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詩、誌、氏

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詩だ、と言い切れない。でもたしかに私の書いたもの。 短くて、要領は得ない文章のかたまりなのだと思う。 でも書きたくなるから、こうして出してしまう。
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#あなた

「あなた」(詩)

私は 私の書いた世界に 私の足で入っていく 土のやわらかさを踏み 少し砂利も混ぜ固め 水に手…

とし総子
3か月前
14

「きらい きらい」(詩)

その覚めた眼が嫌い どこを歩いてきたのだか 長い足指に詰め込まれた泥も 寒い中 口から 鼻…

とし総子
4か月前
8

「ひとつ道を捨てる」(詩)

行くべきだった 道を前に 目を伏せた 歩き続けることに あなたが同意してくれたから あなたの…

とし総子
4か月前
13

「吹いた風に」(詩)

泣いたなら あなたのためになるのかしら 心は離れても身体をそばに寄せるのと 体は塵と消えて…

とし総子
4か月前
10

「窓を撫でる」(詩)

雨 やさしく滴が窓を撫で下ろしていく  あなたを忘れたならば 恐らく魂が罅割れる もしも …

とし総子
4か月前
11

「生まれたあなた」(詩)

あなたはとても うつくしく 私の目を焼いたので この世界は平等に灰白色に 成りましたこと お…

とし総子
4か月前
7

「あなたがいる」(詩)

野菜をたっぷり切らなくちゃ 子供の宿題の急かし役は喉にくる 生きることって大変で 育てることって面倒だ 愛も情も理も知もあったって 手放したくなることはある 税金は複雑に絡みつくし 体に埋められる時間は重い 生きることは嫌になるし 育つものの隣は暗くもなる だけど あなたがいる 溜息は少し体の熱を逃がし 涙に溺れて耳をふさいだ そして 私は私の心音を聞いてきた 私の生には あなたがいる

「平等に光る」(詩)

首を括っても あなたは救われない 手首を切り落としても 名を捨てて 野に倒れたとしても その…

とし総子
8か月前
9

「地平」(詩)

あなたがいるかもしれない まだ見ぬ地平を 私は 見に行かなくてはいけない

とし総子
9か月前
11

「噛み痕」(詩)

噛みついた手に 汚い歯型がうかぶ 染みのような痛さ ぼんやりとしているから 振り払えないま…

とし総子
9か月前
6

「両手に刺したるは」(詩)

それでも生きている 瞼を支え 切り捨てられない 言葉を唇に縫った あなたと同じ目が 星空に映…

とし総子
9か月前
9

「あなたが好きだった」(詩)

わたし あなたが好きだった 好きだ で、止めておきたいと思ってきた 今だって 仕方なく言っ…

とし総子
10か月前
7

「ときどき探すの」(詩)

時々 思い出すの 私の右手 約束を握ってたなと 正しい見栄を切り あきらかな同情を受け入れた…

とし総子
11か月前
7

「たまご」(詩)

あなたを溶かして 私は影を滑らかにした どこかで薄が歌う あなたの耳の形の月がのぼって あつめられるだけの光で 花冠をつくった あしたにながれ着く頃には それはもうふやけて とても無情ではいられない ゆるすぎた風が 虫を迷わせる 野の原はそうして好き好きの花を散らしていく あなたの頬が滅びるのなら 私の両手で爆弾を防ごう 爪がすべて月の海になっても この両手を握ってね? 手品師のようには笑えない くすんで 赤らんだ 私の好きに キスをして