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5月・6 月の自殺者数・前年同月比は2カ月連続2ケタ減少で減少率は拡大。6月の完全失業率は 5 月から低下を予測。   ―日本の主要経済指標予測(2023 年7 月18日)―

6 月の有効求人倍率改善を、5月の新規求人倍率の上昇から予測(8 月 1 日発表)

6 月 30 日に発表された 5 月の有効求人倍率は1.31倍と前月から0.01ポイント低下しました。厚生労働省がハローワークにおける求人・求職・就職の状況をとりまとめ、求人倍率などの指標を毎月公表しています。有効求人倍率の 1.00 倍は有効求人数と有効求職者数が同じであることを意味し、1 を上回ると有効求人数が相対的に多いことを示唆します。 5月の新規求人数は前月比+0.6%の増加でしたが、5月の有効求人数は前月比▲0.7%の減少でした。5月の有効求職者数は+0.1%の増加でした。このため有効求人倍率は若干低下しました。

足元の求人状況について、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが 2 類から 5 類に変更されたことで一段の人流回復への期待から、宿泊・飲食サービス業などで増加しました。一方、建設業や製造業では原材料価格の高騰を受けて求人を見合わせており、業種ごとにばらつきがある状況です。
6 月の有効求人倍率は 1.32 倍程度と5 月の 1.31 倍から0.01ポイント改善すると予測します。
景気ウォッチャー調査の雇用関連の現状水準判断DI(季節調整値:
50 が景気判断の分岐点)は 22 年 10 月の 52.8 をピークに 1 月の
47.2 まで低下基調にありましたが、その後 2 月 51.2、3 月 53.9、4 月 53.4、5 月は 54.4、6 月は 54.3 へと振幅を伴いつつも改善基調で推移していますが、6月は0.1ポイント低下しました。一方、やや先行性があるとみられる新規求人倍率は 5 月 2.36 倍で、4月 2.23 倍に比べて 0.13 ポイント上昇しました。


※2023年6月は筆者予測値

6 月完全失業率は 2.5%程度か。5月の2.6%(2.55%)から0.01ポイント低下で低下に(8 月 1日発表)

6 月 30 日に発表された 5 月の完全失業率(通常マスコミで報じられるものは小数点第 1 位までの季節調整値)は 2.6%で、4 月の 2.6%と同水準になりました。
完全失業者数(季節調整値)が 4 月から▲3万人と減少しました。4月は3月から▲15万人減少していました。 今年はコロナ禍から元の生活に戻る流れの中で景気が良くなっていく期待感が高まり、区切りの良い年度末にかけて次の仕事を探すなど自己都合で職を離れた人が多くありました。
完全失業者数(季節調整値)前月差は 2 月+13 万人、3 月+15 万人と 2 カ月連続で増加ました。内訳をみると、次の仕事を探すなど自己都合で職を離れる「自発的な離職」の前月差が 2 月+8 万人、3 月+6 万人と2 カ月連続で増加していました。
その後4月・5月には、求職活動をしていた人が新規採用などのタイミングで就職したとみられます。「自発的な離職」の前月差が4 月▲9万人、5 月▲2万人と減少し、7Ⅰ 万人になりました。
6月の完全失業率(季節調整値)は 2.5%程度と 5 月の 2.6%から0.1ポイント低下すると予測します。季節調整値の完全失業率を小数点第 2 位(景気動向指数・遅行系列に採用)まででみると、22 年 9 月 2.62%、10 月 2.57%、11 月 2.51%、12 月 2.48%、23 年 1 月 2.42%、2 月2.60%、3 月 2.81%、4 月 2.59%、5 月 2.55%と推移しています。0.10ポイントでなく、0.01ポイント低下すれば2.54%で、四捨五入して2.5%に低下することになります。但し、原数値の完全失業率を季節調整値にするための除数である 23 年 6 月の推計季節指数は 1.034 で 23 年 5 月の1.061 よりは小さいため、季節調整値の完全失業率は5 月の 2.6%(2.55%)から大きく低下し2.4%になる可能性は小さいとみました。
また、自殺の原因には経済・生活問題も多く、78 年から 22 年までの 45 年暦年の完全失業率と自殺者数(警察庁)の相関係数は 0.91 と、完全一致の 1 に近い強い正の相関があります。自殺者数の前年同月比は 23 年 1 月+8.0%、2 月+9.0%、3 月+0.2%、4 月+5.2%の増加のあと、5月は▲16.4%と13 カ月ぶり減少になりました。そして7 月 14日に公表された 6 月暫定値は▲17.5%と減少率を拡大し、2カ月連続の減少になりました。こうした情報を総合的に判断し予測しました。


6 月新設住宅着工戸数の前年同月比は鈍化するも、2 カ月連続増加か(7 月 31 日発表)

6 月30 日に発表された5 月の新設住宅着工戸数は、前年同月比+3.5%増加の 6 万 9,561 戸で、4カ月ぶりの増加になりました。季節調整済み年率換算86.2万戸で前月比+11.8%の増加だった。4月の前月比が▲12.1%の大幅減少だった反動が出たかたちです。持ち家は前年同月比▲11.5%で18カ月連続の減少、貸家は前年同月比+10.5%で2か月ぶりの増加、分譲住宅は前年同月比+9.1%で4カ月ぶりの増加となりました。
6月の新設住宅着工戸数の前年同月比は+1.6%程度と 5 月の+3.5%から増加率は小さくなるものの、2カ月連続の増加になると予測しました。6 月の新設住宅着工戸数・年率換算・季節調整値は86.2 万戸程度、前月比は0.0%程度と横ばいになるとみました。
景気ウォッチャー調査の住宅関連の現状水準判断DI(季節調整値)は、22 年 10 月 42.0、11 月 42.2、12 月 39.3、23 年 1 月 40.7、2 月40.0、3 月 42.3、4月 42.6、5 月 43.2 、6月 43.2と 推移していることなどを参考に予測しました。

※2023年6月は筆者予測値

※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。