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今月の1冊~2020.04

読む本は数あれ、ぐっとくる1冊にはそんなに簡単に出会えない。
そんな中でも毎月1冊もしあれば2冊、自分のなかでこれは・・と思ったものの感想を書いていこうと思います。
本の要約ではないと思うので気になる方は是非ご自身で読んでください!

今月は
2010’s  宇野維正・田中宗一郎 著

まだ外に自由に出られていた2月か3月に、書店で緑色のカバーに惹かれて、特になにも考えずに手に取った本。ポップカルチャー、高校とか大学のときには一時期ハマっていましたが、家族が増えるにしたがってなんとなく遠のいた感じになっています。ただ、最近なんとなくですが、気になる・・・という気はしていたものの、結局近くに行けないままに、2020年になってしまった私にとって、2010年代にこんなことが起きていたのか~と目からうろこなのでした。

ピッチ・フォークやラップミュージックが身近にそして世界中に広まったのはなぜか、日本の音楽のガラパゴス化とスポティファイの話、映画とテレビそしてネットフリックス。インターネットなどのテクノロジーの普及に従って、ポップカルチャーの地図がどう変わっていたのかを、ポップカルチャーを偏愛する著者が様々な角度から考察しています。これを読んでいて感じたのは、世の中の流れにカルチャーはとても敏感だということ。なので、早くから様々なことが試行錯誤されているなと感じました。

ここ数年、デザインの仕事をしていて「ナラティブ」を大きなテーマにしているのですが、説明が難しいのも事実。でも、この本を通してひとつ確信がもてました。それは、世の中がよくわからくなってきていることへの解として、誰もが共有できるものが物語であるということ。神話は、まだ本もないような時代から、人から人へ生きていくために必要なことをわかりやすく、興味深い物語として言い伝えてきています。この、グローバリゼーションが進んだ時代、みんなが同じくなにかを手に取ることがないからこそ、ナラティブとして伝えていく必要がある、そんな自信と確信をそっと私に授けてくれました。
「ゲーム・オブ・スローンズ」のジョン・スノウも「何が正しい気がしない」という発言をしているそうです。10年経ったらどうなっているのかもはや想像もつかない。でももっと素晴らしいカルチャーが生まれているはずと願いたい、そんな世界への願いを感じ取れた1冊でした。

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