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マインドとゴール達成の仕組み

4か月前に認知科学ベースのコーチングと出会い、2か月前よりスクールで勉強を始めました。

ストレングスファインダー「学習欲」が上位にあって、物事の仕組みを知ることが「want to」の僕にとって、人間の脳や認知の仕組みがとても面白く、毎日勉強に励んでいます。

これまで学んできたことについて、ざっとまとめてみました。まだまだ奥が深いので、詳細なテーマは個別に記事にしていきたいと思います。

コーチング

コーチの語源は「馬車」と言われています。つまり、大切な人を望む場所へ送り届けることがコーチの役割となります。コーチングとは“教える”のでもなく“引き出す”のでもなく“導く”のでもなく“送り届ける”ことです。
認知科学コーチの役割は、認知科学に基づいたマインド(脳と心)の上手な使い方を教え、クライアントをゴールへ送り届けることです。

あなたが、あなたの想像を超えるパフォーマンスを発揮し、あなたの本音のゴール達成をサポートすることがわたしたちコーチの役割です。

認知科学

「認知」とは、人間が外部の対象物を知覚した上で、それが何であるかを判断したり解釈したりする過程のことを指します。これを情報処理の観点で科学的に理解しようとする研究分野が「認知科学」です。
 
情報処理は「インプット→プロセス→アウトプット」ですが、これを人間に置き換えると「刺激(インプット)→マインド→反応(アウトプット)」ということになります。人間は外部から受けた刺激をマインド(脳と心)によって処理をして何らかの反応を起こします。

同じインプットでもマインド(脳と心)の使い方が変わればアウトプットが変わります。

RASとスコトーマ

RAS(Reticular Activating System:網様体賦活系)は脳の機能で、自分が重要と判断した情報だけを脳に送り、不要と判断した情報を遮断する機能です。

人間は五感を通じて毎秒4,000億bit(50GB)もの情報量をキャッチしていると言われていますが、この情報量を全て脳で処理しようとすると人間は一瞬で餓死してしまうほどのエネルギーを消耗してしまいます。これを防ぐための仕組みがRASであり、不要な情報をフィルタリングしています。RASにより実際に脳が処理をしているのは、4,000億bitのうち2,000bit(250byte)程度といわれています。

RAS は過去の経験に基づいて重要度を判断し不要だと判断した情報は、スコトーマ(心理的盲点)となり脳は認知できなくなります。

つまり、私たちが見ている世界は、昨日まで重要だと判断してきた情報だけで成り⽴っていることになります。

RASとスコトーマは誰もが持っています。例えばこれまで国産車を乗っていた人がベンツを購入した途端に、昨日まで国産車だらけだった街中にはベンツだらけの世界となり、BMWを購入したらBMWだらけの世界となります。ベンツやBMWを購入したことでそれらの重要度が上がり、RASのフィルタリング条件が変わることでスコトーマが外れたのです。

⾃分が本⼼から興味を持つこと、本⼼からやりたいことをゴールに設定すれば、ゴール達成に不要な情報はスコトーマで見えなくなり、ゴール達成に必要な情報だけが入ってくるようになるのです。

ビリーフシステム

RASは自分が重要と判断した情報だけを脳に送るためのフィルタリング機能ですが、そもそもその情報が重要か不要か、良いか悪いか、好きか嫌いかなどは、ビリーフシステム(信念体系)によって判断しています。

ビリーフシステムは、過去に自分が受け入れてきた言語・情報などによって構築されていますが、その多くは幼少期に親や兄弟、学校の先生、友達などから言われた言葉などです。「自分は運動が苦手だ」と思っている人は、誰かから「あなたは運動音痴だね」と言われたからであり、「中国よりアメリカが好きだ」と思っている人は、学校教育やメディアなどの影響を受けているためです。人間は外部から受けた刺激をビリーフシステムによって処理をして何らかの反応を起こします。

ビリーフシステムを変えることによってRASのフィルタリング条件が変更されて脳の認知が変わるのです。

ゴール設定

ゴールを設定することで、RASとスコトーマの仕組みによりゴール達成に必要な情報だけが認識できるようになります。それでは、ゴールはどのように設定すればいいのでしょうか?

ゴールは⾃分が本⼼から興味を持つこと、本⼼からやりたいことである「want to」に基づいて「現状の外側」に設定します。

「現状の外側」について説明する前に、現状の定義から説明します。現状とは「現在の状態が続けば十分に起こり得ると予想される未来」のことです。「体重を10kg 減らすこと」「3 年以内に昇進すること」など、そこにたどり着くためのプロセスが想定できるものは全て現状です。

これに対して「現状の外側」とは、現在の自分とは全くかけ離れていて、現在の仕事や環境では考えつかないようなゴールのことをいいます。そこにたどり着くまでのプロセスは、ゴールを設定した時点では明確ではありませんし、達成できるかどうか想像もつきません。

ゴールを達成するためのプロセスは、RASやスコトーマ、ビリーフシステムの仕組みなどであとから脳がはじき出してくれます。

わたしたちは現状の外側のゴールを設定することによって、初めてゴールに必要なリソースやプロセスが見えてくるのです。

エフィカシー

現状の外側のゴールを達成するためには、高いエフィカシーが必要です。エフィカシー(自己効力感)とは、ゴール達成に対する自己能力の自己評価のことです。自己能力の自己評価ですから、過去の実績や他人の評価などは一切関係ありません。「理由はないけど自分ならできそうな気がする」という根拠の無い自信のようなものです。

