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7月3日発表の日銀短観6月調査、大企業・製造業・業況判断DI+7程度と、3月調査+1から7期ぶりに改善を予測。―日本の主要経済指標予測(2023年6月21日)―

日銀短観6月調査で大企業・非製造業・業況判断DI+23程度を予測、コロナ禍前の19年6月調査以来の水準になるか。

日銀短観6月調査では、製造業で依然エネルギー価格や原材料価格の高騰などのマイナス要因が引き続きあるものの、部材供給不足の影響緩和や、国内・海外での受注増加というプラス要因が出てきました。このため、大企業・製造業の業況判断DIは+7程度と3月調査の+1から6ポイント程度改善すると予測しました。改善は前期より4ポイント改善し+18になった21年9月調査以来7期ぶりです。
また、大企業・非製造業の業況判断DIは+23程度と、こちらは3月調査の+20から3ポイント程度改善し、コロナ禍前の19年6月調査の水準+23に戻るとみました。コロナが5類に移行し経済活動が正常化してきたこと、今年はそれなりの賃金上昇が実現したこと、インバウンド需要が戻ってきたことなどがプラス要因になっていると思われます。

※日銀短観2023年6月調査は筆者予測値

日銀短観DIと連動性が高いことが知られているQUICK短観(6月調査)やロイター短観(6月調査)の動向と、日銀短観予測。

6月15日に発表されたQUICK短観6月調査の調査期間は6月1日から6月12日です。製造業の業況判断DIは3月調査の+6から1ポイント上昇し+7となりました。また、非製造業の業況判断DIは3月調査の+28から6ポイント上昇し+34となりました。

6月21日に発表されたロイター短観6月調査の調査期間は6月7日から6月16日です。6月調査400社ベースの製造業の業況判断DIは3月調査の▲3から11ポイント上昇し+8になりました。また、6月調査200社ベースの製造業の業況判断DIは3月調査の+9から11ポイント上昇し+20になりました。
ロイター短観6月調査400社ベースの非製造業の業況判断DIは3月調査の+21から3ポイント上昇し+24になりました。一方、6月調査200社ベースの非製造業の業況判断DIは3月調査の+36から9ポイント低下し+27になりました。

6月調査・大企業・業況判断DIは製造業と非製造業ともに3月調査の「先行き見通し」上回り、景況感が上振れたかたちに

なお、6月調査の大企業・製造業の業況判断DIが予測通り+7程度なら3月調査の「先行き見通し」+3を4ポイント上回る水準になり、景況感が事前予想より上振れたことになります。また、大企業・非製造業が予測通り+23程度なら、事前予想の3月調査の「先行き見通し」+15から8ポイント程度と事前の予想より景況感が上振れたかたちです。製造業と非製造業ともに景況感が上振れたかたちです。

6月調査・大企業・業況判断DI「先行き見通し」は製造業が改善、一方、非製造業は悪化か

QUICK短観6月調査の製造業の9月までの「先行き見通し」は+12で6月実績の+7より5ポイント上昇の見込み、また、非製造業の9月までの「先行き見通し」は+26で6月実績の+34より8ポイント低下の予想です。

ロイター短観6月調査の9月までの「先行き見通し」は、製造業・400社ベースで+13と6月実績の+8から5ポイント上昇する見込み、製造業・200社ベースで+25と6月実績の+20からこちらも5ポイント上昇する見込みです。一方、非製造業・400社ベースの9月までの「先行き見通し」は+22と6月実績の+24から2ポイント低下する見込み、非製造業・200社ベースで+17と6月実績の+27から10ポイント低下になる見込みです。

日銀短観の大企業・業況判断DIの9月までの「先行き見通し」は、QUICK短観やロイター短観などを参考にして、製造業は6月実績比5ポイント上昇の+12程度に改善すると見ました。一方、非製造業は6月実績比5ポイント低下の+18程度と予測しました。

