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思考がはじめてことばを纏うとき__『雨男、山男、豆をひく男』

小池昌代さんを最初に知ったのは小説でした。
そこから詩人さんなのだと知りました。

小池さんの本は、
持ってたり持ってなかったり、
読んでない本のほうが多い気がします。

今回、文芸会でいっしょのYさんが、
お家に溢れている本を少し整理し始めている、
ということで何冊か本を頂きました。
その中で、一冊
「これはね、サイン本だから貸してあげるだけなんだけど」
と手渡されたものが『雨男、山男、豆をひく男』でした。
詩集です。

他者を描くことで、
自身の心の実態を言葉にする。

思考を言葉という形にして取り出して他者に信じさせる。

そういうことが行われている詩集だ、
と思いました。

読みながら、
「なんてこと!」
とじわじわと内側の温度が上がっていくような、
それなのに慎重に動かないといけないと緊張を体中に張り巡らせるような、
冷えていくのと燃えていくのが両方次元の違う自分に起こっていて、
それが重なっている私を俯瞰している私もいるという状態になっていました。

物語りのような、
ひとつの町のなか、様々にうろつく不思議で切実なひとひとの姿を追いかけたような、
そんな詩集でした。

これはもっと小池さんの詩も読もう!
と思った一冊でした。

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