科目「探求」って。

現在の学校に入って初めて「探求(inquiry)」の授業というのを知ったのですが、2-3か月ごとに大きなテーマはあるものの、教科書はなく、先生が教えることもなく、まさに探求。どこに進んでいくかは子どもたち次第。

しかも、この科目は音楽やアートのような副教科ではなくて、毎日必ずある科目です。すごくない?

時には国語や英語の授業の内容にもまたがりながら進んでいきます。

今は「ルール」とアルゼンチンの歴史を同時進行で勉強しています。

アルゼンチンは独立から200年ちょっとのせいか、植民地時代から革命、そして独立への流れがじっくりと勉強されます。短いからしっかり学べていいな。というか、日本は長いことは素晴らしいのだけど、もう少し近代しっかり勉強するべきじゃないかな。縄文土器の特徴とか冠位十二階か十七条憲法かとかなんであんなに必死になってたんだろう。それに比べて近現代駆け足過ぎない?

で、話を戻すと、少し前にスペインから独立したあたりは勉強したんですが、今はまた植民地時代の生活様式や社会の仕組みに戻り、(戻り!)今週はひとりずつ好きなテーマで話をする、という課題がありました。

「話をする」なんです。

取り上げるテーマは、子どもによって「馬車」「服装」など様々ですが、中には「ろうそく」や「扇」などピンポイントに絞って話す子もいました。

ランタンの中にあったろうそくに絞ってって、すごいな。実際に画面越しにろうそくを見せてくれて、電気がなかったからろうそくを使っていたって話してました。

三女はまだまだ話すのが苦手なのに、選んだのはとびきり壮大なテーマ。「indigenous people 原住民」。

原住民について授業で紹介されたことと言えば、茶色い服をまとって農作業をするイラストくらいだったのに、なぜ・・。

イラストの原住民が鍬を持っていたので、娘は常に農作業をしている人かと思ったようですが、奴隷にされた人もいれば、自由に生きていた人もいて、狩りをしたり作物を育てたりしていたということがわかりました。

なんだか楽しくなってきた娘、どんな作物を育てていたのか、どんな動物を獲っていたのかが気になり調べました。すると、ダチョウのようなñanduという鳥や小型のワニを獲っていて、紐の両側におもりが付いたような道具を使って猟をしていたこともわかりました。

えー!その大きい鳥見たい!ダチョウと違うの?どこで見れるの?動物園にはいないから自分で見つけるの?卵が顔くらい大きいらしい!その卵でパンケーキ何個作れるの?ワニって鶏肉みたいな味がするの?食べてみたい!え、スーパーで売ってるの?高いの?猟をする道具を作ってみたい!紙を丸めて毛糸をつけよう。テープだとすぐにすっぽ抜けちゃう、どうやってとめよう。。。

と、とめどない好奇心が湧いてきました。

発表では、原住民とダチョウ、卵、とうもろこし、じゃがいもなどの絵を描いて切り取り、見せながら説明し、お手製の狩りの道具も振り回して見せました。

なんか私の知ってる南米の世界史とは全然違うなあ。

授業の後、娘はすっかり武器のとりこになってぶんぶん振り回しています。技も身につけたもよう。授業ではひとっことも狩りの話、ましてや狩りの道具を振り回す様子なんか出てこなかったけれど、娘は原住民=ぶんまわし道具の公式を一生忘れないでしょう。

これが探求なんだなあ、と思いました。

ちなみに、5月は革命記念日、6月は国旗の日、7月は独立記念日、8月は英雄サンマルティンの亡くなった日などが続くので、全学年この時期には歴史を勉強しているようです。ただ出来事を知るだけでなく、その年齢や興味にあったアプローチがあるから、いいことだなあと思います。




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