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さいわい (詩)

どんなに とおまわりをしても
このくもり空の ずっと ゆっくり さきのほう
どんなに きおくのおくそこも
どんなに ちいさな花のかげの中も
ひとつひとつ
もんくをいって
こごとをたれて
いちまい、いちまい
ひっくりかえし
こまかにもちあげる
さがしまわる
泣きながらでも
おわりに手をひかれても
爪のわれたあいだに
やわらかく土がはいっても
どんなにつきないことと分かっていても
この手が つなぎめを失くしておちるまで
この目が星も花も分かたなくなるその時まで
どこまでも
泥のなかの さいさきへ

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