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空き家所有者を探すようになったきっかけは?~前編

それは、今から10年以上前のことです。

私(当NPO代表)は、本業が行政書士です。
それが、空き家問題解決、それも所有者不明空き家に取り組むことになったのは、ある案件がきっかけでした。

その案件から、当NPOを立ち上げることにもなりました。
そのいきさつをご紹介させてください。



「不動産屋に行ったんだけど、断られたんだ…」

わたしが、日頃から仕事でお付き合いのある仲間とこの団体を立ち上げたのは、この言葉がきっかけでした。
わたしは、行政書士として働いており、相続や遺言業務を得意としています。
そのため、依頼者が会ったこともない法定相続人を探して、その方に書類をお送りして協力を求める作業には慣れていました。

そんな折、ある依頼者からこんな相談を受けました。
「今度、昔に相続した土地を売りたいんだけど、隣の敷地の持ち主と連絡が取れなくって、境界確認が進まないんだよ。不動産屋からは、これが決まらないと買えないと言われてしまってね」。
その方は、今後の生活資金確保のために、どうしてもその土地を売却せざるを得ない困った状況にありました。

ちなみに、なぜ不動産屋が二の足を踏んでいたのかと言いますと、隣の敷地の登記上の所有者はすでに亡くなっており、現在の所有者の名前や住所が分からなかったからです。

このようなケースの場合、行政書士など、特定の国家資格者には、法律上正当な理由があれば戸籍や住民票を職権で調査することで、本当の所有者を探し出すことができます。
それで、わたしの知り合いの土地家屋調査士と協力し、その隣の敷地所有者を探し当て、手紙を出して協力を依頼しました。

ところが、何度出しても返事はありませんでした。「もしかして協力したくない腹づもりなのかも…」と考え、思い切って訪問してみました。
すると、意外にもご本人に会え、すんなりと必要書類に署名捺印をしてくださいました。ご本人の「手紙が来ていたのは知っていたが、忙しくてね」という、申し訳なさそうな面持ちがとても印象的ではありましたが。

法律専門家集団の結成!

わたしはこの経験から、その当時から注目していた「空き家問題」も、こんなことが解決の妨げになっているのでは? と思い、仕事でよく会う行政書士や司法書士と意見交換を行ないました。

すると、彼らは異口同音に、自分も常々そう感じたていたことを話してくれました。
「自分たちのスキルを活用すれば、空き家問題の解決をサポートできるかも」と話が盛り上っていきました。もちろん、いずれは自分たちの本業にも関わってくるかもしれないという、淡い期待も抱きながら。

それで、法律専門家でなければできないことを考え始めました。隣地の方とのトラブルがあれば弁護士、登記の問題なら司法書士、境界が未確定であれば測量士、売却や賃貸となって収益が発生したら税理士、建物の強度や見立ては建築士など、どんな業種の方に協力してもらえればよいかをです。

次第に、わたしは普段からお世話になっている仲間を集めれば、空き家に悩んでいる方からのどんな質問にも答えられる集団ができるかもと、構想が湧いてくるようになりました。いわゆる、空き家問題のワンストップサービスができる集団です。

このコンセプトを元に、方々に声をかけたところ、全員が喜んで協力したいと参画を承諾してくださいました。弁護士・司法書士・行政書士・税理士・測量士に加え、社労士や公認会計士までが勢揃いするラインナップです。空き家特措法施行前年の2013年夏のことでした。

ここから、どのように話が進展していくでしょうか?
この続きは、また次回
お楽しみに!(と、思っているのは自分たちだけかもしれませんが…?)