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「うつくしい断崖」(詩)

広々とした水の端にそっと立ち並ぶ
やさしいかべ
指の先で押し出すと
分かっているよ、と解けていく
あたたかな肌の色をしていた
その壁は
無数の鳥たちへうつりかわり
飛び立っていく
私の耳のそばで
風切音が通り過ぎる
遠くなりながら満ちていく
羽の音
ずっとずっと両端まで

目の前には
どこまでも両手を伸ばせる青
そして足元の断崖
流れ落ちていく水の飛沫が
私をその先に誘い出している


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