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「あかね」(詩)

真っ赤だった
交互に行き交う
歌は熟れていた
くちびるで押しただけで
はじける水気が
赤々とあたりを灯した
ありきたりに贖う
あなたの在り様に
相容れないアカギレ
盗むくらいならば
生えたまま喰らいつけばよかったのに
お伽話の真中で
眠らせていたかったなんて
阿弥陀も阿修羅も徒花も
編み上げたこの世に固執して
数多の新たに
欠伸も飽き飽き握手は尽きる
ありったけの甘い荒れ地を
痘痕の谷間に押し入れて
茜立った
塩梅の赤だった

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