影響で、電気代は▲10.9%と5月の▲16.1%から下落率が縮小し、上昇要因になりました。一方、6月は、生鮮食品により総合の上昇幅が0.03ポイント縮小、家庭用耐久財により総合の上昇幅が0.04ポイント縮小、宿泊料により総合の上昇幅が0.06ポイント縮小しました。
また、大阪市消費者物価指数・総合・6月(中旬速報値)前年同月比は+3.5%で5月の+3.6%から0.1ポイント伸び率が鈍化しました。なお、大阪市では電気代の値上げはありません。
6月の生鮮食品を除く総合の前年同月比は、東京都区部(速報)は+3.2%で5月の+3.1%から0.1ポイント上昇率が高まりました。一方、大阪市の6月は前年同月比+3.4%で5月の+3.5%から0.1ポイント上昇率が鈍化しました。電気代が上がったところと、据え置かれたところの差が出ていると思われます。
6月の生鮮食品及びエネルギーを除く総合の前年同月比は、東京都区部(速報)は+3.8%と5月の+3.9%から0.1ポイント上昇率が鈍化しました。一方、大阪市の6月前年同月比は+4.8%で5月の+4.8%と同じ上昇率でした。

※全国消費者物価指数6月前年同月比は筆者予測

※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。