「すきだったなら」(詩)
辛い好きを選んだのなら
どうぞ座って
荒れ果てた手を重ねて
心の中に猫を入れてあげる
丸くなった背は信頼を投げてくれるから
そっと涙を流して目を閉じて
朝は眩しくて仕方ない
どこかにいってしまう夜も
本当は物陰に散り散りに息をしている
その好きは たしかにうつくしく
それ故に あなたを壊すかもしれない
魔はうつくしいものだから
心を閉じずに 大きく開いて
外のもの 内のもの 混ぜこぜにしてしまいましょう
そういういつの間にか 残った骨のような貝に
そっと海の音を拾えばいい
つまらない好きより ずっと
辛い好きで よかったと
まぶたは海風に 膨らむでしょう
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