やさしい雨だった
肩を打っていく
背中を流れていく
冷たくなる指先と
ぼんやりと芯を意識する天辺
あなたを 待っていたかったのに
たったそれだけなのに
こころは果たされないようだ
もう待つのは あなたで
私はこれからどこまでも
歩いていかなくてはならない
あなた
会いに行く
会いたいから
必ずどこであっても
会いに行くから
雨の日には濡れないで
寂しい色にぼやけないで
隠れようとして私の外へ行かないで
私は歩くから
ずっと遠く
私の背を追って
雨は辿る
あなたが待つ
その道筋を私は真空の中に
閉じこめられたらとおもう
あなたへと落ちていく雫の
重たさと明滅に神経を凝らしながら