村上春樹・私の一節
1年以上前に、羊男さんが「ムラカミ本を出すピクニック」で、
原稿を募集していたから、私も書いてみたけれどww。
何らかの事情で、きっと、その企画、無くなったのだろうね。
私は村上作品を想像しての即席短歌だったけれど、
年末だから、滑り込みで、もう、その原稿、UPしてみるわ。
時の経つのは、早いから・・。
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『女のいない男たち』 文芸春秋 p,269
僕らは十四歳のときに中学校の教室で出会った。たしか「生物」の授業だった。アンモナイトだか、シーラカンスだか、なにしろそんな話だ。彼女は僕の隣に座っていた。僕が「消しゴムを忘れたんだけれど、余分があったら貸してくれないか」と言うと、彼女は自分の消しゴムを二つに割って、ひとつを僕にくれた。にっこりとして。そして僕は文字通り一瞬にして彼女と恋に落ちた。彼女は僕がそれまで目にした中で、いちばん美しい女の子だった。とにかくそのとき僕はそう思った。僕はエムをそのような存在としてとらえたい。僕らはそんな具合に、中学校の教室で初めて出会ったのだと。アンモナイトだかシーラカンスだか、その手のものにひそやかに圧倒的に仲介されて。そう考えると、いろんなことがとてもすんなりと腑に落ちるものだから。
村上さんは、こんな素敵な作品を書くのだから、色々な作品を想像しながら速攻的に短歌作ってみました。
〇 シーラカンスのカップとタオルいつの日か会いたい人に買ったのよ
〇 晩秋のサザンシアター朗読会村上春樹の声聞きに行く
〇 ソワソワと半世紀ぶりに訪ぬれば新宿の街は満月なりて
〇 「バラ色の人生」の曲ながれくる誰を想うか村上ラジオ
〇 石のまくらの冷たさよ思わず見上ぐ満天の星遠くあり
〇 黄昏に一角獣の声響き心のひだの擦れる痛みの
〇 ある晴れた日の裏通り悲恋拾いし女あり影引きづりて
〇 「ハナレイベイ」ハワイの海の青くして映画館に潮騒聞こゆ
〇 青山の銀杏の実落つポトリポトリ秋深きかな黄金の葉を踏む
〇 幼子にアンモナイトをくれし父その人生を聞かぬ間に逝く
〇 六月の深紅のバラの美しく追憶ばかりの半世紀かな
〇 アルバムの集合写真A4に延ばしてみれば君の面影
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