見出し画像

「庭」(詩)

あなたの声が 色を塗った
あなたの夢を 
わたしは時折 開いて眺める

あなたは あたたかな日差しが好きで
あついお茶を おいしいと言い
甘いお菓子を 頬張っていた

土埃の舞う 裏庭で
いつかの故郷を話してくれた
あなたは横たわった布団の中から 大きな瞳で

あなたは 帰っただろう
遠い道のりだけれど
過去がやさしく手を引いたはずだ

色は どんどんと鮮やかになる
失ったものは そういうものだから
あなたも 日毎にうつくしく光に覆われていく

あなたのいた庭は 今は 静かだ

静かな水たまりなんだ

この記事が参加している募集

#スキしてみて

525,537件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?