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【空き家の現場で16年】肌で感じたいろいろな変化とこれからの事 その8

割引あり

実家が空き家状態になっているあなたにとって、一番の心配ごとはなんですか?

また、あなたのお家の隣のお家が空き家になって心配することはなんですか?

私が相談を受ける中での多くは、庭の草が伸び放題になっていてご近所さんから苦情が来ている、だったり、生垣や植木の枝が伸びて道路にはみ出していたり、お隣の屋根にかかっていたりという草や木の問題が多いです。

こういったケースは、市役所などからの連絡で初めて気が付き、慌てて草刈りや、伐採などの対応を業者さんに依頼する、といったことでひとまず解決します。

しかし、本当に心配なのは不審者が家の中に入り込んで勝手に住みついたり、そこで火を使うことで火災などの被害を起こし、実家だけでなくご近所にも被害を広げてしまうことです。
これは所有者の方だけでなく、ご近所さんにとっても非常に大きな心配事です。

最近では、空き家の中に入り込んで貴重品や現金、テレビ、パソコン、時計、骨董品などの金目のものを盗んで逮捕されるというニュースもよく耳にします。

実際私が年に2回のスポット契約で外回りの主に庭の管理を行っていたお家も空き巣の被害にあってしまいました。
大きなお屋敷で塀が高く中の様子がわからないという事もあり、いつ被害にあったのか何を取られたのかもわからないまま警察の捜査も終わったようです。
もともと貴重品などは置いていなかったので大した被害はなかったという事ですが、なぜか部屋中に座布団が散らばっていたそうです。

このように、空き家だということが分かると、いったん中に入ってしまえば、だれにも見つかる心配がないのでゆっくり物色できるという事もあり、犯罪の標的になりがちです。

それでは空き家と気づかれないためにはどういったところに気を付けるといいか・・・。

まず、郵便受けにテープを貼らない、庭の草を伸び放題にしない、玄関周りの草やゴミはこまめに取り除く、雨戸を締め切らない、カーテンも全室締め切らない、窓ガラスや雨樋などが破損したまま(例えば外れてぶら下がったまま)にしない、自転車等見えるところにおかない、といったところでしょうか。
管理中の看板については、賃貸や売買を考えている場合以外は設置をおすすめしません。
これも、空き家であることを教えてしまうという理由からです。

もちろん空き地の場合は、管理中の看板を立ててゴミなどが不法投棄されないように対応することもあります。

近年では、技能実習で来ている外国人実習生が職場から逃げ出したあと、数人で空き家に住みついているケースもあり「失踪村」という言葉まであります。
少し前までの日本では想像もしなかったことが日本各地でおこっているのです。

1 空き家を取り巻く環境 ~空き家のリスク浮き彫りに~

また、以前協会のメルマガで以下のような記事を紹介しました。

広島県尾道市の向島(むかいしま)は4月、愛媛県今治市の刑務所施設から受刑者の男(27)が逃げ込み、2週間以上にわたり大がかりな捜索活動が続けられた。受刑者が広島市内で逮捕され、ようやく島が日常を取り戻して30日で1カ月。なぜ、あれほど長期間の逃亡を許したのか。住民は「空き家のリスクが、これまでの問題意識とは違う観点からも浮き彫りにされた」とみている。
 愛媛県警などの調べによると、受刑者は4月8日夜、盗難車で向島に入った。空き家や、県外在住者が所有するセカンドハウスの屋根裏などに16日間隠れた後、24日夜に本州へ泳ぎ渡り、尾道市街でも数日間、住人が不在がちな民家に潜み、広島市方向に逃走を続けたとみられる。島内で受刑者が潜んだ家は、その間少なくとも2回、捜査員らのチェックを受けたが、発見には至らなかった。

 「空き家に忍び込んでいるのでは」という指摘は当初からあった。だが、捜査員は所有者の許可なく屋内に立ち入ることができず、空き家の捜索は大半が外からの目視にとどまった。地元自治会長の大原正広さん(68)も当時、もどかしさを感じたという。今も「刃物を持った凶悪犯など、一刻を争う事態だったらどうすればいいのか」と頭を悩ませる。

 荒らされた車から受刑者の指紋が検出された男性(87)は、被害に遭った後の数日間、県外の長男宅に身を寄せた。「周りは空き家ばかりで人けがない。1人暮らしで、近くに不審者が潜んでいると思うと怖かった」
 尾道市が2015年度に実施した調査によると、島内の空き家は1089軒。高齢の住人が入院や施設入所で自宅を離れた▽相続人や購入者がいずれ住むつもりでいる--など状況や理由はさまざま。市建築課によると、住民が亡くなり所有者が代わっても相続登記されない場合も多く、現在の所有者を把握するだけでも一苦労。担当者は「空き家対策は国に任せなければならない問題が多く、自治体ができることには限界がある」と漏らす。平谷祐宏市長は「今回の件で空き家の課題が明らかになった」として国に法的な対応を求める考えを示している。

 適切に管理されず老朽化した空き家は、公道や隣家への倒壊、ごみ不法投棄の誘発など、防災や景観の観点から社会問題となり、15年に空き家対策特別措置法が施行された。自治体が危険と指定した空き家の所有者が勧告や命令に応じない場合、家屋の解体を強制執行できる。
 しかし、受刑者が侵入したのは、持ち主が時折訪れて掃除や換気をする「よく管理された空き家」だった。セカンドハウス所有者は自ら尾道署に連絡して状況確認を求めたが、受刑者は窓や玄関を壊さずに入り込んでおり、外観から異常は見つけられなかった。倒壊の恐れや管理の不備がない空き家が犯罪に悪用される危険性は、特措法でカバーできない盲点といえる。
 この場合に所有者の依頼を受けている空き家管理士が同行する形で警察が確認すればもっと早い段階で解決することが出来たのではなかったかと思われる。

空き家管理士協会メルマガより


個人の所有物である空き家は、警察であっても所有者の許可が得られなければ勝手に捜査できません。

警察といえ敷地内に踏み込めず、外からの目視によるチェックにとどまることで、空き家は犯罪者にとって安全な隠れ家にもなります。

こういったことはめったにないだろうと思っていたところ、今度は大阪で逃走した容疑者がなぜか四国にいて私の目と鼻の先を自転車で通っていたことを知りぞっとしたものです。

ほかにも犯罪の現場として利用されてしまうケースもあります。
不正に入手したクレジットカードの番号などを使い、インターネットの通販でパソコンなどの高価な家電を購入し、空き家で荷物を受け取り、購入した家電製品を処分して換金するといった犯罪活動として使われたりといったケースもありました。

また、空き家の中で大麻を育てていたというニュースもありました。

空き家は人の目がないため、どうしても放火や空き巣、不法侵入や不法占拠などの犯罪被害に遭いやすくなってしまいます。

防犯カメラの設置ができれば、かなり被害を防ぐ事が出来ますが、難しい場合、センサーライトや防犯砂利などでも効果があるので検討してみてはいかがでしょうか。


2 空き家の利活用  ~高齢化の進む団地、空き家使って 国交省が新たな支援策~

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