混同しやすい概念であるセルフエスティーム(自己肯定感)は、過去の実績によって確立された現在のポジションに対する自己評価です。セルフエスティームは「過去の結果」、エフィカシーは「未来を信じる力」と言えるでしょう。

2011年に行われた女子サッカーのワールドカップでは、日本のなでしこジャパンが優勝するという快挙を成し遂げました。決勝のアメリカの通算成績は0勝21敗3分で、それまで1度も勝利したことのない相手でしたが、試合は延長でも決着がつかずPK戦で勝利をつかみました。

後日談では選手たちはワールドカップ決勝の緊張する場面でも試合を楽しんでいたと語られています。この時のなでしこジャパンは、1度も勝利したことのないアメリカに対して勝利してワールドカップで優勝するという現状の外側のゴールを設定し、自分たちなら勝てるという高いエフィカシーによって選手たちには勝つためのアイデアやプロセスが見えていたのではないでしょうか。

現状の外側のゴールを達成するために必要なことは、リソースやプロセスを考えることではなく⾃分ならできるという根拠のない⾃信(エフィカシー)を持つことです。

現状の外側にゴールを設定しエフィカシーを⾼めることで、必要なリソースやプロセスを認識することができ、ゴール達成への道筋が⾒えてくるのです。

コンフォートゾーン

現状の外側にゴールを設定し、エフィカシーを高めても安心はできません。ゴールに向かって動き出しても現状に引き戻されてしまう恐れがあります。

人にとって心地の良い領域をコンフォートゾーンといい、人はコンフォートゾーンから外れたことをしようとするとホメオスタシス(生体恒常性)によってコンフォートゾーンに戻される力が働きます。

ホメオスタシスは生物学の用語で、外界の環境の変化に対し⽣体を安定した状態に保とうとする機能のことです。例えば、平熱が36度の⼈が気温40度の場所に⾏っても、汗をかいて36度に保とうとしますし、マイナス20度の場所に行っても鳥肌を立てたり震えたりして36度に保とうとします。この機能は大脳の前頭前野の進化によって、人間のマインド(脳や心)にも存在することが証明されています。3日坊主やダイエットのリバウンドもホメオスタシスによるものです。

ホメオスタシスはエアコンのサーモスタットのような機能ですが、エアコンが室温と設定温度の差が大きいほど大きな力が働くように、ホメオスタシスもコンフォートゾーンから大きく外れようとすると戻ろうとする力も大きくなります。10人の前でスピーチすることがコンフォートゾーンの人が、20人よりも100人の前でスピーチすることの方が緊張するのと同じことです。

このようにわたしたちは無意識レベルで慣れ親しんだ環境を維持しようとし、ホメオスタシスによりコンフォートゾーンに留まろうとする習性を持っていますが、この習性を上手く利用することがゴール達成のカギとなります。

平熱が36度かつ40度である人がいないのと同じように、コンフォートゾーンを同時に2つ持つことはできません。現在の自分が持っているコンフォートゾーンと、ゴール達成後の未来世界の自分が持つコンフォートゾーンを同時に持てないということですが、未来世界のコンフォートゾーンを採用することができればホメオスタシスによってゴール側のコンフォートゾーンへ引き戻される力が働くことになります。
コンフォートゾーンが2つある場合、その人にとって臨場感の高い方のコンフォートゾーンが採用されます。これがゴール達成の仕組みであり、ゴールを現状の外側に設定する理由はホメオスタシスの力を最大限に活用するためなのです。

ホメオスタシスによりRASが機能しスコトーマが外れ、ゴール達成へのリソースやプロセスが見えてくるのです。

セルフトーク

コンフォートゾーンはセルフトークによってできています。セルフトークとは自分自身に対して無意識にかつ自動的に語りかけている言葉のことです。

セルフトークは、両親や兄弟、学校の先生、会社の上司や同僚、友達など他人の言葉からも影響を受けています。人は1日に3~5万回のセルフトークをしており、そのうちの8割はネガティブな言葉だともいわれています。

セルフトークが自己イメージを作っています。自己イメージは生まれてから今日にいたるまでに築き上げられた自分のイメージなので、自己イメージ(コンフォートゾーン)から外れることをすると心地悪くなります。「自分は運動音痴だ」「自分は勉強ができない」などもそれまでに築き上げた自己イメージでありその人にとってのコンフォートゾーンなので、この状態を維持しようとします。

言葉が自己イメージを作り、自己イメージがコンフォートゾーンを作るので、言葉(セルフトーク)を変えればコンフォートゾーンも変わります。

ゴールを達成するためには、ゴールを達成した未来の自分に相応しいセルフトークをすることが必要です。ネガティブなセルフトークをやめ、エフィカシーの高いセルフトークをすることによってゴール側のコンフォートゾーンの臨場感を高めることができるのです。

あなたの本当にやりたいことは何ですか?

現状の外側のゴールを設定する前に、まずはあなたの本⾳中の本⾳の欲求に気付くことが大切です。
あなたが過去数⼗年とやり続けてきた本音中の本音の欲求「want to」は何ですか?

あなたが本当にやりたいことをゴールに設定するには、これまでの人生において通底して求めてきた「want to」を認識することが重要です。
あなたの「want to」明らかにして、あなた⾃⾝のゴールを⼀緒に設定してみませんか?

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