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「にぶく光る」(詩)

雨が つよく落ちる
私の血が 色をやさしくする
まがまがしく長い指が
掻き込むように願う
それが妄執にいきうつる前に
扉の下を伝って
外の光のにおいの中を泳いでいけ
どうか かすかな希望を逃げないで
雨の
心ばかりの親しみを受けとって
明るい真中へは溶けなくとも
生きた影には沁み込んでいる
爪を傷めても放さなかった
涙の一粒を愛にそっと
手渡した

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