見出し画像

『檻の中のソリスト』をご存知ですか?

ジャンプコミックは、
本棚を圧迫する可能性が高く、
そして引き延ばしがあるときの悲しさをおもって
なかなか手が出なくなってきた34歳です。

それでも我慢できず読み始めてしまうものもやっぱりありまして。
それがすごく良かったときの喜び!!

今回の森屋シロ先生の『檻の中のソリスト』は
そんな作品でした。


ある国には、
犯罪者を押し込んでいる監獄があり、
そこでは犯罪者同士でコミュニティーを築き、
ひとつの街をつくりあげていました。

その街で生まれた姉のクロエは、
半年前から帰ってこない母親のかわりに
まだ赤ん坊の弟のロックを世話することが生き甲斐でした。

弟にねだられ、
ダンスをしている時。
弟が微笑み、姉に手を伸ばしてくれる時。
クロエは何よりも幸せを感じます。

そんな彼女たちの生活を支えていたのは、
アパートの隣の傭兵三人組でした。

彼らはここを脱獄する計画を立てており、
その決行の日はすぐ目の前でした。

そんなおり、食料を分けていた隣の家にいるのが子供ひとりではなく、
幼い女の子と赤ん坊の弟だと知り、
リーダーの男は気持ちが揺れます。

決行の日、
もうすぐ監獄街を囲む壁の穴に潜り込んだ彼は、
後をついてきた姉弟に気付きます。

放っておくこともできず、
手繰りあげようとすると監視のAIロボットに気付かれ、
姉のクロエの腕は銃で撃たれてしまいます。

それでも弟を包んだ布を離さなかったクロエですが、
布の強度が耐えきれず、
弟は壁の内側へ、
そしてクロエと傭兵たちは壁の外へと落ちてしまいます。

戻ろうとするクロエを何とか説得し、
四人は隣の国へと逃亡を叶えます。

_____

それから数年後、
クロエは再びあの監獄街へと舞い戻ります。

弟が生きていることを信じ、
彼を今度こそ守るため、
殺しの腕を磨き上げた彼女はたった一人乗り込むのでした。


犯罪者の街の描き込みのうつくしさも、
そして
クロエの弟へ踊ったダンスと
彼にもう一度会うための殺しの様子がそのダンスを
心で再現している様子との重なる様子のうつくしさも
とても好きです。

悲しい物語に似合う重々しい描き込みに
物語りにどっぷりと入り込めます。

三巻で完結していますので、
その点も安心!

おすすめです!


アメブロにも書いていますので
よかったら!


この記事が参加している募集

#マンガ感想文

19,969件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?