6月調査日銀短観の中小企業の業況判断DIは製造業が▲4程度、非製造業が+10程度か

6月調査日銀短観の中小企業の業況判断DIは製造業が▲4程度と3月調査の▲6から2ポイント程度改善すると予測しました。非製造業は3月調査の+8から2ポイント程度改善し+10程度になるとみました。この予測値は、景気ウォッチャー調査の企業動向関連の現状水準判断DIなどを参考にして予測しました。

参考データの景気ウォッチャー調査の企業動向関連の現状水準判断DI・季節調整値の最近の推移は製造業が22年12月調査44.2、23年1月調査43.1、2月調査43.6、3月調査46.8、4月調査46.2、5月調査48.6と推移しています。

一方、非製造業は22年12月調査45.5、23年1月調査46.1、2月調査48.4、3月調査49.3、4月調査51.5、5月調査51.5と推移しています。なお、日銀短観は水準の調査なので、景気ウォッチャー調査の方向性の現状判断DIではなく、参考データの現状水準判断DIの方を重視しました。

日銀短観の中小企業・製造業の業況判断DIが▲4程度と予測通りなら、3月調査の「先行き見通し」の▲4と同水準で、事前の見通し通りやや改善したことになるでしょう。また中小企業・非製造業が+10程度と予測通りなら、3月調査の「先行き見通し」の+3より7ポイント高い水準で、事前の見通しより良かったことを意味するでしょう。

日銀短観の中小企業・業況判断DIの9月までの「先行き見通し」は、製造業で6月実績比2ポイント改善の▲2程度、一方、非製造業は6月実績比7ポイント悪化の+3程度と予測しました。中小企業・非製造業では先行きをいつも慎重にみる傾向があるというクセを考慮しました。

設備投資計画、6月調査は3月調査から上方修正、底堅い結果か

日銀短観の設備投資計画の予測には、他の設備投資計画調査である法人企業景気予測調査、景気ウォッチャー調査から作成する設備投資DIや、過去の修正パターンなどを参考にしています。

4~6月期調査の法人企業景気予測調査の2023年度の全産業・設備投資計画は前年度比+11.2%で1~3月期調査の+9.1%から2.1ポイント伸び率が高まっています。

景気ウォッチャー調査の設備投資関連・現状判断DIは、22年12月45.8、23年1月42.9、2月41.7、3月62.5、4月54.2、5月50.0と推移しています。一方、設備投資関連・先行き判断DIは22年12月65.0、23年1月50.0、2月57.1、3月64.3、4月75.0、5月71.4と推移しています。

22年度の大企業・全産業の設備投資は前年度比+13.5%程度と予測しました。予測通りなら3月調査の同+16.4%から増加率が鈍化するとことになります。

22年度の中小企業・全産業の設備投資計画は前年度比+3.2%程度と、3月調査の同+0.6%から上方修正されると予測しました。中小企業の設備投資は例年3月調査が弱く、その後は1年後の3月調査まで調査の度に改善していく傾向があります。22年度も3月調査は12月調査より改善するとみました。

23年度の大企業・全産業の設備投資は前年度比+6.4%程度と、3月調査の同+3.2%から上方修正されると予測しました。また、23年度の中小企業・全産業の設備投資計画は前年度比+2.1%程度と、3月調査の同+1.4%から上方修正されると予測しました。

<6月調査日銀短観・予測値>

(1)大企業

6月製造業DI        +7
6月非製造業DI      +23
9月製造業DI      +12
9月非製造業DI      +18

22年度設備投資計画(全産業)前年度比      +13.5%
23年度設備投資計画(全産業)前年度比        +6.4%

(2)中小企業

6月製造業DI         ▲4
6月非製造業DI      +10
9月製造業DI         ▲2
9月非製造業DI        +3

22年度設備投資計画(全産業)前年度比        +3.2%
23年度設備投資計画(全産業)前年度比        +2.1%

※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。