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6月鉱工業生産指数は2カ月ぶり前月比上昇に。6月商業販売額・小売業の前年同月比、増加率は5月から鈍化か。―日本の主要経済指標予測(2023年7月20日)―

6月の鉱工業生産指数の関連指標は前月比上昇を示唆(7月31日発表)

6月30日に発表された5月・鉱工業生産指数・速報値は前月比▲1.6%の低下で、業種ごとにみると全体15業種のうち、12業種が低下、3業種が上昇という結果でした。5月は、これまでの上昇の反動に加えて、部材供給不足の影響などを受けて、自動車工業等が低下したことなどから、4か月ぶりの低下となりました。なお、経済産業省は基調判断を「緩やかな持ち直しの動き」に据え置きました。
7月14日に発表された5月・鉱工業生産指数・確報値の前月比は▲2.2%の低下で、業種ごとにみると全体16業種のうち、13業種が低下、3業種が上昇という結果でした。医薬品や鉄道車両が速報値の仮置き値を下回り、速報値の低下から下方修正されました。
7月31日に発表される6月の鉱工業生産指数(速報値)の前月比は+3.5%程度と、2カ月ぶりの上昇になると予測しました。また、6月の前年同月比は+1.1%程度と2カ月連続の上昇になると予測しました。
製造工業生産予測指数の6月は前月比+5.6%の上昇見込みです。しかし、過去のパターン等で製造工業生産予測指数を修正した経済産業省の機械的な補正値でみると、6月の前月比は先行き試算値最頻値で+3.4%の上昇になる見込みです。90%の確率に収まる範囲は+2.1%~+4.8%の上昇になっています。
6月の財務省貿易統計で輸出金額の前月比は+3.3%になりました。日銀の輸出物価指数の6月の前月比は+1.1%です。6月の日銀の実質輸出の前月比は+5.4%になりました。
一方、景気ウォッチャー調査・製造業・現状水準判断DI(季節調整値)は、23年1月43.1、2月43.6、3月46.8、4月46.2、5月48.6、6月48.8と改善傾向で推移しています。このような関連データなどを、総合的に判断し予測しました。


※2023年6月は筆者予測値


6月商業販売額・小売業の前年同月比は増加だが、5月+5.8%からは鈍化か(7月31日発表)

6月30日に発表された5月速報値の商業販売額・小売業の前年同月比は+5.7%と4月確報値の+5.1%から増加率が高まりました。7月18日に発表された5月確報値の商業販売額・小売業の前年同月比は+5.8%と僅かに上方修正されました。
7月31日に発表される6月速報値の商業販売額・小売業の前年同月比は+4.2%程度と5月確報値の+5.8%から増加率が鈍化すると予測します。
6月の大手百貨店4社の売上高・前年同月比の単純平均は+10.6%で5月の+8.3%から2.3ポイント拡大していることなどを参考にして、各種商品小売業・6月前年同月比は5月の+3.9%から増加率が拡大するとみました。
一方、自動車小売業の6月前年同月比は5月の+18.8%から増加率が鈍化するとみました。新車新規登録届出台数(乗用車)の6月前年同月比は+23.9%で5月の+28.4%から増加率が4.5ポイント鈍化しているからです。燃料小売業の6月の前年同月比は5月の▲1.7%から減少率が拡大する可能性が高いとみました。レギュラーガソリン価格の前年比をみると、6月は▲1.6%程度と5月の▲0.1%程度から下落幅が拡大しています。
なお、景気ウォッチャー調査で5月から6月への小売関連の現状水準判断DI(季節調整値)の動きをみると、48.5から47.7へ低下しています。これらを総合的に判断し予測しました。


※2023年6月は筆者予測値

※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。