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遠い、今も響く音楽ー『THE DAM この美しいすべてのものたちへ』を読んで

図書館に行く1番の楽しみは絵本をいくらでも借りられることかもしれない、と思うくらいわくわくと私は1番に絵本コーナーを見に行きます。


もともと絵本に詳しくはなかった私は、
図書館員さんがお勧めしてくれているのだろう面見せで置かれているものにひょいひょい釣られます。

この一冊も、まさにそれ。


まだ冷たい朝も寝ぼけ眼の頃、
雲も端々に夜をくっつけたまま動き出している。

きっぱりと切り裂く音ではなく、
立ち上がり、
どこまでもいけるところまで遠く時間をくっつけていくような音が弾かれている。


__ような気がします。

これはダムに沈む前に、
音楽家の父と娘が、
かつて居場所だった場所たちに音楽を贈る物語です。かつて放たれた音楽と、
ここで再び放たれた音楽が、
手を取り合って踊りを踊る。


明けていく世界と、
ダムに沈む日々。

そしてまたそこには新しい命の営みが生まれていき、足音や笑い声が空気に溶けていく。

いつかの音楽と混ざり合い続けながら、
世界は奏でられていく。

自分の内側にその朝が芽吹く絵本でした。

『ダム―この美しいすべてのものたちへ― (児童図書館・絵本の部屋)』 デイヴィッドアーモンド #ブクログ

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