「樹は滴の歌をきく」(詩)
わたしはいつも 泣きそうよ
望みの尽きないことについて
死を辿れない まわり道
せめて 迷うことに集中できたらよかったのでしょう
わたしは いともたやすく泣くはずね
かなしみが 進行して
ほらみる限りにどこまでも 私は行くの
いっそ飲み込まれて 息もうばえたら
わたしはどうにも泣きすぎている
どうせ落ちていくものならば 少しは彩りを与えなくては
やわらかな土を叩くのよ
そして 私がひとつの種となり
時のどこかでしずかな樹に生まれますように
しずかに樹と成り
滴の歌もきく耳を持ち
果たされた死を身にくべて
あたりへ光を散らす夢が
涙の落ちていく底で
育ってここに在るのです
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