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「袖口」(詩)

すれ違う時
袖をつまむと
あなたは他人の顔をする

それでもくり返す私の指に
いつしかあなたは
迷子の最中の眼をする

さかしらにばらまいてほしいのじゃないの
ただ 少年のように愛嬌を孕んでいてよ
わたしのただれた腹を鳴らしてほしいの

すれ違うとき
私の指先を期待する
あなたはその時やっと適切な他人になれるのよ

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