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8月貿易統計・出超額は2カ月連続で若干の赤字を予測。8月全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同月比は、7月から鈍化か―日本の主要経済指標予測(2023年9月7日)―

8月貿易統計・通関収支差は▲1,000億円程度の赤字を予測(9月20日発表)

 8月30日に発表された7月分貿易統計確報によると、輸出金額は8兆7,243億円、前年同月比▲0.3%で29か月ぶりの減少、輸入金額は8兆7,906億円、▲13.6%減で4か月連続の減少となりました。輸出と輸入の差引額は▲663億円と2か月ぶりの赤字になりましたた。

 輸出では、自動車などが増加し、鉱物性燃料、半導体等製造装置、半導体等電子部品などが減少しました。一方、輸入では、石炭、原粗油、LNGなどが減少しました。

 8月の貿易統計で、輸出額から輸入額を差し引いた通関収支差は▲1,000億円程度と2カ月連続で若干の赤字になると予測します。前年同月の▲2兆7,904億円の赤字から前年同月比▲96.4%赤字幅が縮小すると予測しました。なお、8月上中旬の通関収支差は▲217億円で、前年同旬比▲98.7%の赤字幅縮小となっています。

 8月の輸出額は7兆7,873億円程度、前年同月比は▲3.4%程度と2カ月連続の減少になると予測します。8月上中旬で輸出額は前年比▲5.0%でした。輸出が大きく増加した品目は自動車で、大きく減少した品目は鉱物性燃料、半導体等製造装置、有機化合物でした。

 8月の輸入額は7兆8,873億円程度、前年同月比は▲27.3%程度と5カ月連続の減少になると予測します。8月上中旬で輸入額は前年比▲28.5%の減少でした。輸入で大きく増加した品目は、無く。大きく減少した品目は石炭、原粗油、LNGでした。

 8月上中旬の原粗油の単価、数量、輸入金額の前年同旬比をみると、単価は72,218円/klで前年同旬比▲24.8%程度の低下でした。数量は前年同旬比▲9.8%程度の減少、金額は前年同旬比▲32.2%程度の減少でした。8月月間の単価(入着原油価格)の前年同月比は、5カ月連続の下落になる可能性が大きいと思われます。輸入全体の金額の減少要因になるでしょう。 

※2023年8月は筆者予測値

8月全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同月比+2.9%程度と7月+3.1%から鈍化すると予測(9月22日発表)

 7月の全国消費者物価指数・総合の前年同月比は+3.3%と6月の+3.3%と同じ伸び率になりました、23か月連続上昇しました。7月の生鮮食品を除く総合も前年同月比で+3.1%と6月の+3.3%から鈍化しましたが、23か月連続上昇しました。7月エネルギーは前年同月比▲8.7%下落しました。7月の生鮮食品を除く食料の前年同月比は3カ月連続で同じ+9.2%の上昇で、伸び率は1975年10月の+9.9%以来となる高水準でした。訪日外客数の増加や人手不足に加え、多くの自治体が全国旅行支援を終了したことで宿泊料は前年同月比+15.1%上昇しました。一部通信事業者の料金プラン改定の影響で、携帯電話の通信料も前年同月比+10.2%上昇しました。
7月の生鮮食品とエネルギーを除く総合の前年同月比は+4.3%で、16か月連続上昇しました。
 
 8月の全国消費者物価指数・総合の前年同月比は+3.1%程度と7月の+3.3%から伸び率が鈍化するものの、24カ月連続の上昇になると予測しました。8月の前月比は+0.1%程度とみました。政府の電気・ガス料金の負担軽減策(最近の寄与度、3月▲1.00%、4月▲1.00%、5月▲1.00%、6月▲1.00%、7月▲0.99%)は引き続き物価安定要因として働くとみます。全国旅行支援(寄与度、3月▲0.13%、4月▲0.05%、5月▲0.05%、6月▲0.12%、7月▲0.03%)は、8月は終了となり影響はなくなるとみました。ガソリン補助金は6月から段階的に縮小され9月末で終了することになっているので、8月にはその影響が上昇要因として現れます。レギュラーガソリン価格、23年8月28日185.6円/㍑に。08年8月4日の185.1円/㍑の最高値を15年ぶりに更新しました。

 8月の全国消費者物価指数・生鮮食品を除く総合の前年同月比は+2.9%程度と7月の+3.1%と0.2ポイント程度上昇率が鈍化するものの、24カ月連続の上昇になると予測します。前月比は+0.2%程度とみました。8月の生鮮食品及びエネルギーを除く総合の前年同月比は+4.3%程度と7月の+4.3%と同程度の上昇率になり、17カ月連続の上昇になるとみました。前月比は+0.3%程度と予測しました。

 既に発表されている8月東京都区部消費者物価指数(中旬速報値)と8月大阪市消費者物価指数(中旬速報値)のデータを参考にして予測しました。
関連データである8月東京都区部消費者物価指数(中旬速報値)では、総合の前年同月比は+2.9%と7月の+3.2%から3ポイント上昇率が鈍化しました。8月の電気代は前年同月比▲22.3%と7月の▲16.7%から下落率が拡大し、前年同月比寄与度差は▲0.20%と低下要因になりました。8月の都市ガス代は前年同月比▲14.0%と7月の▲9.1%から下落率が拡大し、前年同月比寄与度差は▲0.09%と低下要因になりました。一方、8月は、ガソリンの前年同月比寄与度差は+0.05%と上昇要因になりました。生鮮食品を除く食料の前年同月比寄与度差は▲0.02%の下落要因に、宿泊料の前年同月比寄与度差は+0.05%の上昇要因になりました。また、大阪市消費者物価指数・総合・8月(中旬速報値)前年同月比は+3.6%で、電気代の影響がないため7月の+3.3%から伸び率が高まりました。

 8月の生鮮食品を除く総合の前年同月比は、東京都区部(速報)は+2.8%で7月の+3.0%から0.2ポイント上昇率が鈍化しました。一方、大阪市の8月は前年同月比+3.5%で7月の+3.2%から0.3ポイント上昇率が高まりました。
8月の生鮮食品及びエネルギーを除く総合の前年同月比は、東京都区部(速報)は+4.0%と7月の+4.0%と同じ上昇率でした。一方、大阪市の8月前年同月比は+5.4%で7月の+4.9%から0.5ポイント上昇率が高まりました。 

※全国消費者物価指数8月前年同月比は筆者予測値

※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。